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奴隷の死に方 G

 翌日、陣地の移動が始まった。俺の役目はいつも通り荷物運びである。

「おら、こいつも持てよ」

「・・・はい・・・」

 そう言ってサンドラは俺に荷物を渡してくる。

「・・・・・・・・」

「なんだよ!文句あんのか!?」

「ありません」

 他のエルフがいることもあって、サンドラの態度は冷たい。

 だが、やっぱり一つ聞いておきたいことがあった。

 サンドラが顔を寄せてきた。

「・・・・なんだよ」

 小声で問いかけてくる。

「・・・・この荷物・・・なんでこんな軽いんだ?」

「ん?魔法に決まってるだろ」

 便利なもんだ。

ということはやっぱり俺が重い荷物を運ばされていたのは単なる嫌がらせだったらしい。

「いいから、苦しいふりしてろっての。軽くぶちこむぞ」

「はぁ・・・どうぞ・・・」

 腹で爆弾がさく裂したかのような衝撃が走り抜ける。

「がはっ・・・」

 口から唾液とも血ともつかない液体が飛び出した。

「ったく、手間とらせんなよ・・・」

 サンドラに睨みつけられながら蹲る。

「うぁ・・・ぁぁ・・・」

 驚いた。

「ほらっ、立てよ!!」

 奥襟を持たれて、無理やり引き上げられる。

 踏み出した足は震えていた。

「ふんっ!!」

 放り出され、地面に這いつくばる。

「遅れんなよ!!」

 サンドラはそう言い残して背を向けた。

 いやいや、驚いた。まさか、こんな魔法まであるとはな・・・

 殴られた箇所をさする。衝撃が走り、そして突き抜けた。後ろを振り返る。遠くに見える一本松のてっぺんが吹き飛んでいた。

 サンドラが放った拳の衝撃は俺の身体を突き抜け、更に後方のあの木を吹き飛ばした。そうやってダメージが体の中に残らないようにしてくれたのだ。

「人間にはできねぇよな・・・」

 改めてエルフという種族のデタラメ加減を目の当たりした。

「ごほっ・・・ごほっ・・・」

 血が混じった唾を飲み込んで、俺はもう一度荷物を背負い直した。荷物はぎっしり詰まっているはずなのに、重量はほとんど感じなかった。

 行軍が始まる。

 エルフ達が歩を進めていく。行軍の一番後ろで早足で前を行く部隊を追いかける。エルフ達は足が長いので人間とは一歩の幅が違う。同じペースで歩いていては置いて行かれてしまう。

