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I'll kill them.
短い。短い。
雅美が彼への思いを渦巻かせている頃。『彼』はアーケードの奥に在るホビーショップに入っていた。
手に持つカゴにはきな臭さ溢れる品の数々。特殊警棒、催涙スプレー。オリーヴドラヴに染めたヘルメットにグレイを基調としたデジタル迷彩のカバー。軽量な盾。
「中古新品合わせて一万円になります。」
レジの店員に代金を支払い、ショップを後にする。眼から生気が消えて、笑みさえ浮かべた要次の顔は何処か儚げだった。
「後は刃物屋に行って、砥石を。矢の補充もやらなきゃ」
ぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつ、ぶつぶつ。小さく呟きメモ紙にチェックを入れ、また微かに笑う。
空気が冷たい季節になった。
短い。短い。短い。うるさい。




