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第3話 命懸け?

 ここは地下にある研究室の扉の前。 僕とマリアさんとレンちゃんの三人は、部屋の中にいるスライムを倒すため、作戦会議をしているところです。 おじいちゃんは邪魔なので上に置いてきました。


 ぁ、あと狼がいます。 なぜかって? なんかレンちゃんが簡単な召喚術を使えるらしくて、その召喚術で狼を召喚したらしいです。


 そしてこの狼なんですが…


「オレがスライムの気を引く、その間に倒せ」


 喋ります。 向こうの世界の狼は言葉を話すみたいです。


 大型犬と同じくらいの大きさ、金色の目につやのある銀色の毛、尖った牙はもうかなりの迫力があります。 ちなみに名前はレンちゃん命名『ポチ』だそうです。


「おい、聞いてるのか?」


 とてもハスキーな声で話しかけてくるポチさん。


「はい!? ぇと… はい、大丈夫です」


「何が大丈夫なんだ? お前、話を聞いてたのか?」


 鋭い金色の目をギラリと光らせ、ポチさんが僕に一歩近ずきます。


「ヒィッ!? だ、大丈夫です! 聞いてました!! もうめっちゃ聞いてました!!」


 ポチさん、恐すぎです。


「じゃあ行くぞ」


 ポチさんは鼻からふん!と荒く息を吐き、研究室の扉を見ます。


「そ、そうですね、行きましょう」


 僕はさっきおじいちゃんからもらった剣を握り直し、震える手でドアノブを握ります。


「あの、コウジさん?」


 扉を開けようとした時、後ろからマリアさんが声をかけてきます。


「な、なんですか?」


 僕は震えてるのがばれないように、できるだけ平静を装いってマリアさんの方に振り返ります。


「その… 頭にかけてるやつ、もういりませんよ? 私たちと一緒にいたのでコウジさんにも多少魔力が移っていると思うので、肉眼でもスライムを確認することができるはずです」


「頭ですか?」


 マリアさんから何やら気になる単語が出ましたが、それは後にして僕は手を頭に持って行きます。


 そして頭に何かついてた事に気がつきます。


「ぁぁあ!? これは衣類が透けるメガネじゃないか!? もしかして僕ずっと付けてたの!?」


「は、はい」


 苦笑いしながら答えるマリアさん。


 あぁ恥ずかしい!! クソッ!! どーりでさっきからマリアさんがチラチラ頭を見てた訳だよ!!


 僕はメガネを思い切り地面に叩きつけ、恥ずかしさをまぎらわすために勢いよく研究室の扉を開けます。


「ぅわ!?」


 扉を開けてびっくり。 元から散らかっていた研究室は、さらに荒れ果てていました。 変な薬品が並べられた棚は倒され、薬品同士が混ざって異臭を放っていて、部屋中に置いてある機械はほとんど壊されていて、火花を散らしています。


「あれが神獣、スライムか」


 後ろから入ってきたポチさんが部屋の真ん中を見て呟きます。


 ポチさんの視線の先を見てみると、さきほどの巨大スライムがぶよぶよと波打っています。


 あぁ… 勢いで来たものの、やっぱり恐いなぁ…


「あの、マリアさん? 僕やっぱり無理一」


 そう言いながら振り返ると、マリアさんは急に僕の手を両手で包み込むように握り、


「コウジさん、頑張って下さい!」


 と励ましの言葉を下さいました。


「はい、頑張ります…」


 だめだぁぁ!? 後に引けないじゃないか!? もうやるしかないのか!?


