~五章~ 「初めての冒険です!」
──二日後、私達は初めての冒険に出掛ける事になりました!
朝早くから、学生寮の前で四人集まり。……いざ冒険の旅へ……。と言っても、学園の周りやちょっと離れた森や平原で、モンスターと戦うだけなんだけどね。
まあ、初めての四人揃ってのお出かけです。頑張ろう。……でもモンスターはちょっと恐いかも。
歩きながら今後の説明と、軽く自己紹介等をしました。
この学校では、筆記試験や実技試験等、様々な試験があるのですが。中にはチームでの試験も用意されてるんです。
その為休日はもちろん、放課後も冒険に出掛ける事になります。
「今日はニブル平原に向かうわ」
「余裕があれば、コルトムーン山にも行きたいわね。」
……な、なるほどー。……どんな所だろ?
「とりあえず自己紹介をしましょうか?……私はユミリア、クラスは聖女。属性は闇、レベルは14よ。」
流れる黒髪が綺麗なユミリアさん。
「俺は名はシオン、勇者で属性は水だ。レベルは12、以後よろしく頼む。」
ロングヘアーでクールなシオン君。
「僕の名前はリカルド、勇者で風だよ。レベルは11、よろしくね。」
爽やかでフレンドリーなリカルド君。
「わ、私は……えと。イズミです。クラスは勇者で、属性は無で……。ちょっと呪われてまして……えーと、レベルは1です。よっ、よろしくお願いします!」
…………。
「え?」
「……え?……1?」
「勇者だよね?」
「ま、まあ女性なんだし……別におかしくは無いんだけど……。」
「あ、あのっ……ごめんなさいっ。お義父様が戦闘訓練は学園に入ってからに、しなさいって言いつけで……。」
……本当は私も剣の稽古とかも、したかったんだけどね……勇者なんだしね。
「……それは、いいのだけど……。魔法の訓練もしなかったの?」
「あ、あのっ……私、魔法使えないんです……全く。」
「え?……勇者だよね?」
「かなり適性は、あるはずだよね?」
……やはり聞かれてしまいました、仕方無いのだけど……あー。……私は色々あり、顔中汗だくになりました。
「あっ……そうか、属性、無か……。」
……三人共、納得した様子でした。……そうなんです、誰も『無』属性の魔法なんて、聞いたことが無いんです。
「レベル1……どうしようかしら?」
ユミリアさんが、何やら思案していると。シオン君がダンジョン等の、適性レベルを教えてくれました。
適性レベル
5 ニブル平原
10 コルトムーン山
15 王家の墓。
「レベル5以下の生徒は、学園で訓練をする。学園のチーム試験は、この王家の墓になる。」
……なるほどー。
「俺達勇者は、他とは違う。スキルもステータスも高いから、レベル10もあれば王家の墓に挑めるだろう……。」
……ふむふむ。
「とりあえず、私もサポートするから特訓よ。」
……私達は、ニブル平原の一番奥。コルトムーン山の入り口付近の、湖まで来ました。……なんかワニさんが沢山います。
「レベル上げなら、こいつだろう。……多少堅いが動きが遅い。」
「ワニゲーター、モンスターレベルは5だ。……属性は土。」
「イズミには関係無いが、属性には相性がある。火は風に強く、風は土に強い。土は水に強く、水は火に強い。光は闇に強く、闇は四属性全てに強い。」
「僕の出番だね。」
……ワニさんは、属性土だから……リカルド君の風に弱いんだね、なるほどー。
「あくまで、属性相性は『魔法』だけだ。……物理は関係無い、相性が悪ければ物理で挑むのが正解だ。」
な、なるほどー。……ちょっと難しくなって来ました。
とりあえず実戦開始です!
相性が良い、リカルド君の風魔法で弱らせて……私が剣で突きます!
「えいっ!」
……これなら簡単です!……私のレベルも早く上がりそうです…………ガブッ。
「……ガブ?」
「うわああああ!」
私が叫ぶより早く、リカルド君が叫びながら倒れました……。
「──まずい!」
シオン君が物凄い速さで、助けに来てくれました。
──シュババッ!
流石は勇者。シオン君の剣さばきで、ワニさんはばったばったと、倒れていきます。
「一旦引くぞ!」
私はシオン君に助け出され、何とか無事でした。
────────。
「呪いの事、忘れていたよ……。」
と、リカルド君。
何とか回復魔法で治療し、ひと安心です。回復魔法凄く便利ですね、ほんとありがとう。
「これは思ったより、厄介な呪いだったわね……。」
「ああ……ダメージがそのまま半分行くとはな……。」
……今回の実戦で始めて分かりましたが、どうやら私の呪いのダメージは、そのまま半分行くみたいなんです。
……つまり、(今回は)リガルド君のレベルや防御がどれだけ高くても、関係無く私のダメージがそのまま半分行ってしまうので、大ダメージになってしまうんです。
「……一度、戦い方を考えた方が良さそうだな……。」
……私の現状、レベル1、魔法使えない、呪いによる分散ダメージ。
前途多難過ぎて泣いちゃいそうです。……クビになんて、なったりしないよね?