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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

モフモフ生活読破記念作品『猛烈系ふくよか女子と、イライラ生活!!』

〜〜現代社会 日本〜〜


 猛烈系ふくよか女子の米豪俵こめごうだわら ドス子はこの日、激しく苛立っていた。


 両腕を頭の下に敷いて仰向けになりながら、彼女は歯を食いしばったかのような表情で天井を睨みつけていた。


 ドス子が苛立っている原因――それは、"小説家になろう"というサイトを開いたまま彼女の傍らで転がっているスマホにあった。


 ギリ……ッ!と歯を鳴らしながら、ドス子は忌々しげに呟く。


「クッソ〜!!……この作品の主人公、ショタ神やモフモフした精霊達に囲まれたり、イケメン達と魅惑のラブロマンスを繰り広げていて羨ましくなってくるでゴワス!!アタイも悪役令嬢になりたい!……こうなったら、アタイも異世界に行ってやらぁ!!」


 思い立ったが吉日。 


 こうしてドス子は、無人島逆ハー生活をエンジョイ!するために、中世ヨーロッパ風な異世界に向かう事にした。









 〜〜ニナ・ロウ界 ヴァイシャハルト王国城内〜〜



 自慢の張り手技:"どすこい楼閣ろうかく"で次元の壁に穴を空けたドス子は、無事に異世界へと到着した。


 理想のスローライフを送るため、手始めにドス子はこの国の皇太子に婚約破棄されてから、島流しをされようと皇太子に襲いかかる――!!


「オラァッ!!どこぞの皇太子!――アタイに婚約破棄しやがれッ!!」


「ッ!?な、なんだね君は!――誰か!この者をつまみ出せッ!!」


『ハッ!!』


 ――こうして、城内の兵士数十人がかりで取り押さえられたドス子は、この国の皇太子であるクウェイン・ヴァイシャハルト殿下によって、目論見通り島流しの刑となった……。









 〜〜どこかの無人島〜〜


「ふわ〜あ。――っと、よく寝たぜぇ……!!」


 海の上でも過ごしやすいパワード昆布ビキニスーツアーマーを装着しながら、丸太で出来た船の上に乗って昼寝している内に、無事無人島へと流れ着いたドス子。


 そんな彼女を出迎えたのは、スパイ容疑でこの島に流された歯がやたらと白いオッサン忍者:女丸おんなまる


 訊けば、ここは"赫天(あかてん)アイランド♡"という名前の無人島であり、現在この島にいるのは女丸だけのようであった。


 イケメンが皆無な事に、早くもドス子のテンションはダダ下がりとなっていた。


「他になんか、人間以外でショタ神とかイケメンに変化出来るモフモフ精霊とかいねぇのか?」


「身近にある幸福に気づかせてくれる"青い鳥"とか、ちょっとロリ系入った顔つきのムチプリ♡な獣耳少女に化けて悪さする"野狐"とかならいるでゴザル!」


「ふーん。……ここって、本当にクソな島だな」


 こうしてドス子は、さっさとこんな島を抜け出す事を決意した。


 そして今度こそ本物の悪役令嬢になるために、各地でクウェイン皇太子の弱みを集め、その情報をもとに皇太子に婚約破棄させる事にしたのである……。










〜〜ヴァイシャハルト王国城内・戴冠の間〜〜



 あれから島を自力で脱出したドス子は、旅の途中で出会った乙女ゲーに出てきそうなイケてる仲間達とともに、国内十箇所からクウェイン皇太子殿下の不正の証拠を集める事に成功した。


 かつてのように張り手で城内に侵入したドス子達は、戴冠の間にてクウェインと対峙する。


「やい!クウェイン、このヤロー!!……小綺麗にスマした顔してやがるが、こんだけテメェが犯した汚い悪事の証拠を集めてきてやったんだ!!――バラされたくなけりゃ、アタイを悪役令嬢にするために、神妙に婚約破棄しやがれッ!!」


 凄まじいドス子の剣幕だが、クウェインは何ら動じる気配はなかった。


 それどころか、追い詰められているにも関わらず、涼し気な笑みを浮かべながらドス子達に向けて返答する。


「フフフ……まさかここまで見事に、私の不正の証拠を集めて来てくれるとは夢にも思わなかったよ!――これで私は、真の"王"になる事が出来る……!!」


「なにぃ……!?それは一体、どういう事でゴワスか!」


 ドス子の叫びには答えずに、クウェインは盛大に右手を天に向かって掲げる。


 刹那、これまでドス子達が必死に集めた十の不正の証拠が、勝手に宙に浮かび始めたかと思うと、次々とクウェインのもとへと取り込まれていく――!!





