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思考進化の連携術士  作者: 楪(物草コウ)
第一章 幼少期 リヒテン編 『信じるものは救われない』
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第七話 チート?発覚

 自分のステータスにどう反応していいか困っていたら、その様子に気づいたミライが不思議そうに小首を傾げていた。

首を傾げたい気持ちなのはこちらも同じである。

ゲームみたいだな、と思っていたのは確かだが……みたい、ではなくこれはまさしくゲームのステータス画面だ。

 それは空中に浮かんだ銀の枠組みのウィンドウの中に、半透明の薄い青色の下地をバックにしてレベルやHP、MPといった文字が書かれていた。

文字の色は白。陰影をつけて見やすいように配慮しているのがなんとも憎たらしい。

半透明だと文字が若干見にくいが、それを意識するや否や背景がくっきりと見えるよう不透明な青に変化していく。


 (なんだこれ……これがこの世界の常識なのか?)


 ゲームの世界に紛れ込んだような妙な気持ちを落ち着かせつつ、そのステータス画面を改めて着目する。



 名前 … ミコト

 性別 … 男

 種族 … ハーフエルフ

 状態 … 健康

 L V … 1

 H P … 17 / 17

 M P … 2359 / 2359

  STR … F-

  VIT … F 

  AGI … E+

  INT … B+

  DEX … E


 S L … 高速思考Δ

     トゥルースサイト



 名前と性別はこれでいいとして、種族がハーフエルフ……?

俺は純血のエルフじゃなかったのか。そう言えばミライと比べて俺の耳は短いような気がする。

これは子供だからまだ短いのだと思っていたのだが、ハーフだからかもしれない。

まぁ別にハーフだろうがクォーターだろうがどうでもいいのだが。

状態、健康。うん、スクスクと育ってます。

ミライのおかげだ。感謝。


 まぁ次が問題なんだが。膨大なMP。

2359って高すぎじゃねぇか?HPと比べてMPの量が異常だ。

他の魔法や魔術がどの程度MPを消費するのかがわからないからなんとも言えないが……おそらく俺のMPは規格外と言っていいだろう。

アナライズを使ってもMP消費がないのは、元々アナライズという魔術がMPを消費しないものだったからだろう。

 ちなみにゲームをしているヤツならわかるだろうが、LV・HP・MPは順にレベル、ヒットポイント、マジックポイントだ。

次の項目にあるSTR等は順に力、生命力、敏捷性、知力、器用さといったところか。

横に書いてあるFやE等はランクか。高ランクであれば能力が高いのだろう。

ランクの傍にあるプラスやらマイナスはそのまんまだろうな。

つまりF-ならFやF+より低く、F+ならFの中で一番能力が高いのだろう。

俺は総じてFやEが多いが、INTがどうやら抜きん出て高い。MPのことからも察するに俺は魔術師タイプか。

これから学ぼうとしているからうってつけだな。


 最後のSLに関してはいまいちわからなかったが……たぶんスキル、か?スキルはSKILLと書くもんな。

スキル、つまり技能や特殊能力ということだがそれとわかった上でもわからねぇ。

なんだよ高速思考Δって。トゥルースサイトって。

高速思考デルタって読めばいいのか?

思いつくのはギリシャ文字のアルファ、ベータ、ガンマ、そして四番目の文字としてのデルタ、だが。

わからん。

まぁなんか他に意味があるかもしれんが、要はすげぇ早く考えることが出来るってことだろ。

どうやって発動するのかもわからんが。

トゥルースサイトもこれまたわけわからんが……ヘルプはどっかにねぇのかよ。

ウィンドウにタッチしたらなんか出るかと思ったが、手は空を切るだけだった。

ミライがばっちりその場面を見てた。恥ずかしい。

ま、まぁこれも推測だが精霊が見えたのはこのスキルのおかげかもしれない。

他に思い当たるもんは何もないしな。


 一通り確認作業を終えると、首を傾げたままでいたミライがそこにいた。

……時間が止まっていたなどという夢物語でなければ、あの状態のままで待ち続けていたのだろうか。

たっぷりと考えていたので時間はそこそこ経っていたはずだが……いや、これはもしかして高速思考のおかげか?

