表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔女のアナ  作者: takayuki
5/9

使えない魔法

 【第五の魔法】使えない魔法


 だいぶ前のことになりますが、アナは小さい頃6歳ぐらいまで、お婆ちゃんに育てられていました。お婆ちゃんが行くところには、必ずアナは付いて行きました。泣く時も笑う時もお婆ちゃんがいてくれたのです。寝る時もお婆ちゃんと一緒でした。お婆ちゃんがくれた水晶玉はアナにとって、とても綺麗で魅入られる物だったので肌身離さず今でも持ち歩いています。


 アナが17歳になったころです。アナのお婆ちゃんが痴呆症ちほうしょうにかかってしまいました。ひどい痴呆症でアナの事も忘れてしまっていました。そんなお婆ちゃんを見て


 「わたしの事わかる ?」


と、アナが聞くのですが、お婆ちゃんがそれを聞くと大切な人の事を思い出せない申し訳なさと、苦しみから何とも言えない悲しい顔をして、喋ろうにも喋れずに、小さく首を振りました。その苦しみを普段から知っていた叔母さんは


 「いつも一緒の私の事も忘れてるのに、覚えてるわけないでしょ」


と、少し笑いながらその場をなごませてくれました。でも、アナはその時のお婆ちゃんの大切な人から、私の事覚えてるのか?と聞かれても、思い出せない苦しみの顔をいまでも心に忘れる事ができず焼き付いていたのでした。


 それが、他人の大切な思い出を取り、それをエネルギーにして魔法を使う事をためらってしまう理由でした。


 今日も友達のサレナはアナを責めるように


「魔法使いが魔法を使う事をためらうなんて聞いたことない。わたしたちの魔法力は強くないし、よくて普通の魔力。使いたい時に魔法が使えなかったらどうするの?今のうちから魔法の練習をしておくべきでしょ」


と、言うのです。


 でも、アナは魔法を使う事が出来ずにいたのです。そこへ、アナを好きになる魔法をかけられたルークがこちらへちょうど歩いてきたので、サレナが歩くルークを止めるように声をかけました。魔法を使わないだけましですが、また、サレナの悪い癖が出たのです。


 「ルークさっきアナがね。あなたと明日デートしたいって言ってたよ ?」


と、急に話しを振りました。アナは驚いて顔が赤くなりました。でも、ルークは不思議そうな顔をしながら言いました。


 「何言ってるんだい ?僕にはミシェルっていう彼女がいるんだ。他の人とデートするわけないだろ ?」


 そのあと後ろから、あのとても可愛いミシェルがルークの腕をつかみ、前の事を忘れてしまっているかのように仲良く二人で歩いて行ってしまいました。


 サレナとアナはそれを見て、お互い目と目をあわせて、豆鉄砲を当てられたような顔をしました・・・!


 【第五の魔法】おわり


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