第二百七十二章 モミジ、軍に応援依頼する
再び暗黒星雲の調査に向かった陽子から、ある日、連絡がありました。
陽子は、「敵は、以前、地球を襲った時に、アヤメさんのスケバングループが援護していた為に、フジコさんの話が本当だと判断したようです。どうやら次は先にどちらか一方のみを襲えば、もう一方は手薄になる為に、そこを攻める戦略のようです。現在、先遣隊との交戦データーを解析中ですので、それが完了次第、攻めて来る可能性があります。私は一旦、地球へ帰還します。」とモミジに報告しました。
地球に帰還した陽子にサクラが、「陽子さん、女神ちゃんでさえ危険で調査していない不良グループに、単身赴くなんて大丈夫でしたか?無事に帰って来られたのは、大丈夫だったのですよね。争いを避けられないのであれば先手必勝です。私と女神ちゃんが陽子さんの大型特別艦に乗り込んで、スケバングループも総動員して敵の準備が整うまでに攻撃を開始しましょう。」と提案しました。
陽子は、「一寸待って下さい。私は不良グループの調査をして来ましたが、相当戦力があるようです。アヤメさんのスケバングループの戦力を把握していない為に、戦いを挑むベキかどうか判断できません。先手必勝と言っても、第二次世界大戦の時、アメリカの国力を把握していた山本五十六長官は、先手必勝と言うか奇襲攻撃をしなければアメリカに勝てないと判断して、ハワイの真珠湾攻撃で開戦しましたが勝てませんでした。先手必勝とは限りません。他の選択肢がないか検討して、戦闘状態に入るのは最後の手段にすべきです。」と反論しました。
サクラは、「陽子さんの調査では、相手が攻めてくる事は間違いないのでしょう?それを止める方法がなければ、相手の体制が整うまでに攻撃すべきです。今晩か明日にでも出撃すべきです。」と陽子に迫りました。
陽子は、「一晩考えさせて下さい。」と即答を避けました。
”いつも冷静なサクラさん、どうしたのかしら?”と不思議そうでした。
アヤメを守る事が本当の任務であるモミジは、二人の話を聞いて焦り、テレジア星の軍隊に、「私と陽子さんとでは、アヤメを守りきれません。至急応援お願いします。」と応援依頼しました。
陽子は自分の部屋で修の遺影に向かって、「今度の敵は強力で地球を守れないかもしれない。修ちゃん、私はどうすれば良いの?笑ってばかりいないで、何か言ってよ。佳子さん、頼りになるお姉さまとして何か言ってよ。マリさん、御免なさい。マリさんが命懸けで守った地球を守れないかもしれない。」と泣いていました。
モミジが来て陽子に、「あの不良グループに単身赴き調査して来るとは、陽子さんも一人前の秘密調査官になって来たわね。そんなに弱気にならなくても大丈夫よ。そろそろ私の本当の任務を教えます。陽子さんも知っていると思いますが、女神ちゃんは死人を生き返らせる事ができます。これは人を疑う事を知らない汚れのない心を女神ちゃんが持っているからです。だから博士に簡単に騙されたのですが、この力を騙されて悪用される恐れもあります。それにこの力を持っているテレジア星人は殆どいない為に、貴重な存在です。私の任務は、女神ちゃんが殺されたり、その力を悪用されたりしないようにする為に守る事です。女神ちゃんを危険に晒さないように、その力を持っている事を秘密にしていましたが、まさか私が殺されて女神ちゃんがその力を発揮して、女神ちゃんの事がばれるとは思いませんでした。軍から大目玉食らいました。今回私達で女神ちゃんを守る自信がない為に、軍に応援を依頼しました。安心して下さい。今、警察がその不良グループの犯罪行為を捜査中です。恐らく女神ちゃんのスケバングループと争いになる前に、警察が不良グループを検挙すると思います。争いは避けられる可能性があります。最悪、先に争いが始まっても、軍が援助してくれます。軍の戦艦は、私達が使用しているヴィツール号やハリアット号とは比べ物にならない程強力なので大丈夫ですよ。地球で言えば、乗用車と戦車の違いね。」と説明しました。
陽子は、「死人を生き返らせる力を悪用できるのですか?」と不思議そうでした。
モミジは、「死刑になった凶悪犯が生き返ればどうなりますか?それと、その力は逆流可能です。その破壊力は宇宙戦艦の主砲以上よ。女神ちゃんがいつも悪ふざけして、真剣な話をしないのは、精神が高ぶり、その力を発揮してしまう事を恐れているのよ。」と説明しました。
陽子は、「そうでしたか。それでアヤメさんが危険にならないように、各種情報をアヤメさんに流していたのですね。フジコさんもアヤメさんの情報の速さには驚いていましたが、専門家の為に早く正確だったのですね。」と納得していました。
モミジは、「それもありますが、私が情報を流す時に女神ちゃんの近況を確認する事と、女神ちゃんが私から離れないようにする目的もありました。」と説明しました。
