プロローグ
とある夏の日、年齢にしては豪華に見える部屋ーーー
俺は今自分の部屋の中で一つのゲーム機を手にしていた。
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俺の名前は柔和 蒼。
23歳、独身だ。
小学生の頃に全国テストで2位を取ってからは順調な人生を送り、3年働いた会社では優秀な上に仕事に熱心ということで信頼を集めている。
いわゆるエリートだ
だが、正直言って面白くない。
何が面白く無いのかというと世界が、だ。
いや、こんな魔王みたいな事を言うのにはちゃんと理由がありますよ?
それは、ゲームの存在。
そうだ、ゲームが悪いのだ。
昔からRPGやらにハマり過ぎて現実世界で生きるのが馬鹿馬鹿しく思えてくるのだ。
まあだからと言ってこの世界が嫌いな訳ではない。
毎日美味しいご飯が食べられるし命の危険も少ない。
しかし、刺激が無いのだ。
それに、地味だ。
もっと魔物を倒してお金をゲット!みたいな物が欲しい。
そして最初の場面に至る。
それは一つのゲーム機だ。
一見、何の変哲も無い。
しかしその真価は正に俺の求めていた物だった。
10年間行方不明だった友達がいる。
彼は俺の友達の中で唯一ゲームの話が通じる友達だ。
その彼が姿を現したのだ。
そして最初に放った一言。
「俺異世界召喚してきたんだけど!」
さすがに俺も鼻で笑った。
いやだって普通に考えてあり得ないでしょ?
俺は普通は嫌いだが普通を拒絶しているわけではない。
だが彼は行方不明になって俺を心配させた上で嘘を吐くような性格はしていない。
そして何より物的証拠を持ち込んできた。
話を聞くと、どうもこのゲームで初期設定をしてスタートすると異世界に行けるのだそうだ。
行けるとは思っていない。
だが試さない理由はない。
「ーーーそういえば、昼ご飯まだだったな。」
それが14時13分、仕事が早すぎて部下の社員の分の仕事まで終わらせて早退してきたスーツ姿で残した、彼の地球での最後の言葉となった。
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という事でやって参りました、異世界!
どうやら田中くん(仮)の言っていたことは本当だった様です。
今回のステージは平原…というより丘?
遠くの方に城が見えますが、その道のりは15kmはありそうな森!
後ろには崖!
普通なら頭を抱える事態ですが俺は平然!
何故なら地球で田中君に保険としてとある物を貰っていたからです!
実況風の喋り方はここまでとしよう。
一つ目は剣。
柄の所に赤い宝石が埋め込まれている。
田中君曰く、初心者でも迷宮のボスを倒せるレベルの剣らしい。
これもうチートだろ。
二つ目はとあるカード。
田中君は戻って来る前にもしこのカードを持った人が現れたら客として丁寧に扱ってくれと言っておいたらしい。
ちなみに田中君は色々成功して魔王を倒したらしく、この世界に田中君を知らない人はいないからカードさえ見せれば大丈夫との事。
次に、初期設定で決めたステータスだ。
まとめてみると
名前:エイジス=エルロンド
レベル:0
称号:異世界の訪問者
所属:ーー
種族:人族
職業:村人
ジョブレベル:0
加護:ーー
能力:【スライムテイマー】
スキル:『好感』・『鑑定』・『言語理解』
ジョブスキル:『衣食住』
最大HP:52
最大MP:3000
攻撃力:31
防御力:19
魔法攻撃力:7500
魔法防御力:7500
さて。まず名前だが、自分で付けた。
中々かっこよくね?と思ったけど田中君はあんまりらしい。
レベルが1じゃなく0ってのはなんか変わってるな。
称号はまあ妥当だろう。
所属というのはなんだろうか。何かギルドのようなものがあるのか?
種族は人だ。
最初はエルフで長生きとか考えたけどやっぱり慣れ親しんだ人が一番!
職業は村人だ。田中君によるとジョブレベルか或いは特定条件を満たすことで増えるらしい。
職業によってステータスに補正が掛かったりスキルが増えたりするらしい。
加護は簡単だ。この世界には迷宮がたくさんあるらしいのだが、その迷宮のボスを倒すとそのボスの加護が貰えるらしい。
とは言ってもボスは全員龍らしいので倒すのは不可能に近いかもしれない。
ちなみに契約を結べば神様にも加護を貰える。
能力は…へ?
田中君によると能力は生まれつき持つ物らしく、人と被る事もあるらしい。
異世界召喚で新しく生まれる場合もあるそうなのでランダム設定を選択したのだが…
スライムテイマーってめっちゃダサいんですけど!?
スキルは三つ選べたので定番そうな『鑑定』を選んであと二つはランダムにした。
『好感』とはなんだろうか。
早速鑑定してみよう。
『好感』:スライムが逃げずに寄ってくる。
…悪意しか感じないんですが?
スライム好き過ぎだろ!
俺ってなに!?スライムの為に生まれて来たの!?
てか逃げずに寄ってくるってスライムってそんなに臆病なのかな?!
ジョブスキルってのはそのままだろう。
『村人』のジョブスキルは『衣食住』…。
鑑定してみよう。
『衣食住』:①着替えの速度が1.2倍になる。
②料理の美味しさが1.2倍になる。
③家の快適さが1.2倍になる。
うむ、ザ・衣食住って感じだな。
1.2倍って所も村人らしい。
なんか表記の仕方が遊○王みたい。
まあいい。
そしてステータス値だ。
取り敢えず分かったのは、ランダム設定はやめた方がいいことだ。
俺はこの世界の平均を知らないが、異常だってのは分かる。
魔法特化しすぎじゃん!
まあそれはそれで嬉しいのだが。
と、こんなところだ。
まあ田中君から貰った剣もあるし、大丈夫だろう!
さあ、夢にも見た異世界!
高まる気分を抑えもせず、俺は森の中へ向かうのだった。
後に彼の能力とこの選択が、彼に数奇な運命とカラフルな仲間を与えることになる。
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名前:エイジス=エルロンド
レベル:0
称号:異世界の訪問者
所属:ーー
種族:人族
職業:村人
ジョブレベル:0
加護:ーー
能力:【スライムテイマー】
スキル:『好感』・『鑑定』・『言語理解』
ジョブスキル:『衣食住』
最大HP:52
最大MP:3000
攻撃力:31
防御力:19
魔法攻撃力:7500
魔法防御力:7500
初作品です。
語彙力も描写も他の小説に比べるとものすごく未熟ですが、最後まで読者さんに面白い展開を見せ続けたいと思います!
話すと長くなるので一言で!
応援よろしくお願い致します!