 向かう先は目の前の切り立った山。岩肌がむき出しになった茶色い山だ。

「ごほっ・・・ごほっ・・・」

 咳の間隔がかなり短くなってきた。

「ごふっ!ごほっごほっ!ごほっ!!ごほっ!!」

 手の中に吐きだした真っ赤な液体を腕にこすり付ける。

 何度もこすっているうちに赤い塊は垢と混じって地面に落ちて行った。

「・・・・・・・・ははっ」

 思わず笑いがこみ上げてきた。

 呼吸が苦しい。軽くしてもらった荷物がやけに重かった。足の震えは今も続いている。歩くだけで、立っているだけで酸欠に陥ったみたいに身体が倒れそうになる。

 荷物を軽くしてもらったのに、この様だった。

きっと、三日前に持った荷物を俺はもう持てないんだろう。もう、不意をついてもテスラにもサンドラにも勝てないんだろう。今日の晩飯を作れるかどうかも怪しいな。

歩くだけで既に精一杯だった。

肩で息をしても、酸素が足りない。

立ち止って呼吸を繰り返しても身体が一切軽くならない。

「もう・・・限界かもな・・・」

 山道をこのまま登れるのだろうか。

 それは多分無理。

 エルフの里に行けるだろうか。

 それは諦めた方がいいかもな。

 テスラの奴隷として働く・・・か・・・

 それが実現したらそれはきっと・・・いい未来なんだろうな・・・

 だが、もう・・・無理なんだろうな・・・

「・・・また・・・転生するのかな・・・」

 そう思うと涙がこぼれそうになった。

 怖いと、思った。

 ただ、ただ、怖いと思った。

 死ぬのが、怖かった。

「おい・・・おいっ!」

 顔をあげたら、そこにサンドラの顔があった。

「大丈夫か?」

「え・・・あ・・・ああ・・・」

 周囲を見渡すと、エルフの隊がかなり遠くに見えていた。大分本隊から遅れてしまっていたらしい。

「・・・身体・・・きついのか?」

 サンドラが心配そうにのぞきこんでくる。

 周囲に誰もいないからこういう態度で接してもらえる。嬉しい限りだった。

「・・・大丈夫。少し、楽になった」

「そうか?」

 『心配している』というより、『信じられない』という顔をしていた。

「・・・動けないなら、切り殺されても文句言えないぞ」

「わかってる」

「・・・もしかして、切られたいのか」

「それなら、お前に切られたいな・・・」

「・・・冗談でも・・・怒るぞ」

「・・・・・・」

 冗談でも、酔狂でもなかったんだけどな。

 それを言ったら、意地でも切ってくれなさそうだ。

「悪い・・・急ぐよ」

「無理はするなよ」

「ああ・・・」

 歩くごとに身体から酸素が抜けていくのがわかる。すぐに息があがる。ただ、歩くだけという作業がここまで苦しい。

進むということが、苦しかった

「・・・・・・・・・ふん!」

 背中に何かが触れた。

「前向いてろ」

「サンドラ?」

 不意に身体に空気が溢れかえった。

「うっ・・・あっ・・・」

 頭をガツンと殴られたような衝撃。思わず膝をついた。

「おっ、おい!だ、大丈夫!」

 息を思いっきり吸い込んだように身体に酸素が流れていく。力強い拍動が血液を一気に送り込んでいた。唐突に目の霞が消えていく。いきなり回転しだした頭が痛い程に強く脈打っていた。

