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たとえ未来のない恋だとしても  作者: ラリックマ
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 それから僕は、菜乃花の姿がみえなくなるまで菜乃花の後ろ姿を眺め続けた。

 そして菜乃花の姿が見えなくなると、僕はハッと我に返った。

 今起きた一分間の出来事に、僕は感動していた。

 胸の鼓動が早くなっているのを感じ、顔は赤く、熱くなっている。

 菜乃花と一緒にいたのはほんの一瞬のはずなのに、僕と菜乃花は長いことあの橋の上で話していたんじゃないかと思わされる程に、今の一分間は充実していた。

 僕の心は色々な感情が混ざり合っていた。

 楽しいや嬉しいなどと、僕があまり思わない感情が僕の中に湧いていくのを感じる。

 でもその中で一番強く思った感情は、悲しいだ……。

 菜乃花と別れてしまって悲しい。

 また明日も同じように会えるかわからないのが、酷く(さみ)しい。

 プラスの感情よりも、僕の中ではマイナスの感情の方が大きくなっていた。

 もう二度と会えないんじゃないか?

 そう思わされる程に、彼女はとても儚く感じる。

 僕は菜乃花を追ってきた道を引き返すと、そのまま家に向かう。

 帰路につきながら僕は、菜乃花について考えていた。

 彼女との会話はほとんどなく、知っているのは名前だけ。

 僕は彼女のことをまだ何も知らない。

 だからもっと知りたい。

 もっと話して、彼女のことを誰よりも理解したい。

 

「ただいま」


 小さな、聞こえるか聞こえないかぐらいの声でそういうと、僕はいつも通り自室に行く。

 そして勉強道具を出すと、勉強を開始する。

 さっきはあんなに集中できなかったはずなのに、今は信じられないぐらい集中できている。

 心の中にあったもやもやとした感情が、今は無くなっている。

 どうして急に無くなったのかは、わかっている。

 自分の気持ちに気がついたからだ。

 そう、僕は……。

 出会って二日しか経っていない女の子に、恋をしてしまったのだから。

 

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