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第5話 迷子?

「どう? 壊れてない?」


 お昼過ぎ。


 僕は病院から帰ってきたおじいちゃんと一緒に、地下の研究室にきています。


「そうじゃな。 やはりあの怪物のせいで色々と壊れとるな」


 機械をピコピコやりながら答えるおじいちゃん。


「それで、マリアさんたちは帰れるの!?」


「う〜む… まだわからん」


「じゃあいつわかるの!?」


「そう慌てるでない。 時間はあるんじゃ。 どうなるかわからんが一応直せるところは直すわい。 さ、危ないから上に上がっておれ」


 そう言うなりおじいちゃんは真剣な顔になり、スライムのせいでぐちゃぐちゃに荒らされてしまった研究室の奥へと消えて行ってしまいました。


 しかたない。 戻ろ。






 一階の居間に戻ると、マリアさんがテレビの前に座ってなにやら首をかしげていました。


「テレビがどーかしたんですか?」


 僕はマリアさんの背中に声をかけます。


「ぁ、コウジさん。 いえ、こちらの世界は色々と珍しい物が多いなと思いまして」


 マリアさんはつやのある長いスカイブルーの髪を揺らして振り向きます。


「マリアさんの世界はテレビとかないんですか?」


「これはテレビっていうんですか?」


「はい。 このボタンを押すと電源が入ります」


 僕はテレビに近づき、主電源を入れる。 ちょうどニュースをやっているところでした。


「す、すごい…」


 マリアさんは目をキラキラと輝かせ、テレビの画面を食い入るように見ています。


 さすが異世界人です。 こーゆーの見てると実感がわいてくるなぁ…。


「コウジさんコウジさん!」


「なんですか?」


「この箱はどのような原理で動いているのでしょうか? こちらの世界には魔法がなかったはずですが」


「ん〜 それは僕もよくはわからないんですけど、簡単に言うと科学です」


「なるほど。 こちらの世界はラグナシアよりもはるかに科学技術が高いんですね」


 ラグナシア? ってたしかマリアさんが元々いた世界のことですよね。


「そーいえばラグナシアの人って、みんな魔法が使えるんですか?」


「いえ、魔法を使うにはそれなりの訓練が必要なので、みんなという訳ではありません」


 へぇ〜。 ファンタジーっていっても、なんでもありって訳じゃないのか。


「マリアさんは使えるんですか? 魔法」


「はい、多少の回復魔法なら心得ていますよ」


 なんかこーしてるとゲームの話をしてるみたいだな。


「ぁ、そーいえばレンちゃんはどこいったんですか?」


「たしか先ほど家から出て行った気がしましたが…」


「本当ですか!?」


「ええ、たぶんですが」


 大変だ!! 早く捜しに行かないと!? まだこっちに来たばっかりで右も左もわからないのに!


「ちょっと捜してきます!」


 僕は急いで靴を履き、家から飛び出しました。




「はぁ… はぁ…」


 だめだ、いません。


 もしレンちゃんの身に何かあったらどーしよう…


 まだ幼いとはいえ、レンちゃんはマリアさんと同じスカイブルーの髪にガラス玉のように透き通った瞳を持つ、それはもう充分にかわいい女の子です。


 もしロリコンの変態に… そう、例えばおじいちゃんのような人に目を付けられてしまったら…


 早く見つけないと!!!


 でもどこを捜せば… しかたない、一旦家に戻ろう。 おじいちゃんなら変な機械を使って捜してくれるかもしれない!






「ただいま!」


 玄関を開けると、家の中から良い匂いがただよってきました。


 今日はカレーか〜。


ってそれどころじゃなかった!