「あぁ・・・あぁ・・・」

 呼吸を止めていても身体が動く。酸素が体に流れてくる。

「ちょっ、やっ、やりすぎたか!お、おい!」

「はぁっ・・・なにをした・・・」

「お、おお・・・大丈夫か?」

「ああ・・・」

 足に力を込めると、それはしっかりと地面を踏みしめた。

「水の中でも息ができるようにする魔法だよ」

「・・・・・・」

「なんか肺が悪いんだろ?肺を傷つけられた時の応急処置にも使う魔法だから効くかなって思ったんだけど」

「・・・・・・」

 荷物を背負い直す。少し歩く。

 息苦しさはなかった。一歩踏み出しただけで、残した足がついてくる。

 歩ける。進める。一歩が今まで感じたことがないくらい軽かった。

「・・・・平気か?」

「・・・・ああ」

 こんなの、何時ぶりだろう。

「よかったぁ~・・・あんま強くかけすぎると中毒起こすから加減が難しいんだよこれ」

 ほっと息を吐いたサンドラ。

 俺は久々に力強く地面を踏みしめた。

「それじゃあ、追いついてこいよ。もう、戻らないと」

「・・・サンドラ」

「なんだよ」

「・・・ありがとう」

 彼女の日焼けした肌が仄かに赤く染まった。

「・・・れ、礼には及ばないぜ!」

 そして、逃げるように走っていくサンドラ。

「・・・・・・歩ける」

 息をしなくても酸素が体にいきわたる不思議な感覚を味わいながら、俺はまた前に進んでいった。

「ごほっ・・・ごほっ・・・」

 手に付いた血の塊を払い落としながら。


 その日、山のふもとに辿りつくころには夕刻が近づいていた。

 エルフ達はそこで陣を張り、俺もまた夕食の準備に取り掛かった。

「・・・体調はどうだよ・・・」

「・・・ああ・・・でも、魔法ってずっとは続かないんだな」

 日が傾く少し前から身体がまた重くなっていった。頭痛がしてきて、目がかすんできて、足が動かなくなっていく。身体を徐々に水に沈められているような気分だった。

溺れてしまうのも時間の問題だった。

エルフ達が陣を張ってくれなかったら、また倒れかけていたかもしれない。

「そりゃそうだよ・・・それに俺の魔力の問題もあるしな」

「そうなのか?」

「魔法のこと知らないのか?」

「・・・そんなことを勉強する余裕は無かったよ」

「ああ、そっか」

 鍋をかき混ぜながら、サンドラは神妙な感じで頷いた。

「もう・・・あの魔法は使えないのか?」

「あれ、けっこう魔力使うんだ。俺はあれを何回もかけられるだけの力はない」

「・・・そうか・・・」

「テスラ様だったら、楽勝なんだろうけどな」

 そう言った彼女はどこか拗ねているようで、まるで子供だった。

「テスラ様はすげぇ魔法も使えるって噂だ。魂を昇華させたり、逆に呼び寄せたりとか、死者の声をきけたりとか・・・俺とは比べものにならないぐらいすごいんだよ」

 どこか誇らしげで、どこか悔しげなサンドラ。自慢の家族を紹介する末っ子のようだった。

 でも、こいつ俺よりも長生きなんだよな。

 ああ、でも人生経験を全部足したら俺ももうちょっと年齢は上になるのかな。今まで生きた年数を足してみる。6回目の人生。それらを合計しても100歳にもなりはしなかった。