陽子は、「私は敵が攻めてくる可能性があると言っただけですのに、冷静なサクラさんが焦っていました。何かあるのですか?」とサクラの様子が気になっているようでした。
モミジは、「アネゴは小さい時に、その不良グループに両親を殺されています。それで冷静さを失ったのだと思います。アネゴは小さい時から親にも甘えられず、何でも一人でしていた為に、皆より少し大人びて見えるのかもしれませんね。」と返答しました。
暫くするとアヤメが来て、「陽子、アネゴが先手必勝だと言っていたぞ。出撃しよう。」と喧嘩したくてうずうずしている様子でした。
陽子は、「今、テレジア星の警察が動いています。アヤメさん、今出撃すれば最悪不良グループと一緒に警察に捕まり、また刑務所暮らしになる可能性がありますよ。」と忠告しました。
アヤメは、「何だ、その“また”と言うのは!」と怒っていました。
陽子は、「サクラさんから聞きましたが、昔、地球で色々とあり、警察に逮捕されて刑務所暮らしだったそうですね。でも、そのお陰で私が生まれたのですよね。それについては感謝しています。」と説明しました。
アヤメは、「そうか、陽子だけだな、それを理解してくれるのは。」と少し落ち着いた様子でした。
陽子は、「モミジさんからも聞きましたが、情報が早いアヤメさんより、私の方が早かったのは、アヤメさんの情報源はモミジさんだったの?今の話はモミジさんから聞いたのよ。」とアヤメの情報源を確認しました。
アヤメは、「そうね。陽子はモミジの援助が条件で秘密調査官になったのだから、モミジは同じ秘密調査官の陽子に先に連絡したのね。」と納得していました。
アヤメが、「私のスケバングループに動向を見張らせるから、皆は少し休んで戦いの事は忘れて。何かあったら丸東組を通じて知らせるから。」と提案しました。
陽子達は、医師の仕事に戻ったり、渚は久し振りにマーガレットと柔道で対戦したり、皆思い思いの生活をしていました。
ある日、丸東組組長の玲子が勉強会をする事にしました。
陽子は、「私が秋山先生と始めた勉強会は、今も続いていたの?」と意外そうでした。
玲子は、「そうよ。子供達は可愛く、ここに子供が出入りするだけで心が明るくなるわよ。」と続けていた理由を説明しました。
陽子達は、「子供と話をするだけで心が弾むので私達も手伝っても良い?」と陽子や渚達も手伝う事になりました。
ある子供が、「先生、磁石のN極は北極を向くのですよね?それだったら北極では磁石のN極は何処を向くのですか?」と不思議そうでした。
陽子は、「良い所に気付きましたね。正確にはN極は北極を指していません。北極は地球の自転軸です。磁石が指すのは磁極点で北側、すなわちN極が指すのは北磁極で、北極から南に少しずれています。従って北極では北磁極を指します。“北極では磁石が働かない”なんてセリフのあるマンガもありますが、マンガは悪までもマンガよ。北極でも磁石は働きます。働かないのは磁極点です。」と説明しました。
勉強会終了後アヤメは、「陽子、地球の北極の近くには地獄点があるのか?それは地獄の出入口か?南極には天国との出入口があるのか?」と興味がある様子でした。
陽子は、「地獄点ではなく、磁極点よ。」とアヤメに解るように地球儀を使って説明しました。
アヤメは、「陽子は優しいわね。アネゴや博士は、馬鹿に説明しても仕方ないとか何とか言って、説明してくれないんだ。そう言えば勉強会で、一歩進んで考えるのは大事だと言っていたが北磁極では磁石はどうなるのだ。」と不思議そうでした。
陽子は、「UFOで北磁極に行き実験してみましょうか。」と提案しました。
アヤメは、「UFOが人目に付けば厄介な事にならないか?」と不思議そうでした。
陽子は、「北極では航空機の着陸は困難で、恐らく亡くなったマリさんでも、簡単に着陸できなかったと思うので、誰もいないと思うわよ。」と大丈夫だと安心させました。
アヤメは、「北極には、目印があるのではないのか?人がいるかもしれないではないか。」と疑問に感じました。
陽子は、「それは南極でしょう。南極は大陸なので場所は移動しないのよ。だから旗などの目印は付けられるけれども、北極は大陸ではなく海なのよ。氷の塊なので動くのよ。旗を立てても意味ないわよ。南極大陸に北極海と言うでしょう。」と説明しました。
アヤメは、「それじゃ、どうやって北極に行くのだ?常に動いていれば解らないじゃないか。」と不思議そうでした。
陽子は、「説明が悪くて、御免なさいね。北極は動かないのよ。氷に旗を立てても氷が動くので旗も動くのよ。でも、GPSで確認可能です。しかし磁極点は動きます。北極に一番近い観測所が常に観測していますが、UFOから磁気を頼りに確認可能です。」と説明しました。
次回投稿予定日は、5月21日です。




