第二百六十六章 泉一家、狙われる
ある夜、業界の寄合いがあり、前回は娘を連れて行き紹介した為に、今回は使用人のコスモスを紹介しようとして、コスモスと泉の主人の二人で寄合いに出掛けました。
寄合いでは、休業日や開店時間を合わすのだから、価格も業界で統一しようという提案に対して、泉の主人は、それぞれ、店の状況により、安く大量に販売した方が良い店と、高く少量に販売した方が良い店があります。商品の大きさも影響する事を考慮して、価格は店独自の価格にすべきだと反対しました。
しかし、提案したのは大手で、安く大量に作成し、お客さんには、業界で価格は決められていると説明して、高値で販売しようとしていました。
殆どの業者は長いものには巻かれろと反対しませんでしたが、職人気質である泉の主人が邪魔でした。
提案した業者は大手でしたので、裏の世界にも知合いがいて、やくざを使って襲い、怪我をさせて仕事ができなくなるようにしようと考えました。
その業者は業界の寄合いで、お互いの親睦を深める為に親睦旅行を提案して、現地集合にしました。
親睦旅行ではゲームなどを行う予定にして、そのゲームの道具や商品などを予め用意して、各業者で分担して持って行く事にしました。
移動は電車ではなく、車を使わせると、移動途中に寂しい場所を通る事になる為に、その移動途中を襲う計画でした。
泉一家が車で移動中、山道でコスモスが前方から向かってくるトラックと、後ろから来る車に乗っている男が拳銃を所持している事を透視で確認しました。
その人は警察手帳や自衛隊の身分証明書を所持していなかった為に、このまま進めば危険だと判断したコスモスが車を止めさせようとして、「オシッコ!そこの空き地に止めて休憩しよう。」と全員車から降ろしました。
コスモスは叢の中に入って、以前悪戯して新聞に載ったホウキに乗った魔法使いに化けて、木の枝に乗り様子を伺っていました。
暫くすると案の定、トラックと乗用車が、同じ空き地に止まり、泉一家に、「可哀想だが死んで貰う。」と銃を向けた瞬間、コスモスの電撃で、やくざは吹っ飛びました。電撃のあった方向を見て、やくざ達は、「あっ!昔、新聞に載っていた魔女だ!邪魔するな!」と魔女に向かって数発拳銃を発射しました。
コスモスは、「そんなもの、魔女の私には通用しないわよ。」と泉一家と、やくざの間に着地しました。
「まだ、やる気?魔女相手に勝てると思っているの?」とステッキを振ると、魔女はティラノサウルスに変身しました。
「踏み潰すよ!」とやくざに迫り、トラックを踏み潰しました。
その後やくざに、「食べちゃうぞ!」と迫ると、慌てて車に乗り、逃げて行きました。
コスモスも魔女の姿に戻り、飛び去って行きました。そして、そっと戻って来て、叢から出て来ました。
泉が、「コスモス、ひょっとして今の魔法使いとティラノサウルスはコスモスなの?」と両親に聞こえないように小さな声で確認しました。
コスモスが、「そうよ、後ろから来る車と前から来るトラックに乗っている人が拳銃を持っていた為に、車を止めさせました。」と説明しました。
泉が、「矢っ張りそうか。助けてくれて、有難う。感謝します。」と御礼しました。
コスモスが、「そう思うのなら、もうそろそろ私を扱き使うのは勘弁してくれない?」と期待しました。
泉は、「これとそれとは話が別よ。ゾンビに足を掴まれた時には、心臓が口から飛び出す思いをしたのよ。」と返答しました。
コスモスは、「先日も、心臓が口から飛び出すような事を言っていましたが、陽子じゃなかった伊藤京子先生に確認すれば、心臓が口から飛び出す訳がないと笑われたじゃないの!」と騙されたようで不満そうでした。
泉は、「それは、心臓が口から飛び出すような思いをしたという事で、本当に飛び出す訳ないわよ。それじゃあ、言い方を変えます。あの時は心臓が止まるかと思ったので、コスモスには、これからも頑張って貰います。」とまだ怒っている様子でしたので、コスモスも諦めて、そのまま皆と親睦会に向かいました。
やくざ達は業界の元締めに、「魔女に邪魔されて失敗した為に帰り道に襲います。」と提案しました。
業界の元締めは、「帰りは他の業者も一緒に帰るので、別に襲う機会を作ります。今回は大人しく帰って下さい。」と指示しました。
その後、泉達は業界メンバーの家族とゲームなどをして親睦旅行を楽しんでいました。
業界の元締めは、”お前を楽しませる為に親睦旅行を計画したのではないぞ。楽しそうにしやがって覚えていろよ。”と腹が煮えかえっていました。