「・・・どした?」

「え?」

「また、息苦しいのか?なんか、顔色悪かったぞ」

 顔を覗き込んでくるサンドラ。

 そんな彼女に俺は自分ができるだけ笑顔を返した。

「・・・大丈夫」

 心配してくれる人がいる。それがこんなに嬉しい。

「そんなんじゃないさ。ちょっと、いろんなことを思い出しただけだ」

「なにを・・・思い出したんだ?」

「過去のことさ。ずっと過去のこと。ずうっと昔のことさ」

「・・・それって・・・」

「ああ、転生する前の・・・前の人生だ」

「・・・その話。わたくしも聞きたいですわ」

 背後から突然声がした。

「テ、テスラ様!何時の間に!」

 そこでは、腕を組んでこっちを見下ろすテスラがいた。

「・・・よう」

「元気そうね。隊を遅れたと噂を耳にしたから様子を見に来たのですけど、無駄足ですたわ」

「・・・心配してくれたのか」

「当然ですわ・・・あなたは、わたくしの専属にするつもりなのですからね」

「・・・そうだったな」

「・・・それよりも聞かせなさい。前も言ってましたわね。『転生』って」

「・・・ああ・・・でも、また後だ」

「どうしだよ!」

「どうしてですの!」

「食事・・・届けないと中隊長達に俺が殺される」

 そう言うと、テスラもサンドラも押し黙った。

「だから・・・また、後でな」

 その直後だった。

 空を裂く音と共に金属同士がぶつかる音が響いた。

 鍋が竈から傾き、そして倒れていく。鍋は当然のごとくひっくり返り中身が地面にぶちまけられた。シチューの甘い香りが広がる。

「敵襲!!」

 サンドラが叫ぶのと、俺が地面に押し倒されるのはほぼ同時だった。

 地面に仰向けで組み伏せられる。その頭上を無数の火矢が通過していくのが見えた。

「待ち伏せですって。まさか、こんなに早く人間が進軍しているなんて」

「テスラ様!どうやら陣ごと囲まれています!指示を!」

「仕方ないですわね。各隊が各自で判断するしかなさそうですわ」

 悠然と立ち上がるテスラ。地面から見上げた彼女の横顔を夕焼けと陣地に広がった炎が照らしていた。

「陣地に火を放たれるとは・・・不快ですわ。人間が我々より少しでも優位に立ったと思われることがつくづく不快ですわ」

 それはよく見ていた横顔。

 自分勝手で、気まぐれで、残酷で。

 それでも美しい、女神の横顔だった。

「森の中から猿が出てきましたわね。炎の使用を許可しますわ。森に燃え移ってもかまいません。猿どもを焼き殺しなさい」

 エルフが森や海や川に生きる自然の命を大事にするのは、それが純粋な生き物だから。裏表のない命は尊ぶに値する。

 だが、それがエルフより上位の命であるはずがない。

 彼女らは必要とあらば、全てを灰塵へと帰す。

「・・・カズシ・・・あなたはここを動かないでください。今からゴミを掃除してきます」

「・・・・・・・・」

 見上げた彼女の冷たい瞳を前に、俺の身体は情けなくも震えていた。

 ああ、そういや少し前までこんな感じだったな。

 騒然となる陣地の中に声が響き、そして剣戟の音が聞こえてくる。

 テスラもまた剣を抜いた。赤く煌めく剣を高く掲げ、彼女は剣を振り下ろした。

 やけに近いところで男の断末魔が聞こえてきた。彼女が何をしたのかは寝転がったままではわからない。でも、彼女が人間を殺したことはわかった。

 魔法ってのは随分と便利なもんだ。

「サンドラ・・・行きますわよ。既に陣地に何人か入り乱れていますわ。まずは彼等を排除します」

「了解です!」

 二人は一瞬だけ優しい笑顔を俺に見せて、視界から消えていった。

「・・・・・・・はぁ・・・」

 ゆっくりと身体を起こす。サンドラの魔法が切れてきているせいか、急激な運動ができなくなってきていた。

 少し高くなった視界で周囲を見渡すと、確かに陣地の中で何人かが剣を振るっていた。

 だが、この短い間に火は既に消され、戦っている人間の数もあっという間に少なくなっていった。

 そもそも、あまり人数を投入していなかったのだろう。他の方向から攻め込もうとしていた部隊も一撃を加えただけで、すぐに離脱しようとしていた。

 まぁ、逃げ切れるとは思えないけどな。

 エルフ達は既に森に火を放っていた。無謀だよ。彼女らに戦いを挑むなんてな。

 煙の臭いがここまで流れてきていた。燃えてるのは人か森か・・・

「ごほっ!ごほっ!ごほっ!」

 煙を吸い込み、咳き込む。

「・・・ん?おいっ!君っ!人間だな!」

「あ・・・」

 人間だった。

 人間に見つかった。

「君、エルフの捕虜か?」

「あ、いや・・・」

 兜の細い隙間からこの人の目が見えた。青い瞳が強い意思を感じさせる目。人の良さが視線だけで伝わってくる。