 ――古来より”十”とは、神聖なる数字であった。


 それは、人が新しい生命を育むのに要する月日であり。


 それは、”ヴィシュヌ”が持つ分身アバターラや”マルドゥーク”を構成する輝きなど、王が誇る権威やそれを確かなモノにする権能を示す象徴でもあった。


 ゆえに、人は十の数に王の影を見るとされている――。


 そんな意味が込められた"十"の不正の証拠を自身の中に取り込んだクウェインは、まさに本物の"王"とでも言うべき威容を誇っていた。


 強大な力を全身から放ちながら、宙に浮かぶ"真王":クウェイン。


 彼は、ここまで自身を高みへと導いた米豪俵こめごうだわら ドス子という猛烈系ふくよか女子に向けて、これまで悪事を行ってきた者とは到底思えない柔らかな笑みと、称賛の言葉を送る。


「ドス子、と言ったか。……君の協力なくして、私がこの領域に至る事は到底出来なかった。君という存在は、確かにこの世界において異物だったかもしれないが、この世界で生きる者達の常識にとらわれない君の在り方は、紛れもなく私には必要な存在だった……!!」


 クウェインからの心からの賛辞。


 だが、それを受けてもドス子の表情は晴れるどころか、悔しさのあまり、盛大に顔を歪ませていた。


「……クソッ!アタイの動きは全て、お前の掌の上だったという事でゴワスか……!!」


 クウェインの不正の証拠は各地で"隠蔽"されていたのではなく、クウェインをあまりにも強すぎる"王"という存在にさせないための"封印"であった――。


 この世界の人々の決断と、自身がしでかした事の重大さというものを、ここに来てドス子はようやく理解させられる事となっていた。


「クッ……今のコイツには、我々では敵わない!!君だけでも逃げるんだ!ドス子さん!!」


 ドス子が逃げるための時間を稼ごうと、彼女の仲間達が決死の気迫でクウェインへと突撃していく――!!


 だが、対するクウェインは彼らに向けて一瞥することなく、僅かな気迫のみでいっせいに壁へと叩きつけていく……。


『グアァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!?』


「……お前等!?――クウェイン、テメェッ!!」


 仲間達がやられる姿を目の当たりにした事によって、折れかかった闘志を何とか奮い立たせる事が出来たドス子。


 対するクウェインは、どこまでも涼し気に――それでいて真摯な声音でドス子へと語りかける。


「――ドス子よ。私はこの清濁併せ呑む力を持って、必ずこの世界の全てを手に入れてみせる。その覇道を為す傍らには、君のような猛き存在こそが私に相応しいと断言出来る!……我が大望が為された暁には、君が望む全てをあげよう。それこそ、婚約だろうがその破棄だろうが、君の望むままに。――ドス子、私には君が必要なんだ……!!」


 "真王"たる圧倒的な力と、クウェイン自身の偽りなき真剣な願い。


 それを前にしたドス子の答えは、ただ一つであった。


「――"真王"だの"清濁併せ呑む"だのふざけた事言ってんじゃねぇ!……今の時点で仲間達を問答無用でぶっ飛ばすようなテメェに靡くほど、アタイは軽い女じゃねぇぞッ!!」


 そう口にすると、盛大に四股を踏んでから正面のクウェインを睨みつけるドス子。


 ――それは、紛れもない臨戦態勢そのものであった。


「……アタイが間違ってたぜ。テメェみたいな野郎にすがって、"悪役令嬢"になろうとするなんてな……!!」


 だから、とドス子は告げる。



「テメェみたいな奴からもらうまでもねぇ!!――テメェの腐りきった王権とやらは、アタイの張り手で盛大に破棄してやるでゴワスッ!!」





 最早、話し合いは無意味と判断したのか、なんの感情も浮かばない顔つきのまま"真王"としての権能を発動させ、全身から眩い輝きを放ち始めるクウェイン。


 対するドス子は、盛大に腰をおろして力士を彷彿とさせる構えを取る。









 猛烈系ふくよか女子:米豪俵こめごうだわら ドス子。


 彼女による、世界を超えた最大最強の婚約破棄劇が、今まさに繰り広げられようとしていた――!!

※本作は、伊賀海栗さんの『無人島へ追放された悪役令嬢はモフモフに囲まれ悠々自適な生活を送る』(N1456FQ)をもとに執筆しました。


許可をくださった伊賀海栗さんには、心より感謝しております。

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― 新着の感想 ―
[一言] 張り手最強説( ˘ω˘ ) どんな食材でもアカテンさんにかかればアカテンカラーな料理に仕上がってしまうということが証明されましたね!(満面の笑み)
[一言] ……参りました。拙者のマケで御座る m(_ _)m
[良い点] これはひどいwwwwwwww ドス子最後めっちゃっぽくなってるんだけど!w 無人島逆ハー生活どうしたww しかもイケメンクウェイン様の申し出を張り倒すとかかっこよすぎでは!!?? ムチ…
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