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(閑話) 王子様と、呑兵衛たちの宴会

思いつかなかったので、完全にネタ回。

酔っ払いたちによる、コスプレ撮影会です。

 プシュ、とプルタブを開ける音が響き、私と朱美は缶のまま乾杯をする。

 その様子を見て、文官も缶を開けた。その横で、王子が複雑そうな顔をしている。手には、100%ジュース。


「私も飲めるぞ」

「王子は今日が生誕日ですからね」

「お酒は二十歳になってから」

「そうそう」

「ではアケミは、20以上なのですか?」


 左手に缶ビール、右手に朱美の髪に触れながら文官が言う。


「永遠の17歳は年齢不詳なんですよ、知りませんでした?」


 ペシッ、と文官の手を払って朱美が梅酒を飲む。

 さっきから、そのやり取りを何度も繰り返していて、段々バカップルがいちゃついているように見えてきた。

 文官の変わり様に驚くばかりだ。


「それにしても、ほんとキラッキラだわねー」


 あれから王子がこちらにきた経緯を聞いて、朱美が「キラッキラ王子なのに、ヘタレぼっちって」とあっさりバッサリ斬ったため、私も朱美も、警戒心がすっかり半減してしまった。

 もちろん、嫌がらせや暗殺を本人の頑張りが足りないなど、無神経な根性論を展開するほど愚かではない。

 現に、よく耐えて頑張ったね、と言われ感極まった王子が朱美の胸元にすがりつき、何かを我慢していたときも頭を撫でていた。

 ま、家族に舐められてる程度じゃ王様業なんて無理じゃない?という言葉付きだけど。

 正直、私より朱美の方が王妃に向いているんじゃないだろうか。


「ふむ、この麦の味も格別ですね」

「そう言えば、異世界人なのに何で日本語が判るの?」

「あ、それ私も思った!」


 初め、2人がコスプレだと思ったのはそれが理由でもある。外国人にしては、日本語が自然すぎたのだ。


「風の精霊のおかげですね。 魔法については聞いていますか?」

「王子が6種類のうち5つ使えるのは聞いてます」

「わお、ファンタジー」


 文官の言葉に、私は頷き、朱美は目を輝かせた。

 その食い付きように、文官の目の色が変わる。


「我々の国の魔法には火、水、風、地、光、闇の6種類の属性があり、王子は闇以外、私は光以外の5種類が使えます」


 この文官も、やはり万能型だったようだ。


「この世界にも眷族(けんぞく)…こちらでは精霊と言った方が判りやすいらしいですね。 その精霊が力を貸してくれます。 我々の発している言葉は我々の言語です。風の精霊が我々の言葉を翻訳して、貴女たちの言語に変えて伝えてくれるのですよ。 それは我々が属性を持っているから可能な事なのです」

「つまり、仮に瑞穂がそちらに行けば言葉は通じないって事?」

「理論上は、そうなりますね」

「だが、属性を補助する装身具をつけていれば簡単な魔法は大丈夫だ。 私の場合、この指輪で闇属性を補っているな。 暗殺や毒殺などの察知はこれのおかげだ」


 まだ可能性があると命を狙われるのは、闇属性が無いからか!

 私は、心の中で納得した。


「これからは私が眷族石を作りますので、精度は格別に上がるでしょう」

「文官さん腹黒そうだもんね。 闇系強そうだ」


 早速軽く酔い始めた朱美が、毒舌を吐く。

 そして何故か文官嬉しそうなんですけど!!


「強いですよ? 試してみますか?」

「んん?」


 文官が人差し指を振ると、朱美が文官の胸元に倒れこむ。表情は逃げたそうだが、動かないらしい。


「使えない奴相手に遊ぶな」


 パチ、と王子が指を鳴らすと、朱美はバッと文官から離れた。


「今のが光属性の異常解除だ」

「王子、助かった!」


 朱美は、王子をまた撫でている。王子も目を細めて嬉しそうだ。だから、私より朱美が(以下略)