 ああ、そういや、いつの日か『目が人を映す鏡』とか言っていた人がいた気がするな。こういう人はわかりやすくていいんだけど。

「さぁ、とにかく一緒に逃げよう」

「あ・・・」

 手を引かれて無理やり立ち上がらされる。

急激な姿勢の変化。立ちくらみを数倍酷くしたような強烈な眩暈。心臓が一際強く高鳴った。

「ごふっ・・・・・・・・・・・・」

 喉の奥で何かが破れた。

「動けないのか?よしっ、ならば俺が担いでやる!大丈夫だぞ!」

 腹に肩が差し込まれる。そのまま肩に担ぎ上げられる。見えているのは彼の背中と草地の地面だけになった。

逆さになった口から血が溢れかえる。

 声が出なくなった。呼吸ができなくなった。

「・・・・ああ・・・あぁ・・・」

「さぁ、行くぞ。走るからな」

 揺れるたびに衝撃が肩から内臓へと響く。

 何かが壊れた気がした。

 視界が揺れる。目の前の草地が点々と血で汚れていく。

「・・・うぁ・・・」

 眼が霞む。腕に力が入らない。ズルリと腕が落ちた。

「しっかりしろ。もうすぐ俺の仲間が・・・・」

 不意に彼が立ち止った。内臓に喰い込んでいた鎧が少し楽になる。

「っぁぁ・・・・」

 小さく、呼吸ができた。

「あ、ああ・・・ああああ・・・・」

 俺を担いでくれていた人がなぜか足を下げた。

 一歩、また一歩。

 そして、俺の身体は彼の肩を滑り。地面に落ちる。

 草の匂い、森の香り、そして自分の口の中の血の臭いが妙に心地良かった。

「・・・あなた、カズシをどうする気?」

「マワリは俺達の奴隷だ。勝手に持っていかれちゃ困るんだよ」

「・・・ェ、エルフ!」

剣を抜き去る音がした。

やめてくれ。

その人は俺を助けようとしただけなんだ。

 それだけのことを言う力も、もうこの体には残されていなかった。

 男が駆け出し、テスラに斬りかかる。彼女は一歩も動かずに、その男の剣を腕ごと斬り飛ばした。

 彼の腕が剣と共に地面に突き刺さる。

「え・・・え・・・うわぁぁぁ!腕が!俺の腕がぁぁぁ!!」

 サンドラがその男の脇腹を蹴り飛ばした。男はサッカーボールのように飛んでいき、木に激突した。一瞬、その男の身体は幹に張り付けられたかのように止まった。そして次第に重力に従って地面へと倒れていった。血の跡がペンキのように木に残される。

 それだけが、彼が生きた証だった。

「まったく・・・面倒増やしやがって」

「本当ですわ。わたくしのカズシを連れていくなんて・・・あっ、でもこのまま人間に連れさられたことにしてしまうのもいいかも知れませんね」

「あっ、そうですね!そうしましょうよ!・・・って、テスラ様、さっき『わたくしのカズシ』って言いました?」

「・・・・・・わ、悪いかしら・・・」

 呑気だな・・・こっちは死にかけてるのに・・・

 だが、なぜか・・・人間に連れ去られた時よりも心が落ち着いた。

 あれほど、俺をいたぶったこいつらなのに。

「『わたくし達』です!勝手にマワリを自分のものにしないでください!」

「ご、ごめんなさい・・・って、カズシ?カズシ!!」

「あっ・・・マワリ!!」

 駆け寄ってきてくれる彼女達。

今この瞬間に俺が一緒にいて欲しいのはやっぱり彼女達なんだ。

二人の手が俺の肩にかかる。仰向けになると空気が肺に少し入っていった。

「どうして・・・どうしてこう!あなたは何度も死にかけるのです!」

「なんでだよ!なんでいつも・・・こうなっちゃうってるんだよ!」

 んなこと言ったって。

 口を動かしたが、もう声は出なかった。

「この・・・・・・・悪魔め・・・」

 それはきっと空耳だった。

 血を流し続けて、耳鳴りがしていたし、頭もまともに働いていなかった。

 だから、少し離れていた場所で倒れていた人間の声が聞こえるわけがないのだ。

 だから、それはきっとただの偶然だったはずだ。

「死ね・・・・」

 その人間の身体から何かが放たれた。光、熱、力。

 それが危険な物だというのはすぐにわかった。

身体が動いていた。

 命が消える最期の灯。燃え尽きる直前の強い光。自分でも信じられないぐらいの力だった。

だって、エルフを二人まとめて押し倒したのだから。

「え・・・・」

「おい・・・」

 庇った背中に火球が直撃した。

 もう、痛みという感覚も無かった。

「・・・・・・・・・・・・なん・・で・・・お前・・・が・・・」

 うっすらと消えゆく意識の中、人間が絶望する声が聞こえた。

 それと同時に剣が二振り、抜かれる音も。

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