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思考進化の連携術士  作者: 楪(物草コウ)
第一章 幼少期 リヒテン編 『信じるものは救われない』
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第一話 俺の簡単なあらすじ

初投稿です。

 俺の散々な人生を簡単にまとめてみるとこうなる。

物心つくころに父親に恨まれていたことを知り、妻はお前のせいで死んだと憤怒の顔で罵られ、それっきり。

何故そんなことになったのか。簡単な話だ。俺が母親を殺したようなものだから。

俺は母に似ていなかった。父にも似ていなかった。そして俺は普通の子供でもなかった。

それから父親はあまりに呆気なく、他の家族を作って疎遠となった。


 学校に通うことになっても幸せとは程遠い毎日が待っているだけだった。

白の中に混じった黒のように悪目立ちした俺は、当たり前のようにいじめられていた。

生徒たちを教え導く教師にさえ俺はいじめられていたりだ。

終いには教師と生徒が結託することもあった。悪夢としか言いようがない。

悪夢はそれから六年間ずっと続いていた。

 上の学校にあがる頃には、地元ではない遠方の学校を受験することにした。

思考能力が健常者の半分以下だと医者に言われた俺だったが、努力の末になんとか合格する。

だが幼い頃の癇癪癖が再発したのか、合格発表の日に色々とやらかしてしまった。

周囲に俺の異常性が早々にばれることになったのだが、不思議と学校が始まってもいじめの類はなかった。

 そんなことより、俺に初めて好きなヤツが出来た。

彼女はこんな俺にも笑顔をくれる、人生で初めて見つけた優しい人だった。

思いが日々募っていき、ついには告白する。

……まぁ当然の如くうまくはいかない。オマケに三文小説のような事実まで発覚し、俺は学校へ行くことを止めた。


 見事、引き篭もりとなっていった俺は時間の限り趣味の世界へと没頭していく。

時間だけは腐るほどあった。

あるゆるジャンルに手をだした。その中でもMMO、所謂大規模オンラインゲームと呼ばれるとあるタイトルにのめり込んでいく。

MMOの世界では俺は強者だった。

敗北の味を知ることはあっても、圧倒的な勝利の数に酔いしれた。

その暗い多幸感に満ち足りた日々もそう長くは続かない。

なにせ俺は義理の母親に殺されたのだから。




 まぁ簡単に話すとこんなところだ。

色々と端折ってる部分もあるが、見ての通り楽しい話でもない。

機会があればそんなクソみたいな人生を過ごした男の話をするのも悪くはないが、今は置いておこう。

こうして話せることからもわかるように、俺は今、生きている。

輪廻転生。

人は生き死にを繰り返すとはよくいったものだが、それは生きている人がそう思いたいから思うだけだ。

恐ろしいと思う死を詭弁で覆い隠すための言葉。

そんな風に思っていた俺が、まさにその転生をすることになるとは思いもしなかった。


 俺の記憶が戻り始めたのはまだ赤ん坊の頃。

それまでは普通の赤ん坊として、泣いたり笑ったり感情をありのままに爆発させていたのだが……。

ふと自意識が目覚め、数日の間は混乱しながらも必死に現状を把握しようと頑張っていた。

急に泣きさえしなくなった俺を見て母親はきっと不安に思っていたことだろう。

まぁそれも少しの間のことだったが、それ以降はある理由によりしばらく本来の赤ん坊のように迷惑をかけることになる……。

ともかく記憶は少しずつ戻ってきていた。


 ある時、母親の腕に抱かれて初めて外に出かけたのだが、期せずして衝撃の事実が舞い込むことになる。

そこには異世界情緒が溢れる光景が飛び込んできたのだ。

転生したということはおぼろげに理解していたのだが、まさかそれが異世界とは。

……実は母親の耳が尖っていたり、デフォルトで金色の髪をして緑色の瞳をしているだとか色々と判断材料はあったのだが。

ぶっちゃけて言おう。現実逃避をしていた。

俺の母親はエルフかそっかぁとすぐには納得できなかったのだ。

 それもこれもこの光景の前ではもはや逃げることさえできない。

冒険者のような格好をした人物が、腰に掲げた剣をぶら下げて平然と大通りを歩き露店をひやかす。

他の所では品物を見定めているトカゲのような亜人たち。

大広場で道化師が芸を披露すれば魔法の世界が広がる。字の如く魔法である。タネも仕掛けもないとはまさにこのことだろう。

糸もない人形が一人でに動いていたあたりはまだ信じていなかったが……。

何もない空間から火の玉を出したり、同じように出現させた氷のつららをダーツに見かけて投げたりとされれば信じるしかなかった。

 俺が住んでいる街の景観は西洋風といったところで、石や煉瓦といったもので建築されているものが多く違和感なくそこに存在していた。

所謂、剣と魔法の世界。

そしてその世界の名をテラと人々は呼んでいた。


 この世界で俺が一番驚いたことは、魔法でも亜人の存在でもなく、自分の思考がクリアになっていることだった。

魔法や亜人なんてものはある意味、身近な存在だったわけで(漫画、小説などではもはや定番だ)、確かに実際に見るものとは大分違ったわけだが、それでもすげぇとぐらいしか思えなかった。

 俺は前世では障害者として一生を過ごした。

これは今になってわかる感覚なのだが、今と比べると普通の人というのはいかに恵まれているのかがはっきりとわかる。

前の俺をどんなだったのかあまりうまく説明できる気がしないが、いつも一杯一杯で余裕がない状態、というのが正しいか。

人は切羽詰った時、頭が白くなってロクに思考できなくなるが、あれが前の俺に当てはまる。

考えようとしても考えることが出来ない。選択肢が常に狭まっている。

それがどうしたことか、今の俺にはその感覚がないのだ。

なんて素晴らしいことか。それだけでも生まれ変わった意味があるというものだ。

あまりの感動に、体が自然と震えて涙を流してしまったのは恥ずかしいことではあるが、幸い赤ん坊の身であったから誰にも悟られることはなかった。

 ともかく、こうして俺はテラという世界でミコトとして生まれ変わることになった。

……名前に関しては色々と思うことはあるが。

別に男っぽい名前がよかった、というわけではない。

まぁそれもいずれ、過去の事を語ることがあれば一緒に語るとしよう。

5/24 一章のほぼ全て改稿。


誤字・脱字や矛盾している等の報告歓迎しています。

レスの方は早く返せるかわかりませんが、全てありがたく読ませていただきます。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

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