「気付かれた」


「へ?」


 僕がどうしようかと悶々していると、マリアさんの後ろに立っていた妹のレンちゃんがスライムを指差し、呟いた。


 スライムを見ると、確かに僕たちに気付いたらしく、こっちに向かってぶるぶると進んできました。


「オレがあいつの気を引く! その間にお前はなんとかしろ!」


 そう叫ぶなり、ポチさんはスライムの方に跳んで行ってしまいました。


「ぇえ!? なんとかしろってどーしたらいいんですか!?」


 ポチさんの背中に叫びましたが、返事は代わりにマリアさんがしてくれました。


「たとえ神獣といえど、弱点はあるはずです。 それを見つけるんです」


「弱点ですか!? そんなこと言われても…」


「よく見て下さい。 コウジさんなら大丈夫です!」


 マリアさんの透き通るような瞳に見つめられ、僕はしかたなくスライムの弱点を捜すために観察を開始します。


 スライムはポチさんを捕まえようと手(?)伸ばしますがポチさんはそれを素早い動きでかわし、スライムの足止めをしています。


 僕はなんとか弱点を見つけようと頑張りますが、あいつ、だいぶイライラしてるんだろうなぁ、くらいしかわかりません。


「あれ」


「え?」


 レンちゃんが突然現れ、スライムの方を指差します。


 その先を見てみると、なにやらスライムが壊れた機械からでてる火を嫌がっているように見えます。


 これか!! スライムは火が弱点なんだ!!


「マリアさん! 火です火! 何か燃える物持ってませんか!?」


「萌える物ですか? すいません。 あいにくそのような物は…」


「違います!!、燃える物です!!」


「ああ、燃える物ですか。 そうですねぇ、残念ながらそんな物は…」


「そうですよね、仕方ない、一回上に上がって紙か何かを一」


「オイルしかありません」


「あるんですか!? てかオイル!? なぜマリアさんのような人がそんな危険物を!?」


「先ほど、コウジさんのおじ様が渡して下さったんです」


「あの変態が!? いったい何を考えて…」


 ってそれどころじゃない!


「マリアさん、早くオイルを!」


 僕はマリアさんからオイルが入った缶を受け取り、それをいそいで剣にぶっかけます。

 そして剣を近くの機械から出ていた火で燃やし、そのままスライムに走りだします。


「うぉぉぉお!!」


 僕はスライムに飛び掛かり、スライムを斬り付けます。


炎斬剣(えんざんけん)!!」


 気持ちよくなってちょっと恥ずかしい技名まで口走っちゃいます。


「ブォォォォ」


 燃える剣で斬られたスライムは炎で燃え上がり、そのまま蒸発してなくなってしまいました。


「はぁ… はぁ…」


 僕はスライムが蒸発するのを見届けたあと、その場に崩れ落ちてよつんばいになります。 なんだか急に体が震えてきました。


「やるじゃないか。 見直したぞ小僧」


 そんな僕にポチさんが近寄り、お褒めの言葉を下さいます。


「はい、なんとか…」


「まさかお前のような小僧が炎斬剣をマスターしているとはな」


「どーいたしま… へ?」


 ナンノコトダイ?


「すごいです! まさかコウジさんが炎斬剣を使えたなんて!」


 そこになぜかテンションの上がったマリアさんも会話に参加してきました。


 にしてもこのお二方は何を言ってるんだい? 炎斬剣って、思い付きでつい口走っちゃっただけなんですけど…


「かつての英雄が使っていた技。 もう使える人はいない」


 いつの間にか横に来ていたレンちゃんがぼそっと説明してくれました。


 なるほど。 英雄が使っていた技なのか! それはすごい! ……僕はただ剣を燃やしただけなんですけど?


 あぁ、どんどん視界がぼやけてきた… 弁解する元気もないし… もう無理だ、オヤスミナサイ。

コ 「これだったのか!?」


作 「なにが?」


コ 「なにが? じゃないよ!! 『衣類が透けるメガネ』のことだよ! ずっともったいぶってたじゃないか!」


作 「そだっけ? 前の話書いたのだいぶ前だからワスレタ」


コ 「なんていい加減なんだ…」


作 「まぁいいじゃん。 さて次回はコウジくんが死にます」


コ 「ぇぇえ!? なんで!? 僕、主人公だよね!? テキトーなこと言うのやめて!? 恐いから!!」


作 「はいはい。 ではみなさん。 こんな小説をよんで下さってありがとうございます! また会えたら会いましょう。 さよ〜なら〜」


コ 「無視!? また無視なの!? たまには僕の話を聞いてよ!? …終わるの? 本当に? 嫌だ! 終わりたくな一」

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