第二百五十章 コスモス、詩織と親友に
家に帰った刑事の携帯にコスモスから着信があり、「あなた、のんびりと何をしているの?何が、“警備は我々がする”よ!同僚の白山詩織刑事が病室で襲われたわよ。犯人は捕まえて病室に縛っているけれども、素人の私が縛ったのでいつロープを解くか解らないわよ。早く行って逮捕しないと詩織が危ないわよ。」と忠告しました。
驚いた刑事は上司に携帯で連絡して慌てて病院に向かいました。
上司から連絡を受けた刑事数人が駆け付けて犯人を逮捕後、「コスモスは何故、俺の携帯番号を知っていたのだ?」と不思議そうでした。
詩織に事情を聞くと、「内田教授はコスモスさんの事をマジシャンではないと言っていましたが、私にはマジシャンとしか思えません。犯人が病室に入って来て私を消音銃で射殺しようとした時に、コスモスさんが病室に入って来て、“その銃の弾は抜いておいたわよ。”と銃弾をポケットから出しました。抜き取るチャンスはなかった筈で、いつ抜き取ったのか今でも解りません。その後、犯人はコスモスさんをナイフで襲いましたが、コスモスさんは逃げませんでした。確かに刺された筈ですが、出血もなく逆に犯人が、“放せ!”と焦っていましたが、どうなっていたのか解りませんでした。その後ナイフが急に外れたらしく、犯人は後ろへ吹っ飛び、私が寝ているこのベッドに頭をぶつけて気絶した為に、コスモスさんが縛り、あなたに連絡しました。携帯番号は、その時に私が教えました。」と説明しました。
その話を聞いた現場に来ていた年配の刑事は、「その女性の名前はコスモスですね?」と確認後、看護師に、「内田教授は今この病院におられますか?」とコスモスの事を何か知っている様子でした。
看護師は、「この騒ぎで、患者の様子を見に来ます。」と話をしていると渚が現れました。
「患者が心配なので診察します。皆さん、病室から出て下さい。」と人払いして診察を始めました。
診察終了後、渚は、「今回は出血しませんでしたが、いつ内臓から再出血しても可笑しくない状態です。ベッドから離れるのはトイレの時だけにして下さい。風呂は、ベッドバスにしますので、それで我慢して下さい。それ以外は、安静にして下さい。これ以上状態が悪くなると、導尿管を使用して、トイレもここで済ます事になります。」と説明してから、病室の外へ出て貰った警察関係者を病室に入れました。
年配の刑事は、「あなたがコスモスさんの事を知っている内田教授ですね。ひょっとすれば、コスモスさんはヴィツール号のコスモス艦長の事ですか?」と確認しました。
渚は、「そうです。」と答えると、それを聞いた詩織はベッドから身を乗り出して、「ヴィツール号ってなんですか?」とコスモスは軍人なのかと思いました。
渚が、「安静と言ったでしょう!そんなに動くと、先程説明したように、トイレも行けなくなりますよ。コスモスさんの事は、この刑事さんが知っているようなので、後でゆっくりと話を聞いて下さい。それとコスモスさんがあなたの事を引き続き、護衛してくれるそうですよ。あなた方の護衛では頼りないらしいのでね。」と同僚刑事の頬を軽く叩いて、渚は病室を出て行きました。
年配の刑事は全員に、「コスモスさんから手を引いて下さい。私達が太刀打ちできる相手ではありません。」と指示しました。
ベッドの詩織は納得できずに、「何故ですか?」と身を乗り出して質問しました。
年配の刑事は、「コスモスさんは、今後も白山刑事を護衛するとの事ですが、恐らく、この病室の中にいると思われます。あなたにそれが解りますか?」と返答しました。
詩織は起き上がって、「どこにもいないですよ。」と周囲を見渡していました。
天井から流動体の物質が垂れて来て、それがコスモスに変わったので全員自分の目を疑っていました。
年配の刑事に、「これはどういう事ですか?」とコスモスの正体を知ろうとしていました。
年配の刑事は、「私も会うのは今日が初めてですが、彼女は宇宙戦艦ヴィツール号のコスモス艦長です。主砲の一撃で地球は粉々に吹き飛びます。銃や刃物どころか、核兵器でも平気です。」と説明しました。
「えっ!コスモスは宇宙人なのですか?」と驚いて絶句していました。
その空気を和らげる為にコスモスは、「その刑事さんが言ったように、私はずっと彼女の傍にいました。診察の時もね。そんなに起き上がっていると、確かトイレに行けなくなり、導尿管で垂れ流し状態にすると言っていましたが、大の方はどうするのでしょうね。」と笑ったので、皆大笑いしました。
その様子を見てコスモスは、「皆、やっと笑ってくれましたね。」と緊張が和らいだと安心していました。
しかし詩織は不満で、「馬鹿!皆、もう帰って、私もう寝る!」と蒲団に潜り込みました。
上司は、「解ったから、護衛の警察官を残して帰るので安静にして。そんなに動いたら、導尿管で垂れ流しだよ垂れ流し。」と詩織の下半身を見ていました。