「おじいちゃん、大変なんだ!」 


 僕は勢いよく居間のドアを開けます。


「レンちゃんがッ …あれ?」


 中では、おじいちゃんとマリアさん、それにポチさんと、いなくなったはずのレンちゃんが長方形のテーブルを囲んで夕ご飯のカレーを食べているところでした。


「どうしたんじゃ騒がしい。 なにが大変なんじゃ?」


「ぇ… ぃや、レンちゃんがいなくなって…」


「何を言っとる。 ちゃんとここにいるじゃろうが」


 そ、そんなバカな…


 僕は気がぬけて、へなへなとその場に座りこみます。


「どーして… レンちゃん? どこにいたの?」


 レンちゃんはカレーを食べながら一言、


「外」


 と呟きます。


「一人で?」


 レンちゃんはカレーをもぐもぐしながら頷きます。


「どーやって帰ってきたの!?」


「歩いて」


「そーなんだ…」


 なんだか疲れました… とりあえずこのまま溶けてしまおう…


「大丈夫ですか?」


 そんな僕にマリアさんは優しく声をかけてくれます。


「…はい」


「ご飯、食べます?」


「いただきます!」


 僕は勢いよく立ち上がり、復活します。


「では少々お待ち下さい」


 そう言ってマリアさんは立ち上がり、台所にカレーを取りに行きました。


 そーいえば朝から何も食べてないな。 昼は食べてないし、朝はレンちゃんに取られたし…


「あの、コウジさん」


 僕がテーブルの前に座り、カレーがくるのを待っていると、台所からマリアさんがそう言って顔を出しました。


「どーしたんですか?」


「それが… この、かれーっていうんですか? それがもうないんですよ」


 申し訳なさそうな顔をするマリアさんに、僕は叫びます。


「そんなばかな!? カレーっていうのは、普通余る物じゃないんですか!? それがなくなるなんてことあるはずが… 」


「始めはたくさんあったんですが…」


「蒸発でもしたんですか!?」


「いえ、レンが全部食べてしまいまし一」


「レンちゃぁぁぁん!? どうして!? どうして僕の分のご飯も食べちゃうんですか!? いったい僕に何の怨みがあ一」


「小僧!!」


 僕がレンちゃんに叫んでいると、突然さっきまでドッグフードを食べていたポチさんに呼ばれてしまいました。


「は、はぃ!?」


 しまった! ポチさんはレンちゃんに危害を加えようとする人には容赦がないんだった!? こ、殺される!?


 僕がぎこちなく首だけ振り向くと、ポチさんはギラリと金色の目を光らせ、


「おかわりはないのか!!」


 そう叫びました。


「ごめんなさ一 ぇ? おかわりですか!? す、すぐお持ちしまぁす!!」



 とまぁそんな感じで僕は結局、晩ご飯を食べれませんでした。






 次の日の朝。


 僕とマリアさんとレンちゃんとポチさんはテーブルを囲んで朝ご飯を食べています。


「ねぇレンちゃん」


 僕はご飯を取られないよう、細心の注意をはらいながら、横に座っているレンちゃんに話しかけます。


「昨日は外になにしに行ってたの?」


 僕が話しかけると、レンちゃんは相変わらずの無表情でさらっと答えました。


「コンビニにアイスを買いに」


 あぁアイスね。 って…


「ぇぇえ!? 何その普通な感じ!? レンちゃんからしたらこっちは異世界なんだよね!? 順応力高すぎやしませんか!?」


「………」


 レンちゃんは無視です。


「そ、それによく道がわかったね」


「地図」


 なるほど。 だから一人で帰ってこれたのか。


 でもレンちゃん、異世界の地図なんで読めたのかな? そんなにわかりやすい地図なんてあったかな?


「ねえレンちゃん。 ってあれ?」


 横をむくと、さっきまでいたはずのレンちゃんがいません。


「レンなら今出て行きましたよ」


 僕の疑問にマリアさんが先に答えてくれます。


「いつのまに… ん? なんだこれ?」


 見ると、さっきまでレンちゃんが座っていたところに、小さく折られた紙が落ちています。


「これってレンちゃんのですよね?」


 僕は食器を片付けているマリアさんにたずねます。


「あぁ、地図じゃないでしょうか。 昨日レンが見ていましたし」


 忘れ物か〜。 レンちゃんもうっかりやさんだなぁ。


 でもこの町の地図なんてどこにあったんだろ?


 なんて思いながら、僕は紙をひろげました。


 あぁほんとだ、この地図見やす…


「ってこれ日本地図じゃないか!?」


 うそでしょ!?


レンちゃんはこれを見て家に帰ってきたの!?






 ……恐ろしい子だ。



コウジ「てゆーかこの小説、読んでくれてる人いるの?」


作者「………」


コ「ねぇ聞いてる?」


作「さて、では今週のおたよりを紹介したいと思います」


コ「また無視か… てゆーか今週のおたよりって何!? そんなコーナーなかったよね!?」


作「やっぱめんどくさいんでやめます」


コ「紹介するおたよりがないだけでしょ?」


作「ではみなさん、また次回であいましょう!」


コ「なんか無視もここまでくると逆に気持ち良くなってき一」

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