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第六話『魔術師ギルド、そして罵倒』

俺はドリールさんからもらった地図を見ながら歩いていた。

目的地は魔術師ギルドだ。

何気に俺の魔法関連のステータスはえげつないからな!

マスターによると魔術師ギルドには【魔道書】と呼ばれる物があり、そこに描かれている魔法陣に魔力を流し込むと、その魔法に適性がある場合のみ、その魔法を覚えることが出来るのだそうだ。

え?獣人?なにそれ?

俺は過去は振り返らないタイプですよ?

恐らくあの商人がイレギュラーだっただけだ。

うん、きっとそうに違いない。


「ここが魔術師ギルドか。」


『ふむ、まあまあな魔力を感じるぞ。

まあ我には到底及ばんがな。』


「あれ?今俺人語で喋ってた気がするんだけど?」


『マスターの言う事ならどんな言語でも分かる。』


すげえな。男同士なのにちょっとキュンって来たぞ。


そんな話はさておき、魔術師ギルドの中は予想とは少し違った。

なんというか、教会のような場所に受付が幾つかあり、人はあまりいない。


「あのー、魔術師としてギルド登録を…」


「登録ですね。畏まりました。

ステータスカードはお持ちですか?」


「あ、はい」


言われて、ステータスカードを差し出す。

ちなみに設定で表示しない方が良い部分を削ったらこうなった。



====================

名前:エイジス=エルロンド

レベル:0

所属:ーー

種族:人族

年齢:17歳

職業:テイマー

ジョブレベル:17

能力:【スライムテイマー】

スキル:【好感】、【鑑定】、【言語理解】

ジョブスキル:【指揮リーダーLV1】

====================


称号はもちろん消したし、マスターによれば誰でも必ず【創造神の加護|(この世界に存在することが出来る)】を持っているらしい。俺が存在出来るのは異世界人だからだろう。取り敢えずこれがバレると面倒なので加護も見えないようにしておいた。


ステータス値は何故かステータスカードには表示できない仕組みらしい。

役所で専用の施設を使うと分かるらしいが、【鑑定】持ちには必要ない施設だ。

何故か17歳になってたのは無視しておこう。


「エイジス様ですね。それではこちらの紙を舐めてください」


そういえばエイジスと呼ばれるのは初めてだな。

しかし、これを舐めろとはどういうことだ?

魔力を確かめる試験紙的なやつだろうか。


「あ、こちらの紙は唾液から適性のある魔法属性を調べる為の物です。」


俺の心を読んだ様に受付さんが言った。


「魔法属性?」


「………魔法属性とはそのまま魔法の属性という意味です。

魔法には火・水・風・土・雷・回復・聖・闇の8種類…それに加えてごく稀に無属性もあります。

普通の人間は魔法適性は2属性ほどお持ちになられます。

この試験紙は属性ごとに分かれていて、適性を持っている属性には反応します。

8種類試すので早くしてください」


そんな事も知らずにここに来たのか、という顔で急かしてくる。

すいませんでした、俺が悪いのでそんな目で見ないで?


「ペロッ」


「………気持ち悪い…………どうやら火属性には適性があるようですね。

普通火属性は勇気のある人が持つ筈なんですが……次の試験紙を用意して来ます」


なんで言われるがままにしたのにこんなに罵倒されないといけないのかな!?

気持ち悪いってただの悪口だよね!?

あれ、前の世界では尊敬されてたと思ってたけど俺ってそんなに気持ち悪い?


「次は水です」


「ペロ」


「………!水にも適性がありますか。

水は澄んだ心の持ち主にしかない筈じゃ…?」


なんか血液占いみたいだな。

ちょっと控えめに舐めたら罵倒はやめてくれたみたいだ(錯乱)

冷たい視線を受けているのは俺の適性への嫉妬だろう。


「次は風…もう面倒なので全部持ってきますから一気にやってください」


あれ?職務怠慢じゃないのかな?

取り敢えず用意された紙を片っ端から舐めていく。

これまでの人生で一番恥ずかしかった。


「………!?ちょっと待っていてください!」


試験紙を見た途端に受付さんが奥に走って行った。

もしかして全魔法に適性があるとか?

やっぱ異世界でも天才は発揮されるもんだな!


「ギルドマスターがお呼びです。

ついて来てください」


戻ってきた受付さんが怖い顔で促す。

あれ?既視感(デジャヴ)が………

まあいざという時はダーフがいる。

多分大丈夫だろう。

自分にそう言い聞かせながら俺はギルドマスターのいる部屋の扉を開けた。



====================



結果から言おう。

めっちゃ優しい人だった。

ギルドマスターは白髪のしわがれたおじいさんでいかにも賢者らしい見た目だった。

そして称号も見せていなかった俺はとても丁重に扱われた。


「ここにお座りくだされ、エイジス殿。」


足も疲れていたので遠慮なしに座る。

そういえば貴族とかが使うような言葉遣いは知らないが大丈夫だろうか。

いきなりこのじいさんに「無礼者!我を誰と心得る!」とか言われないだろうか。


「そ、それでギルドマスター。私を呼び出した理由とは?」


「ああ、私としたことが自己紹介を忘れておりましたな。失礼。

改めまして、私がドーラ魔術師ギルドマスター、フーリエ=リルド=フォースロードでございます。

以後、お見知り置きを。」


「ああ、えっと、私がエイジス=エルロンドです。ご機嫌いかが?」


「ワハハ。そのように取り繕わんでも大丈夫じゃよ。儂ももう年じゃし、役職もある。

大切なギルドメンバーに襲いかかったりせんよ。」


このおじさん読心術でもあるのだろうか。

まあ心配が杞憂に変わっただけでも良しとしよう。


「なら遠慮なく。俺の魔法適性は一体何種類あるんだ?」


「お主、面白いのう。今までにもここまで砕けた喋り方をしてくる奴はギルドメンバーではおらんかったぞ。」


「貴方が許可をしたのでしょう?

