~八章~ 「ダンジョン攻略です!」
──三ヶ月後、私達は前回よりも予定を繰り上げ、ダンジョン攻略を始めました。
ダンジョン……『王家の墓』の攻略開始です。
前回は44階まで攻略し、魔王戦に挑みましたが敗北しました。
……今回は魔王に負けない様に、必ず45階以上攻略しないとっ!
ここ三ヶ月間は、コルトムーン山でモンスターを倒しレベル上げを行い、準備は万端です!
皆様は約レベル17。私はレベル18になり、テティスちゃんのレベルは12になりました。
なんとっ、テティスちゃんは魔法が使える様になったのです!
やったね!頼もしいテティスちゃんです。
しかし、テティスちゃんも私と同じ無属性みたいで……。魔法の名前が分からないんです。
……ので、テティスちゃんの魔法は私が名前を付けました!
「フェアリーヒール」
「フェアリーカッター」
「フェアリーバリア」
の、三つです。……うん、頼もしい。
だって、私魔法使えませんからっ。
いつもと同じ、前衛はシオン君とリカルド君。後衛は私とユミリアさん……そしてテティスちゃんになります。
ダンジョンに入ると、すぐにモンスターと遭遇しました。
1~10階のモンスターは弱く、ほとんどのモンスターはモンスターレベルが10以下です。……が、油断は出来ません!
モンスターが一体、私達の方目掛けて突進してきます。
「テティスちゃん、行くよー!」
「いくよー」
テティスちゃんも私のセリフに合わせて可愛くポーズを取ります。やる気は満々のテティスちゃんです。
「テティスちゃん、フェアリーカッターでお願い!」
「うん わかった」
……テティスちゃんは敵モンスターの方に向かってぎゅーんと翔び、魔法を放ちます!
「ててぃす かったー」
──バシュ!
敵は見事に切り裂かれます!
「…………。」
うん、名前。……どうやら私の命名フェアリーカッターさんは、不採用の模様です。
とりあえず鑑定スキルで鑑定してみた結果……。
『ててぃす かったー』
こうてつのやいばで てきを きりさくよ
……どうやら決定の模様ですね。うーんまあ、可愛いいからいいかぁ。
……その後も同様、いつもの様に後衛でお留守番の私でした。
前回は本当に何も出来ない私でしたが、今回はちょっと違います。
前回の知識があるので、ダンジョン44階までの攻略方法はだいたい知っているのです!
「あっ、その宝箱はミミックです。前回、私食べられて死にそうになりましたから、よく覚えてます。」
……ダメージ分散が無ければ死んじゃってたかも?……半分受けてくれたリカルド君、本当にごめんなさいっっ。
「そっちは行き止まりで、こちらが正解ルートです。その影にはモンスターが潜んでます。あっ、そこは落とし穴があります!気を付けて下さい!……前回私落ちて死にそうになりましたから、よく覚えてます!」
……リカルド君、本当にごめんなさいっ。
「10階、20階にはボスモンスターがいます!ちょっと手強いですっ、気を付けて!」
……まあ、10階、20階のボスは、学園で飼育され学園が用意したモンスターなんですけどね。宝箱も同じです、ので一パーティーに付き、宝箱の中身は一つだけとルールが決まっています。
21階以降は、学園の管轄区外なのでモンスターも強くなり手強くなります。
学園の試験はだいたいこの20階までとなっています。
「へー凄いね、イズミ。」
前回の知識もあり、難なく20階をクリアした私達。
「そうだな……所々違う点はあったものの、大体がイズミの言う通りだったな。」
流石にモンスターの出現箇所までは、前回と全く同じ……とはいきませんでした。……モンスターさんも移動しちゃいますよねぇ。
「ふふふ……イズミのおかげで簡単に20階まで、クリア出来たわね。……やるじゃない。」
いやー。褒められると嬉しいんだけど……。
私後ろで見てるだけで、全く戦ってないんですよねぇ……。
「いや……あの。私全く戦ってないので……。戦ったのは皆さんなので……。」
私はあたふたと、手を振りながらそう言うと……。
「それも貴方のスキルの力じゃない?……自信、持ちなさいよ。」
「あ、ありがとう。……ユミリアさん。」
「ててぃす がんばった。」
テティスちゃんの、可愛いポーズからの頑張ったアピール。はい、可愛い。
「テティスちゃんも頑張ったよねー。」
私とハイタッチを交わすテティスちゃん。
20階をクリアした事で皆さんも私も、レベルがそれなりにアップしました。皆さんも私も同じレベル19です。……ちなみにテティスちゃんのレベルは17です。いい感じです。
私達は21階に行き、中の様子を探りつつ慎重に探索を開始します。
……ここからはモンスターが一気に手強くなって難易度が上がっちゃうんですよね。気を引きしめて頑張らなきゃ……。うん。
「ところでイズミ……。この階層の情報は?」
「はい、この階はですね……。とにかく落とし穴が沢山あってですね……。」
私はそう言いながら、パタパタと走りユミリアさんの元へ駆け寄ります。
──!?
突如私の足下の床が消え、私は足場を失いました。
「あっ!?」
私は必死にパタパタしますが、別に私は空を飛べる筈も無く、又浮遊スキルを所持している訳でもありません。
……つまり。
「ああああぁぁぁぁぁーーーー!忘れてたぁーーーー。」
「イズミーー!!」
──ドシン!
「あいたたたぁ。」
……私は22階に落とされてしまいました。そこで私はようやく事の重大さに、気が付きます。
……そう私はレベル19ですが、呪いによりステータスが他の勇者の皆さんと比べ……三分の一程度しか無いのです。もしモンスターと遭遇しちゃったら……。
「私食べられちゃうんじゃ……。」