~六章~ 「私に今、出来る事を頑張ります!」
「貴女は、このパーティーから抜けてもらうわ!」
ユミリアの、ばーんと衝撃的なセリフ。
「ええ!?そんなっ……今まで一緒に困難を乗り越えて来た、仲間じゃないですかっ?」
……涙ながらに訴える私。
「呪われてる奴なんかと、組めるかよ。」
「あ、うちのパーティー。呪われてる人駄目なんだよー、ごめんね。」
と、シオン君とリカルド君……。
「ああー、そんなぁ……。」
泣いてる私を置いて、去っていく皆さん……。
『無属性勇者はデスループで今日も頑張ります!~呪いスキルの最弱勇者~』 完
次週からは、『追放された無属性勇者は、呪いのスキルで"ザマァ"します! (多分ムリ)』 が、開始します……。
……に、なったらどうしよう……。
と、変な妄想に怯える私でした。妄想ですよ?妄想。……今の所は。
……でも、この現状では……追放されても何も言えないよね……。
「とりあえず何か対策を……このパーティーの戦い方を決めとかないとな……。」
「そうだね……とりあえず僕とシオンが前衛、イズミとユミリアは後衛。……しばらくは、これで決まりかな?」
二人の話を聞いて、ユミリアさんも考え混みます。
「……そうね、経験値はパーティーに均等に振り分けられるから、無理に前衛に出て戦う必要は無いわね。」
……な、なるほどー。で、でもそれだと私。……何もせず後ろで見守るだけなのでは?……と、思ったけど私は何も、言えませんでした。
……でも、何か自分にも出来る事……うーん。
……そんな私の考えを見透かしたように、シオン君はある提案をしてくれました。
「イズミ、君が戦える方法は3つある……。」
「一つ目は、俺達より防御能力が高くなるか、攻撃を回避するかだ……だが、これは確実ではないし、不安要素が多すぎる。余程レベルが高く無ければ現実的には、止めておいた方がいいだろう……。」
「二つ目は、魔法だ。」
「……魔法?ちょっと待ってシオン。イズミの属性は『無』なんだ……無属性の魔法なんて、聞いたことが無いよ。」
「……確かにその通りだ……だが、そもそも無属性持ち何てのも、イズミが初めてだろう?……可能性は、無くはない。」
「……そうね、確かに誰も知らないだけで、無属性魔法はあるかも知れないわね。……もしかしたら、レベルが上がれば使え可能性は……あるかもだけど……。」
「可能性は低いし、現状、無い物は使えないんじゃない?」
……二人の会話の後に、ユミリアさんはそう話しました。
「その通りだ、この三つ目の方法が一番現実的ではある。……テイムだ。」
えっ……!?テイム?私は驚いて聞き返しました。
「あ、あの、テイムって魔物使いの事ですよね?私、魔物使いでもないし、そんなスキルも持ってませんよ?」
「あら、"使役"だけならスキルは必要無いわよ?」
と、ユミリアさんが教えてくれました。
「その通りだ、モンスターの使役だけならスキルは必要無い。……まあスキルがあった方が何かと便利だがな。」
「じゃ、じゃあ。……私が戦力になるには、魔物使いを目指せばいいんですね?」
……魔物使い!カッコ良さそう、いいかも。
「でも、ちょっと待って。」
……ちょっとやる気になった私ですが、ユミリアさんの待ったコールが。
「他の属性ならともかく……イズミの属性は"無"なのよ?使役のスキルが無いなら、同じ属性のモンスターしか使役できないわ。」
「……無属性のモンスターなんて、三体しか確認出来てないわ。……それも王家の墓の最深部……レベルは最低でも30は必要よ?」
……30!?ええー?私、今レベル1ですよ??1……。
「む、無理じゃあ……。」
「そうだな……しばらくはレベル上げに専念だな。」
……どうやら、私には何も出来ないみたいです。……でも、"無"属性のモンスターなんているんだね、知らなかったや。
その後、コルトムーン山に行き。魔物を討伐しましたが……もちろん私は見てるだけでした。
──こうして、私はほとんど何も出来ないまま……。時が経過してしまいました。




