1/19
怠い朝
読んで頂けたら幸いです。
鬱屈とした曇り空の下の午前六時。古い木造アパートの一室。布団から顔を出す。
「早起き癖直らないなあ。」とか独り言を呟きながら少年は起き上がる。特にやる事も無いので、カーテンを開け窓を開け本を開く。
神崎要次。十六歳。彼は高校に行っていない。
高校受験の前に厄介事を起こして、どの高校にも煙たがられた。
今は親の仕送りを受けて、アルバイトをしながら生活をしている。
学歴に幸福を見出すような性格でも無かったが、それでも勉強をしたかったようで、時折外を大声を出しながら通る学生達を少し寂しそうな目で見て、そう言えば僕はあんなに騒ぎながら学校に行く様な人種でもないなあと考えて表情を元に戻す。又小説の文章に目を走らせる。
これからもこんな風に淡々と日々を過ごすのだろうなぁと一人で呟いた。
しかし、彼がそんな事を言う程彼の世界が狭くないのは、本人が一番よく分かっている。
これは不幸を味わった少年とその周りを取り巻く人々を描いた物語。




