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決意
痛い……痛すぎる……。菜乃花がいなくなってしまった時のこと、菜乃花ともう二度と会えなくなる未来。
全部覚悟した上だったのに、こんなにも辛いとは思わなかった。何度も何度も手紙を読み返す。
字を書くことに慣れていないからだろう。お世辞にも上手とは言えない字で書かれた手紙を、何回も読み返す。
止まらない涙を拭うことも、うるさすぎる鼓動の音も、止めることはできない。ぐしゃっと手紙を握る。
僕はもう立ち止まらない。この先うまくやっていけるかどうか分からないけど、それでも歩みを止めることはしない。
天国にいるであろう菜乃花に胸を張れるぐらい立派にならないと、彼女に申し訳が立たない。
だからもう止まらない。彼女が分け与えてくれた幸せを糧に、僕はこの先彼女の分まで生きていかなくてはならないのだから……。
ぐしゃぐしゃにしてしまった手紙をズボンのポッケにしまうと、帰路につく。もう彼女はいない。その現実を、強く受け止めながら……。