「どうしたミズホ。 不機嫌そうだが」

「えっ!?」


 目を開いた王子が怪訝そうに指摘して、私は驚いた。

 反射的に、両手で頬に触れる。そんなに嫌そうな顔をしてたのだろうか。


「大丈夫よ、私年下とイケメンに興味ないから」

「べ、別に関係ないし!」



 私が撫でると怒るのに、朱美が撫でると嬉しそうにするのが、少しモヤッとしただけだ。他意はない、はず。


「乙女心は難しいのよねー?」

「朱美も女子でしょ!」

「私は、2次元と3次元は分けるタイプだから」


 そうだ、キラキラ王子を見て一番に喜びそうな朱美が、やけに普通だった。


「あ、でも王子の王子服か貴族服か騎士服は見てみたいな! ついでに写真も撮らせてもらえると嬉しい」


 あ、やっぱり朱美は朱美だった。


「王子服? は、いつも着ている服でいいのか? なら」


 王子が指を鳴らす。

 すると、一瞬で服が昨日着ていた服に変わる。

 朱美の目が、キラキラと輝いている。


「眼福!!」


 そう言って、どこかからか出した携帯を王子に向けている。きっと待ち受けは王子に決定だろう。


「な、なんだそれは!」

「携帯電話。 カメラつきだから写真も撮れる」


 ほら、と朱美が画面を見せたら、王子の表情が固まった。


「だ、誰だこれは!? いや、私、なのか? ああ、これは洗面台の鏡と同じだ」

「この国の鏡は鮮明なのですね」


 テンパる王子と、画面を覗きこんで冷静に返す文官。


「早速待ち受けにするわ! 有難う王子」

「………ミズホは、撮らなくていいのか?」

「えっ!?私は別に」

「そんな素直になれない瑞穂のために、私が撮っておくよ。 王子、この窓を愛しい愛しい瑞穂と思って笑ってサンニーイチ!」

「!!!???」


 ほんの数秒。

 写真を撮る感覚をもう掴んだのか、王子の表情が変わった。

 端から見ても鷲掴みされそうな笑顔。それをまともに受けた朱美も、耳を赤くしていた。


「なにこれ強烈」


 心臓に悪いわ、といいながら保存している。

 待ち受けにだけは勘弁して欲しい。


「………そんなに変だったか?」


 悪い意味に捕らえた王子が眉を下げている。


「ううん、むしろ逆だから安心して」

「……そ、そうか?」

「アケミは、私を撮らないのかな?」


 笑顔をスタンバイして、文官が朱美を見ている。しかし、朱美はさほど興味がなさそうに視線を返した。


「魔法使いには興味がないです」


 文官が着ているのはローブのようなものであり、制服萌えというのには引っ掛からないらしい。文官は少し考えるように目を伏せると、王子のように指を鳴らした。

 無意識に朱美が自分の携帯電話に手を伸ばし、ハッとして隠す。

 文官が着ているのは、軍服。黒さがまた文官に似合っている。


「気に入りませんか?」

「…………くっ」

「カイゼルのその格好を見るのは久々だな」

「普段は違うの?」


 目の前の欲望と、理性をフル動員させている朱美を置いて、私は王子に話しかける。


「ああ、カイゼルは武家出身の異色の神官だからな。 軍人としても遜色はないぞ」

「ふぅん」

「だ、だから……着られてない感じなのね……」

「もう諦めて撮らせてもらえばいいよ」


 葛藤している朱美から携帯電話を奪い、私はレンズを文官改めて神官に向ける。


「神官さん、この窓を見てくださいねー!サンニーイチ」

「瑞穂ぉおおお!!」

「!!!」


 この神官も中々の破壊力だ。ただ、作られた感がすごいけど。ついでに、王子と神官のツーショットも撮っておく。なんて友達思いな私。


「……………うん、そんな気はした」


 多分、王子の天然笑顔を覚悟したのだろう。神官の写真を恐る恐る覗いた割には、朱美はあっさりとしていた。


「やっぱり先輩だよね」


 いつの間に撮ったのだろう。朱美の携帯待ち受けは従兄の騎士コスプレになっていた。

 しかし、従兄は最近結婚したばかりだ。結婚式にも、朱美は新婦友人として参加し、祝辞を述べていた。

 もしかして、と思ってはいたが、ただの先輩後輩だと私は認識していたのだ。


「朱美…」

「菜摘ちゃんが天使すぎる」


 うん、気のせいだね。

 今度は、従兄の嫁こと菜摘ちゃんのドレス姿に変わっていた。

 それからしばらく呑んで、朱美は王子用に買った服を着た神官に駅まで送られて帰った。

 騒がしかった分、王子と二人きりは何故か居心地が悪い。けれど、朱美がくる前のようなムカつきはなく、1日を終えることが出来た。





1つ後悔したことと言えば、結局布団一式が買えず、王子と添い寝した事だろう。

心臓に悪いから、明日は絶対買いに行こう。

投稿する30分前くらいにこの文章を書いております。

毎日投稿できる方、本当にすごいですね。

文字数を減らしたいという誘惑に負けそうです。

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