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作者: 蓮野 藍

脳裏に女性の歌う声がかすめる。

これはいつか食べた夢。

その女性の声は高音でも低音でもない。柔らかく、聴き心地が良い。

緩やかな旋律は一人でいる時寂しさを感じるものの、優しい感情が多く出てきて肩の力が自然と抜ける。


風を肌で感じながらこの歌を聴いたら、どれだけ心地がいいだろう。


微かに口端を緩めると、目の前で動く尾は速度を速めた。明るいオレンジで、先が白く先端に向かって細くなっている。

そして天に向かって生えている同じ明るいオレンジの獣耳。

数日前かもっと前からか。

目の前に当時する回数は日を追うごとに比例して増している。

竹林の間から差し込む光が二人を平等に照らす。


明るいオレンジ色の尾を持つ人物曰く、助けてもらった恩返しで来ている。らしい。


ここはとある竹林にある庵。人里離れた場所故に、たどり着くまでは程々の努力を必要とする。

だが目の前にいる存在は人外。本来四足歩行だが、人の姿になることで二足歩行も出来る。普段、たどり着くと聞く「疲れた」の言葉を人の姿を取った狐は口にしない。

サヤサヤと竹林のさざめく。同じく人外でありながら、人の姿をとっている灰色の髪が揺れる。

目の前にいる存在の明るい茶色をした獣耳も髪も微かに揺れる。


自分という身の上か、種族故か、夢現かわからなくなることがたまにある。


外の風に揺られ、小さく音が鳴る。

己が身につけている鈴だとすぐわかる。

目の前の存在の耳は音に反応することはなかった。



脳裏をかすめた女性の歌声はもう聞こえない。


ツイッターの和風幻想譚の結果から書いた話となります。

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