いつのまにか発動していたらしい。


 (便利と言っちゃ便利な能力だが、地味だな)


 もっと目に見える特殊能力が欲しかった気がするが、まぁこれはこれで他にも使い道はあるだろ。たぶん。

にしても、転生してからこんな能力を得るなんて皮肉すぎるだろ。

前世では思考力が半分とか言われてたし、高速思考の分も合わせると前と比べ三倍以上思考加速できそうだな。赤いあの人もびっくりだ。

 益体のないくだらないを考えていてもミライは寸分も動かない。

これが高速思考が発動しているということだろう。すんなりとスキルがなじむ。

ただ文字の通り思考が高速化しているだけなので、体は動かない。試しに手を動かそうとしても、ものすごくゆっくりずつしか動かなかった。

状況判断にはよさそうだな、と今の所は思っておく。


 (なるほどな。まぁ検証は後でいいか)




 「どうしたの?ミコト」

 「ううん、何か急に色んなものが出てきてびっくりした」


 意識して高速思考を止めると、時が動き出したように少し不安げなミライが声を掛けてきた。

こちらの顔を覗き込むようにして子供の俺の視線へと合わせる。

まっすぐにこちらの目を見つめる純粋な瞳は、ただあるがまま心配しているということを窺わせる。

嘘をつくことにチクリと胸が痛んだ。

その痛みを誤魔化すように殊更はしゃいで笑顔を振りまく。


 「魔術ってすごい!お母さん、何これ!お母さんにも見せたいなー僕が見てるもの!」


 きゃっきゃっといつもの演技である。演技に段々と抵抗がなくなってきたんだが、これ大丈夫か。

ミライの傍に寄りながら浮き立つ足取りと喜色満面の笑顔である。

はしゃぐ俺の姿を見たことで安心したのか、ほっと胸を下ろすミライはその後、衝撃的発言をした。


 「大丈夫よ~。さっきの魔術はね、相手に触れていたらその人のも見れるの!」


 え゛。

なにそれ聞いてない。

見れるの?見られちゃうの?

おいおいおいおい。見せたいなーとはエンジェリックスマイルでのたまいましたが、あれ冗談だからね。

ほんと、マジで。

何か俺のステータス、自分でもどこかおかしいと思っているから。

これ見られてミライに引かれたら俺、精神的に死んじゃうからね。

戦々恐々としている俺を置き去りにして、ミライは早速といった感じで傍に寄った俺の手を取りアナライズを唱え始める。

下級魔術、故に短い詠唱だ。

止める間もなく――と言っても止めてもどうすればいいかわからない――魔術は完成した。


 「ちょっ」

 「心技体の理を今ここに、アナライズ」


 俺より流暢な詠唱。そうして掴まれた手を通してミライの魔術は俺へと掛かった。

掛かけられた瞬間、何かが体を走り回る感触がした。正直、いい気分ではない。

が、そんなことより焦っていた俺は……。


 (レジスト!レジスト!レジスト!レジスト!レジスト!レジスト!レジスト!)


 高速思考を使いながらレジスト、つまり魔術に抵抗(レジスト)して失敗してくれることを何回も何十回も何百回も祈っていた。

必死である。

スキルを駆使しての祈りだ。今の俺なら流れ星が消える前に願いを百回は言える。

言葉に出さなくても、届け俺の想い!!



 千本レジストを終えたあたり、繋いだ手を少し強く握られて高速思考が自動的に解けた。

俺は、何も心の準備がないまま反射的に顔を上げてしまった。見た瞬間に後悔するとも知らず。

そこにあった感情を何と例えればいいだろう。

眉根を寄せ唇を噛み締め、その美麗な容姿を歪ませる。

少なくとも一緒に過ごしてきた数年の間には一度も見たことがないようなミライの顔。

瞳の奥に宿った感情は苦痛とも、後悔とも、悲哀ともとれる。

全てが折り重なり、それを言葉にできない。だがしかし、それがプラスの感情によって出来ているのではないことは明白だった。


 あんなにいつも笑顔でいた彼女だからこそ、際立って浮き彫りとなるその表情に俺の心身は凍りつく。

ミライなら俺のおかしなステータスを見ても困りはすれど、最後には笑ってくれる。

どこかでそう思っていた。

だけどそんな希望はもうどこにもない。

上げ下げが激しすぎるかな、と思いますがもう少しお付き合いください。

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