それとも元の喋り方に戻した方がよろしいでしょうか?」


ちょっと嫌味っぽくなってしまった。

怒られるだろうか。


「いやいや。悪かったの。

では本題じゃが、お主の魔法適性は………」


ごくりと唾を飲む。


「ふむ、闇属性以外の魔法全てが使えるようじゃ」


「そんなっ!7属性だなんて、大賢者様以来の………ありえません!」


受付さんが慌て出す。

やっぱ俺ってそんなにすごかったのか。

素直に嬉しいな。受付さんの取り乱す姿も見れたし。

まあ逆に近接戦ではそこらへんの村人にも負けるかもしれないけどな。


「本来なら闇属性も使える筈なんじゃが、何かの力で妨害されとる感じじゃ。

大規模な闇属性魔法使いに干渉したりしとらんか?

あまりに強い魔法と接触しているとその属性が使えなくなることがあるのじゃ。」


強い闇属性魔法使い………どこかで聞いたことあるような…

あ!()()()か!


「恐らく俺の従魔のこいつです。

なにやら魔神の加護を受けてたり闇属性特化のスキルを持ってたり……」


「魔神の加護じゃと!?彼奴、三百年は………いや、三百年前に渡されたということか。

なるほど。確かによく見ればそのスライムからはただならぬ魔力を感じるぞ。

……ん?ちょっと待て。其奴、ただのスライムか?」


魔神を彼奴呼ばわりってこのおじさん何者だよ。


「た、多分そうだと思いますけど………」


「お主、【鑑定】持ちじゃろう?

其奴の種族は【スライム】なのか?」


「はい、そうですけど?」


「………ありえん…。進化もしていないスライムが加護を………!エイジス殿!そのスライムのステータス値を詳しく教えてもらっても!?」


「分かりました。」


俺がダーフのステータス値を言うと、フーリエさんはしばらく放心状態だった。

まあHP,MPなんて7桁だもんな。もうすぐで8桁いきそうだし。


『む、マスター。此奴、何故こんなに驚いておるのだ?』


『お、起きたかダーフ。』


『うむ。【鑑定】を使われた感覚があったのでな』


それで気付かれるのか。

これからは無闇に使わないようにしないと。


『なんかダーフがただのスライムって聞いて驚いてたぞ?種族をしつこくきいてた。

普通のスライムが加護を持つのはあり得ないとか言ってた』


『ああ、そういうことか。』


『え?どういうこと?』


『本来、魔物というのは【進化】をするのだ。

そのタイミングはレベルが高くなった時や名前を付けてもらった時、あとは専用のアイテムを使った時だな。スライムは大体レベル100くらいで進化する。』


『ん?じゃあダーフは名前もあるしレベル5桁だから余裕で進化出来るんじゃ?』


『そんな事するわけないであろう。

進化したらレベルが1になってしまう。』


『え?』


『進化したらレベルが1になってしまう。

だから進化はしない。』


『その因果関係おかしくない?』


『何故だ。折角上げたレベルが台無しになるであろう。』


『でも進化したら強くなれるんだよな?』


『うむ。加護やスキルを除けばレベル3000のスライムよりレベル1のミドルスライムの方が圧倒的に強い。』


『じゃあレベル上げるより進化した方が効率良くね?』


『じゃがレベル1は格好悪いであろう。』


『それだけ?』


『それ意外になにがある。』


『進化したら種族も変わるんだろ?

スライムキングとかスライムエンペラーとか格好良くね?』


『ーーー!!』


天才かよ、みたいな感じで俺を見てくる。

新事実発覚。俺の相棒は馬鹿だ。


てことでダーフには進化してもらうことにしたのだが、ここで一つ問題が生じた。

一度進化を断ると、100レベル毎にしか進化のチャンスは来ないらしい。

今のダーフのレベルは90571だからあと29レベルだ。

ちなみに90400から90500までは60年程かかったそうだ。

レベルが増える毎に必要な経験値も増える。

あと何年かかるだろうか。

進化で新しく手に入るスキルもあるらしいし、早めに終わらせたい所だ。

しかし、ここで更に新事実発覚。


『我の経験上、ゴブリンを大体60万匹程倒せば90600レベルまで辿り着くだろう。』


『いや、ゴブリンで数えてたらキリがないだろ。』


『ん?あの森には魔物はゴブリンとたまにボアしかおらんぞ?』


『あの森には、だろ?他の所に行けば強い魔物がいるだろ。』


『ーーー!』


いやだからその天才かよ、みたいな雰囲気やめろ。

待てよ?あの森しか魔物が出る場所を知らないということは、

まさか、こいつ………





【新事実】


ダーフの行動範囲:ドーラの森の南の森「のみ」


ダーフが今までに討伐した魔物:ゴブリン約1億6200万匹

ボア約30万匹

計2種類「のみ」

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