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1/12

プロローグ

────────。

「ああっ!」

叫びながら起き上がる。

「……あれ?生き……てる?」

(死んだと思ったのに……生きてる。怪我も無いみたい……魔法で治療してもらった……のかな?)

─────────────。

ハッと我に返る。

いや、今はそんな事はどうでも良かった。

「皆は!?」

急いでベッドから飛び起き、廊下に走り出た。辺りは真っ暗だったが、目が慣れているのと、窓明かりから差す光でなんとか周りは見えた。

「皆……ユミリアさん……。」

周りが暗いせいか、それほど必死だったのか、何度も壁に当たり、よろけながらも走り続けた。

─────────。

記憶が鮮明に蘇る。

学園、王国軍。全てを投入した魔王討伐戦争。私達のパーティーは魔王にたどり着く事もなく。全滅した……。

手も足も出なかった……。

いや、実際には私は戦ってすらいない。全くの戦力外であり、足手まといだったからだ。

私は流れ弾に当たり、死亡したと思った……。

たたたたたっ。……ドンッ!

「あいたっ!」

なおも走り出す。男子棟は離れており、かつ女生徒は基本入れないため、まず同性であるユミリアの部屋に向かった。ユミリアがパーティーで一番仲の良い友人だったのも勿論あるのだが。

───────────。

また、記憶が鮮明に蘇る。

「……シオン君。」

ユミリアを庇って倒れた、シオン。

「……リカルド君。」

魔王軍四天王の一人と戦い、敗れ倒れたリカルド。

先ほどの戦いの記憶がまた鮮明に蘇る。

──────────。

しばらく走っているとユミリアの部屋が見えた。激しくノック……。いや、激しく叩いた。

「ユミリアさん!ユミリアさん!!」


………。

返事は無かった。

何も聞こえなかった。

静寂。絶望とも思える静寂。


………。

無いのは解っていた。

あるはずもなかった。

あんな状態で生きてる人間等いないのは、自分でもよく分かっていた……。


脳裏にユミリアの最後の姿が過る。

───────────。

……力が抜け、そのままべたんと、床に崩れ落ちる。

……。

「うぐ……ううっ」

イズミは泣いていた。いや、顔はもうすでに涙でぐしゃぐしゃだった。

そのまま座り込み泣い──────────────。


「……何をしてるの?私の部屋の前で。」

……!?

「えっ!?泣いてるの?なんでっ!?」

泣いているイズミの姿に驚く、黒髪の少女。


───────────────。

………えっ!?

……なん……でっ!?

「生きてる!?」

私は、そう叫んだ瞬間に……ユミリアさんに抱きついていた。いや、飛びかかって抱きついていた……。

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― 新着の感想 ―
イズミと黒髪の少女の関係がどうなっていくのか楽しみです。 少しずつ読み進めたいと思います。 (*´ω`*)
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