第十三話『W獣人』
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「えっと確か…」
「マスター、今のは右ではなく左だ」
「え?…エ、エリートでも間違えることぐらいあるもんね!」
今、俺たちが向かっている先はとある店。
ドグルゴさんに教えて貰っていた地図を見ながら進んでいる。
ちなみにダーフは俺のジョブを元に戻すと種族がスライムに戻った。
ただ、ステータスは見えないままなのが謎だ。
「…着いた」
『マスター。ここって…』
そう、ここは!ここが!
「いらっしゃいま「この店にあるメニュー全部くれこの金貨全部あれば足りるだろお釣りはいりませんっ!!!」
夢にも見た酒場!!
何週間もまともな料理を食べてなかった俺にはこの店がまさに天国に見える!
異世界の料理を食べながら聞き耳を立てて情報収集はもう鉄則だよね!
「か、かしこまりました!」
『マスター、人間の食事とは美味いのか?
食べてみたいのだが』
「ああ、めちゃくちゃ美味い。
あと、元々ダーフにもあげるつもり………ちょっとまってやっぱり帰る」
『お、おい!どうしたんだマスター!?急に走り出し…うぶっ!?』
危ない危ない。
面倒な事になるところだった。
俺が店を出たのはとある人物を見たからだ。
もうみなさんお分かりだろうか?
あの時の幼女だ。
俺が異世界に来て初めて戦いらしい戦いをしたあの日に助けた幼女がまさかこんなところにいたとは………
昼食は他の場所でとるか。
ダーフ?ああ、あいつは良いやつだったな…
『はぁ、はぁ…』
「お、帰って来たか」
『マスター、逃げろ!!
殺されるぞ!』
「はは、確かにダーフはあいつが天敵だもんな」
『違う!後ろをよく見ろ!』
「後ろ?…は!?」
言われて後ろを見ると、そこにはなんと………
奴隷商店で見たバケモノ達が走って来ていた。
「ちょっ!なんで!?おかしい!なんでここにいるの!?
色々とカオスなんだけど!?
取り敢えずダーフ!【ワープ】を頼む!」
『分かった。今すぐに…』
「待って下さーい!!!
別にあなた達を襲おうとしてるわけじゃありませんよ!!」
1.信じて話を聞く
2.逃げる
3.た た か う
ここは敢えて…
「あっ!やっと止まってくれましたね…」
「それで何の用だ?
あの商人はもう死んだぞ」
「ええ、知っています。
実は、あなた達に伝えたい事があって来ました」
とてもお淑やかな話し方だな。
容姿とは似ても似つかない。
いや、寧ろこの容姿だから話し方をよくしようと思ったのだろうか。
というかよく考えればこの人達は別に悪い事はしていないのか。
前には悪い事をしてしまったな…
「ん?ジロジロ見てどうかしましたか?
そんなに獣人が珍しいのですか?
まあここは【獣と人の混ざる町】ですからね」
「【獣と人の混ざる町】?」
「…もしかしてご存知無いですか?」
「ああ、ごめん。俺は………とてつもなく東の国から来たからこの世界の事は全く知らないんだ」
「なるほど。それならまずはこの世界の事からお話して差し上げましょう。
この大陸は大まかに言えば縦に長く南を向いたブーメランのような形をしています。
そしてここが最南端の町、ドーラです。
この大陸には二つの国があります。
大陸の西半分を占める人間の王国【ミルムハイム】。
大陸の東半分を占める獣人の王国【ビースタング】。
その他に大陸の周りに無数の島国がありますが、それらの説明は省きますね。
そして、大陸の最北端にある【ヒューリ】と最南端の【ドーラ】、つまりここが大陸で唯一人間と獣人が混在している町なのです。
人間がビースタングに入るには大金と複雑な手続きが必要なので大抵この町に来た方は獣人を物珍しそうに見ていますね」
「…なるほど。大体は分かった。
それで伝えたい事っていうのは?」
「それなんですが…。
自分で言っておいてなんですが、全ては話せません。
ただ、一つは私達はあなたのおかげで救われたという事。
もう一つはあなた達に危険が迫っていること。
それだけは伝えさせてください」
「救われた?危険?どういうことだ?
それに話せないって何か事情があるのか?」
「いいえ、物理的に話せないのですよ。
話せない理由も話せません。
幸い、まだ時間は十分にあるようです。
あなたがもう少しこの世界の事を知ってから詳しくを話します。
今は頭の片隅に、自分に危険が迫っていることを入れておいてください」
「…?どういうことだ?ちょ、待て!」
「まずはドーラの遺跡で【地龍】との手合わせを。
そこで試練に打ち勝てば私と対等に話せる最低限の知識は貰えます」
「遺跡!?そこに行けば良いんだな!?…行ったか。ダーフ、どういうことか分かるか?」
『いや、全く分からん。
ただ、【地龍】とやらに勝つ自信はある』
「要するに移籍に行ってみようってことね…」
あいつらの言っていることは全く理解出来なかったが、取り敢えず遺跡に行くしか無さそうだな…
となると、明日から情報収集を…
「なるほど、その戦い、私も同行しましょう」
「お前…さっきの幼女!?
もういいから、俺達は帰るからな?」
「幼女じゃありません!
もう15歳です!
お願いします!連れて行ってください!」
「8才に見えた…
というかまだ2回しか会っていないのに随分乗り気だな。キャラがグラグラだよ?なにかついて来る理由でもあるのか?」
「それは…その…」
『マスター、今背筋がぞわっと』
「まだこいつ目当て!?」
うーん、正直戦力としては期待出来そうも無いしな…
男二人の中で空気を和らげてくれたりで役に立つかもしれないけど…
「ごめん、バイバイ」
『【ワープ】』
「ええええええ!?」
悪いけど俺はこう見えてヘタレだ。
本当はめちゃくちゃ誘いたかったけど15才とこの先旅していくのもアレだし、残念ながら小説みたいなハーレム展開には俺の精神力が耐えられなさそうだからな。
………あと一回食い下がられたら仲間に入れてあげようかな?