~七章~ 「二週目も頑張ります!」
「あの……信じて貰えますか?」
……私はおずおずと尋ねた……。
「にわかに信じがたい話だな……。」
「何かその……証明出来る物は有るのかい?」
私の言葉に、シオン君もリカルド君も半信半疑のご様子……うーん。半分もあるかなぁ……。
ここは、ニブル平原。前回(一周目)と同じく朝から集まり、ニブル平原に冒険しに行きました。……ユミリアさんと話し合った結果、やはりシオン君とリカルド君にも、話した方がいいという流れになったのですが……うーん、どうだろう?
「ユミリア、君は信じてるのかい?」
リカルド君がそう尋ねると、ユミリアさんは私の方をチラッと見ました。
「あ、あの……証明とか証拠とかは、難しいですけど。……私今レベル17です!……後はえーと、えーと。……今後学園で起こる出来事は、全て当てられる位ですね……。」
「……レベル17!?」
「……全てかー、じゃあ十分だね。……信じるよ。」
良かったー……ユミリアさん同様、どうやら一応信じて貰えたみたいです。
「所で……さっきから気になってたんだけど……。」
「その肩の……何かな?」
……それです。ユミリアさんはともかく、二人が私の話を信じてくれたのは……その"存在"があったのも、大きいのかも知れません。
"それ"は二人が言うと同時に、サッと私の髪の後ろに隠れ、二人の事を訝しげそうに見てます。
「……初めて見た。」
「……それは、妖精かい?」
……私はそれを、おいでおいでして両手に乗せて紹介しました。
「テティスちゃんです!可愛いでしょ?」
はい、可愛い!私のお友だちの妖精、テティスちゃんです。昨夜ユミリアさんと話を終え、部屋に戻ると私の顔に飛び込んで来ました。
……ちなみに名前は、私が付けました!本当はちょっと長い名前だったので、短くて可愛い名前にしちゃいました。
……テティスちゃんの、可愛い自慢はさておき。私達は今後の方針を話し合いました。
ユミリアさんとも昨夜、少し話したのですが……。今のままでは間違いなく、魔王軍に敗北し全滅してしまう事。そして前回の皆さんのレベルは44(あ、私はレベル17です)なので、最低それ以上のレベルが必要だという事。
……以上の話を終えて、リカルド君がまとめます。
「……なるほどね、じゃあ僕達がやる事は……。生き残る為には、最低レベル45以上は上げなきゃいけない事になるね。放課後や休日は、なるべく冒険に出掛ける事にしようか。」
「とりあえず、君と妖精さんの実力を見せて貰えるかな?」
……とうとう、私の出番です!前回は全く活躍の無かった私ですが、今は違います。……そう、レベルが17に上がりました!ワニさんくらいなら楽勝のはずです……よね?
「行くよー!テティスちゃん。」
「いくよー。」
テティスちゃんも私と同じく、可愛くポーズを決めます。やる気は満々のご様子。
「やあっ!」
──ザシュ!
私の攻撃が次々にヒットし、ワニさんを倒していきます。一撃では倒せないものの、腐っても勇者レベル17。私も大分成長し…………がぶっ。
「……がぶっ?」
「うわあああああ!」
私が叫ぶより早く、リカルド君が叫びながら倒れました。……もちろん私も倒れました。
「──不味い!!」
大急ぎで駆けつるシオン君。
──ザシュ!
素早い剣さばきで、見る見るうちにワニさんを薙ぎ倒して行きます。……流石はシオン君です。
前回と同じく、回復魔法で治療して貰いました。やはり回復魔法は便利です。いいなぁ……私も使えたらなぁ。
と、考え事をしていると。リカルド君が何やら考え事をしている様子です。
「……おかしいな、レベル17ならワニゲーターくらいに、あそこまでダメージを喰らうはずが無いんだけどな。」
「ちょっと鑑定して見るわ。」
ユミリアさんが念の為に、私のステータスを鑑定してくれました。
「あれ?ステータス低すぎない!?」
……!?
……どうやら私のステータスは"例の呪いスキル"により、他の勇者の人よりステータスが低めの様でした。……しかも、三分の一程度しか無いらしいです。
「ええっ!?」
……私は驚いてしまいました、今まで全く気が付かなかったからです。……確かに少しステータスが低いのは気にしてたけど、それは他の勇者の皆さんが高レベルだからだと、思っていました。
……いや、まあ。『成長率減少(極大)』のスキルがあるから、当然と言えば当然なんだけど……そんなに低いの??
「……ところで妖精さんは?」
……皆さんの視線が私の頭に集まりました。すると私の髪の毛の中から声が……。
「ててぃは れべる1だから……まだ魔法 使えない。」
「…………。」
──結果。
ワニゲーター討伐 2体。
以上。
……えーと、一周目は駄目だったけど。……二週目は……大丈夫だよね??
幸先が不安になる、私でした……。