表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

11/16

~十章~ 「三周目も頑張ります!」

──!?

夜中に汗だくになり、声にならない叫び声を上げる私……。

…………。

…………。

「戻ってる……よね?」

大丈夫と自分に言い聞かせながらも、一応心配になり確認の為にユミリアの部屋に向かった。

確か前回は起きてたはずだよね……。


コンコン……。

ノックするが返事は無い……。

キョロキョロと周りを見回す。


「どうしたの?こんな時間に……。」

ユミリアの姿を確認し、ほっと息を撫で下ろすイズミ。

「ユミリアさん、大事なお話があります。……部屋に入ってもいいですか?」

「こんな夜中じゃないと駄目なの?それ……。まあ、別に構わないけど……。」


私は今迄の経緯を全て、ユミリアさんに話しました。

…………。

「それを私に信じろと……?」

……あれ?半信半疑所か、ユミリアさんは疑いの眼差しです。


「鑑定!ほら、私レベル27です!」

「そうね、27よねぇ……。」

「妖精!ほら、可愛いテティスちゃんです!」

「そうね、妖精よねぇ……。」

テティスちゃんは私の手の上で、可愛くポーズを決めお辞儀します。

「ぺこり」

「そうね、可愛いわよねぇ……。」

テティスちゃんと二人で、ユミリアさんをじーっと見ます。

「…………うっ。」

「分かったわよ、信じるわよ!」


何とかユミリアさんには信じてもらえたみたいです。明日はシオン君とリカルド君にも説明しなきゃ……。


──翌日。

学園からニブル平原迄の道の途中で、前回同様シオン君とリカルド君に説明をしました。


「…………。」

「うーん。」

うーん、やっぱり二人は半信半疑の様子です。そりゃあ、そうですよねぇ。

しかし流石に私のレベルと妖精さんのテティスちゃんを見て、一応信じてはくれたみたいです。


「しかし、このままではまた同じ道を辿るのではないのか?そうだな……何か対策を講じないとな。」

「イズミ、前回の三年間で何かこう……気が付いた事とか。対策は無いのかい?」

……。

私は、無言で首を振りました。


前回は49階まで攻略し、皆さんのレベルは49に。私は27になりました。

でも魔王に会う所か、それ以前の魔王四天王の一人にすら全く歯が立たず、全滅をしてしまいました。

このままでは……このままではまた、同じ事を繰り返すだけになってしまいます。

皆さんもそれは承知で頑張りましたが……。

それほどダンジョン王家の墓の、下階層の難易度は高く。皆さんは苦戦をしていました。

もちろん私は見ているだけでした。


「何か対策を考えないとなぁ……。」

「そうだな。」


「でも、49階迄の攻略情報はあるんでしょ?」

「あっ、はい。それはきちんと覚えてます!」

そこは絶対にわすれません!……今の私に出来る事なんて、これくらいしかありませんからね。

「まあ、後三年もあるんだし……。ゆっくり考えようか。」


とりあえず今、出来る事を頑張るしかありません。

と、いう訳で。今日はニブル平原のワニさん退治です。

テティスちゃんのレベルが1に戻ってますので。皆さんのレベルアップも兼ねて、私も頑張らないと……。

テティスちゃんは重要な戦力ですからね。


「やあっ!」

私はワニさんに向かって、剣を振り下ろしました。

確か前回の私はレベル17で、えーと。

思い出しました。ワニさんの討伐は二体です。

今はレベル27!少しはやれるはず??

──ザシュ、ザシュザシュ!!

「凄い凄い!」

私は自分の成長にびっくりしてしまいました。

一応腐っても勇者レベル27。

ワニさん退治くらいは余裕の様です……がぶっ。

「……がぶっ?」

──ザシュ!

私は慌てて噛みついて来た、ワニさんを撃退しました。

「痛いなぁ、もう!」


本日の結果は、ワニゲーターさん討伐32体でした。


この後、私はコルトムーン山でもそこそこ活躍出来。

予定をさらに1ヶ月早め、ダンジョン"王家の墓"攻略に挑みました。


23階迄の攻略を終えて、私達はさらに下の階に向かいました。

「イズミ、この階の情報は?」

「あっ、この階はですね……。」

私はこの階の説明を終え、ユミリアさんと二人、入り口付近で待機しています。

「うーん。やっぱり戦えないのは悔しいなぁ……。」

「今回は私もなんだから、一緒じゃない?……気にする事なんて無いわよ?攻略情報で助かってるんだから。」

「そうなんだけど……。」


24階は特に仕掛けも、罠も無いものの。出現モンスターが強く、そのほとんどがアンデッドで。特にスケルトンが強敵でした。

スケルトン種の骸骨剣士。

物理に耐性あり。魔法が弱点。炎、光魔法に弱い。……しかし、水と風の魔法を無効化し、闇魔法を吸収する。


つまり、私とユミリアさんはお留守番です。

テティスちゃんの魔法は、効くのよね……。凄いね。


「…………。」

私はこれからの事を考え、不安になっていました。

本当に魔王軍に勝てるのか?また前回と同じ様な運命を辿ってしまうのではないか?

……確かにイズミも皆も頑張っている。しかし、特に打開策も何も無いまま、前回と同じ様にダンジョンを攻略するしかないこの現状に。

イズミは暗い気持ちになっていた……。


この呪いの能力により、パーティーの足を引っ張っている事を。皆の頑張りを無下にしている事を……。

そしてなりより、大切な仲間が傷つき倒れていく恐ろしさを……。


イズミは痛いほど理解し、何も出来ない自分が悲しかった……。


「…………。」


「ねえ?イズミ。私が貴女をパーティーに誘った日の事を覚えてる?」

「……え?あっ、はい。覚えてます。」


「私ね、あの時……。エミュール王子が私ではなく、光の聖女を選んだ時。……物凄く腹が立ったの。だから当て付けで貴女を選んだの……。でもね?それが半分。もう半分は……。」

「……え?」

私は何の話だろう?と、戸惑ってしまいました。


「貴女のスキルに可能性を感じたからなの……。だって司祭様でも鑑定出来ないスキルなのよ?しかも二千年前に魔王を産み出した伝説の魔女。……きっと何かあるに違いないわ。」

ユミリアさん……。

「私の勘は、やっぱり当たってたって事よね。だってイズミのお陰で、対策が打てるのだから……。ありがとうね、イズミ……。一緒に頑張りましょう。」


「ユ、ユミリアさん……。うえーん。」

私はユミリアさんの、あまりにも優しい言葉に泣き出してしまいました。


「終わったぞ。」

「お待たせー。あー、またイズミが泣いてる。あまりいじめちゃ駄目だよ?ユミリア。」

「だめおー」

スケルトン討伐が終わり、皆さんが帰って来ましたが。私の顔は涙ぐちゃぐちゃです。うえーん。


「なっ……。なんでそこで、私になるのよ?もう。」


ユミリアさんの優しさに、勇気を分けて貰った私でした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
おお、ちゃんと戦力になり始めている! イズミも頑張りましたね〜。 (*´ω`*) こちらは難産なのですか。面白くなってきているので、気長に待ちます! (・∀・)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