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第十二話『第一回魔王会議』

「まず確認しておくが、今我らがいる魔王城は大陸の最北端の北にある孤島に位置している。

そして人間の王国は北に行けば行くほど冒険者が強く、その逆もまた然り。

また、周りが海に囲まれている為、最南端から攻略することも出来ない。」


魔王リーナが解説を始める。


ちなみに魔王城から漏れ出る瘴気の濃度の影響で、魔物も北の魔物の方が強い仕組みになっている。


「ふむ、それは周知の事実ですな」


次に口を開いたのは白髪の老人だ。

彼も九英傑の一人、ラッセル=フォングレイムだ。

筋肉もあまり見えないその身体だが、技術面においてはラグルの全力の攻撃を軽くいなす程の物がある。

また、見た目の割に、いや、ある意味見た目通りなのだが、九英傑最年長で、軽く300歳は越える為、リーナの小さい頃から世話をしていて、その影響もあり一番の側近としてリーナに気に入られている。


「なんだぁ?そんな事を確認しに態々集まったのかぁ?」


「煩い。喋らないで。口を開かないで。息をしないで」


「あ!?なんだとコラァ!?」


会議中に於いても赤青コンビは健在である。


「うむ。ここで我が新しく開発した魔法を使うのだ」


「新しい魔法、ですか。

それは如何なる物で?」


「うむ、ラッセル。

その魔法の名は【ワープ】。」


「んなバカな!!

【ワープ】って言やぁ、第2級の禁呪魔法だぜ!?

いくら魔王様でもそれはーーー」


「口を慎んで下され、ラグル殿。

いくら貴殿でも魔王様への侮辱は斬りますぞ?」


ラッセルの殺気が飛ぶ。

本気で殺そうという段階ではない為、耐えられているが、それでもラグルは冷や汗を流している。


「いや、魔王様を貶すつもりはなかったんだ。すまん」


「ラッセル。そこまでにしろ。

昔からお前は過保護すぎる。

仲間なんだから仲良くやってくれ」


「御意」


殺気から解放されたラグルが息を吐く。

隣でサーナが蔑む目線で見ているがそれにすら気付かない程の慌て様。

リーナは内心九英傑同士で差がありすぎるな、と思ったりしていた。


「さて、【ワープ】の説明だが、皆も分かっている通り座標指定と魔力さえあれば何処にでも瞬間移動出来る魔法だ。

大陸の端から端ともなると、かなりの魔力を消費する。

まあ私ならそこは問題にならないがな」


「おいおい、そんな簡単なモンなのか?

【ワープ】ってのは。

それなら今すぐにでも使っちまおうぜ!」


ラグルが軽快に笑う。


「バカは黙ってて。

そんな簡単な魔法が禁呪にされるわけないでしょう?

この魔法には途轍もないデメリットがあるのよ」


「バカ言うな!」


「さすがだ、サーナ。

この魔法には一つ、大きなデメリットがある。

サーナ、言ってやれ」


得意げな顔をしていたサーナが見る間に青くなっていく。


「そ、それは…ねぇ?

もう…あれよ!口に出すことも憚られるような代償ですよね!?」


「ハハッ。もしかして言えねえのか?

もしかして俺に見栄を張ってんじゃねえのか?」


「…会議が終わったら殺す」


結局、ラグルまでもが青くなるのだった。


「しょうがないから私が話そう。

まず、【ワープ】という魔法はそもそも…」


世界の最北端で行われた会議には、最後までスライムを従える人間の名前が出ることはなかった。


「よし、じゃあ【ワープ】の使用は取り敢えず先延ばしでいいな?異議のある者は挙手。………ではこれにて会議を終える」


全員がそれぞれの顔で部屋に戻ろうとする中、一人だけ表情に影を持った者がいた。

しかし、その時それに気付くものは一人としていなかった。

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