詩織は、「何処を見ているのよ!馬鹿!H!変態!早く帰れ!」と怒って布団にもぐりました。
皆が帰った後、詩織は、「コスモスさん、いますか?寝るには、まだ時間も早いので、話し相手になって頂けませんか?」と話し掛けました。
コスモスが、「良いよ。何の話をしようか。」と話し相手になる事にしました。
詩織はテレジア星の事が知りたくて質問したので、テレジア星の事やテレジア星人について話をしました。
その後、詩織は、「いつまで私を護衛してくれるの?」と今後の事を知ろうとしました。
コスモスは、「安全が確認されるまでいつまでも、場合によっては、あなたが警察を定年退職して老衰で亡くなるまでずっと護衛しても良いよ。」と何も考えてない事を説明しました。
詩織は、「一寸待ってよ、それじゃ私は、一生見張られていてどこにも遊びに行けないしデートも気になってできないじゃないの!」と不満そうでした。
コスモスは、「見張られていると思うから、いけないのでしょう!私達、友達になりましょう!何処へ遊びに行く?」と友達になろうとしていました。
詩織は、「私はスキューバーダイビングをやっています。バイクで海へ行き潜ります。」と自分の趣味について話をしました。
コスモスは、「テレジア星人は、体の大きさや形を自由に変えられる事を説明しましたが、私があなたのライダースーツやヘルメットに変身します。そうすれば大型トラックの下敷きになっても、マシンガンで銃撃されても大丈夫ですよ。海に潜る時には、潜水服に変身するので、サメに襲われても大丈夫ですよ。」とテレジア星人の能力について説明しました。
詩織は、「でも襲われた時に、酸素ボンベのチューブを切られたら大丈夫じゃないでしょう?」と絶対安全ではないと説明しました。
コスモスは、「大丈夫ですよ、だって酸素ボンベはただの飾りですから、カバン代わりに使用すれば良いですよ。先程説明したように、テレジア星人は基本的に植物なので、密閉した潜水服に変身して、私があなたの吐き出した二酸化炭素を吸い、酸素を吐き出します。と言えば、もう解りますよね。食事と飲料水だけ準備しておくと、トイレを何とかすれば、一週間でも一ケ月でも、ずっと潜っていられますよ。潜水艇でも行けない水圧の深海まで行きますか?」と提案しました。
詩織は、「それ本当?一度コスモスさんと海へ行ってみたい。コスモスさんの科学技術で私の怪我は直ぐに治らないの?」と早く行きたそうでした。
コスモスは、「確かに治す装置はありますが、今迄数回地球人に使用して、副作用が出た事があった為に、今は地球人の医学では助からない場合にしか使用していません。ですので、詩織さんの場合は、たとえ導尿管を使用して垂れ流し状態で、ここでトイレをする事になっても、私達の装置は使用しませんので、あしからず・・・」と笑っていました。
詩織は、「そのトイレの話題から離れない?」等と毎日雑談していた為に、退院する頃には、すっかり親友になっていました。
しかし、コスモスは以前、海に飛び込んだ時に、体に激痛があり、痺れた事を思い出して、詩織が寝ている間に、フジコに確認しました。
フジコは、「そうか、そういえば地球には塩があったわよね。これは極秘事項なので、他に漏らさないでほしいのだけれども、テレジア星人の弱点は塩なのよ。ですから、海に何かがいたのではなく、塩水が問題なのよ。でもコスモスが海に潜る必要があるのでしたら、丁度良いわ。今、その対策を立てたので、海に潜る時にテストして下さい。コスモスの選択肢は、私の試作品の実験台になるか海に潜る事を中止するかの二つに一つしかありません。何の対策もせずに、海に長時間潜れば、命の保証はないわよ。ひょっとすればあなた、呪縛で苦しむ事になるかもしれませんよ。経験者の私が言うのですから間違いないわよ。あれは本当に辛いわよ。自分の体がリモコンで操られているようで、自分の意思では動かないのよ。当然、口もね。心の中で、“そんな事をしては駄目!、そんな事を言っては駄目”と、思いながら、毎日泣いていました。」と脅迫しました。
二人は、プライベートは勿論、勤務中も何かにか変身して、いつも傍にいた為に、コスモスの情報で詩織の成績はいつもトップでした。
同僚の男性刑事は、女性に負けられない、と焦り、単独行動して、麻薬取引の現場を確認の上、携帯で本署に連絡しました。
「応援が間に合わなければ、一人で飛び出して時間を稼ぎます。」と報告しました。
全員慌ててパトカーで急行しようとしましたが、詩織はコスモスの助言で、「間に合わない。白バイ、借りるわよ。」と白バイで向かおうとしていました。
他の白バイ隊員が、「一寸待って下さい。私達が行きますので、無茶しないで下さい。」と制止しました。
詩織は、「仲間を見殺しにできません。」と最短距離を白バイで走りました。
次回投稿予定日は、2月20日です。