ゲーム終了後、「皆さん、楽しんで頂けましたでしょうか?業界の絆を深める為に、今後もこのような親睦会を開きたいと思いますので、何か希望が御座いましたら次回の寄合いの時に連絡して下さい。何も意見がなければ、私の独断と偏見で親睦会のテーマなどを決めさせて頂きますので、宜しくお願いします。」と次回も親睦会を開くと宣言して、その時に泉一家を狙う事にしました。
今度は、その業者は業界でスキー親睦旅行を提案しました。
例によって、荷物を業者に持たせ、車で移動させました。
コスモスは以前の親睦旅行での事があった為に、嫌な予感がしていました。
今度は雪山で襲われるかもしれないと思った為に、今度も新聞に載った雪女の姿で助けようとしていました。
生憎コスモスは、電撃は得意ですが、温度を操る事は母同様苦手でしたので、サクラに連絡して事情を説明した上で応援を依頼しました。
サクラは、「誰かさんがゾンビなんかに化けて悪戯するから厄介な事になるのよ!でも、それで泉さん一家が何者かに狙われている事が判明したのね。今回はそれに免じて引き受けます。お母さんには、私が手助けした事は内緒にしておいてあげますからね。」とサクラはコスモスを助けるために地球へ向かいました。
事情を知っている泉に、「サクラさんでしたら、私と違って本物の雪女のような事ができる為に、もし、雪山で襲われたら、今度は魔女ではなく、雪女が助けてくれますよ。」とサクラを紹介しました。
泉は、「何故私達が襲われると思うの?」と不思議そうでした。
コスモスは、「以前、親睦旅行で襲われた時の事を考えて!乗用車の他にトラックまで用意していたでしょう!偶々襲われたと考えるより、計画的に狙われたと考えた方が自然よ!まだ確信が持てないので、泉のご主人や警察には何も伝えていませんが、今回襲われたら、家族の中の誰かが命を狙われていると考えた方が良いと思います。先日は、親睦旅行で私達が移動する事を知っていたのは、業界の関係者だけです。もし今回襲われたら、業界関係者の中の誰かに家族の中の誰かが狙われていると考えられます。その証拠に、他の日には襲って来ないでしょう?行動予定が掴めないのだと思います。業界関係者だとすれば、狙われているのは、泉さん、あなたのご主人である可能性が高いですね。でも、念の為に家族全員に、この指輪をして貰っておいて下さい。この指輪には発信機が内蔵されている為に、何かあった時に居場所が確認可能です。」と説明しました。
泉は、「なるほど、だから先日襲われてから、コスモスは私の主人と行動を共にする事が多くなったのですね。主人を守ってくれてありがとう。でも何故指輪なの?主人が指輪をしてくれるとは思えないわ。タイピンとかにした方が良かったんじゃないかな。」と主人が狙われているとは信じられない様子でした。
コスモスは、「タイピンして入浴する人はいないでしょう。指輪だと、就寝時も入浴時も外さないでしょう。だから指輪にしたのよ。主人を説得して指輪をさせて。」と泉の主人の安全の為に依頼しました。
泉は、「嘘!入浴時に襲われるの?裸を見られるじゃないの。」と焦っていました。
コスモスは笑いながら、「心配しなくても、そんな小母さんの裸を見る物好きはいないわよ。」と笑っていました。
泉は、「小母さんで悪かったわね。私の事ではなくて娘の事を心配しているのでしょう。」と怒っていました。
コスモスは、「親睦旅行の時は、大浴場に娘と一緒に行きなさいよ。人が大勢いれば相手も襲って来ないわよ。」と危険を避けるように忠告しました。
サクラが、「先日襲って来たやくざは銃を持っていたのでしょう?隠れて狙撃されたらどうするの?」と助言しました。
泉は、「最近は露天風呂も多いし、入浴時に狙撃されたら、素っ裸で搬送されるのよ。」と心配していました。
コスモスは、「だから、狙われているのは恐らく泉の主人だと思うと言ったでしょう。それに襲われても素っ裸で搬送されないわよ。何か毛布のようなものを掛けてくれるわよ。そんなに心配なら、私も一緒に風呂に入るわよ。」と助言しました。
泉は、「いや、コスモスは最初に会った時、男性だったから、そのイメージが強く恥ずかしいわよ。」と断りました。
コスモスは、「最初に会ったのはゾンビだったわよ。」と笑っていました。
泉は、「嫌な事を思い出させないでよ。思い出しただけで悪寒がするわ。益々一緒に風呂に入るのは嫌になったわよ。」と怒り出しました。
コスモスは、「あっそう、それじゃ入浴時に襲われて素っ裸で搬送されなさいよ。それが嫌なら、その時までにどうするか考えなさいね。私はどちらでも良いわよ。」と泉に判断させようとしていました。
泉は色々と考えて、「解ったわよ。一緒に風呂に入るわよ。でも浴場では私の近くに来ないでね。」と条件付きでコスモスに入浴時の護衛を依頼しました。
次回投稿予定日は、4月28日です。




