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A-9「別れた後にて」

恵那と別れた後、美雪はベットに仰向けになって今日の出来事を振り返っていた。

何だか凄く気疲れした。河村と二人で自分に内緒にしていたのが許せなかったけど……なかなか言い出せなかった恵那の気持ちもわかる気がした。自分は結構突っ込んで聞くタイプだから、恵那が作品作ってるって知ってたら絶対見に行ってた。絵なんて美術の時間でしか描いた事ないからよくわからないけど、ああいう芸術作品を作る人は一人で黙々と作りたがるんだよね。感情移入とかあるだろうし。恵那もきっと一人で黙々と作りたいから、自分に言ったら邪魔されるだろうと思って中々言えなかったのだろうし、河村も邪魔者扱いしてるのだろう。

何だか最初は寂しいと思ったけど、恵那のやりたい事なんだから応援しないと。今回ばかりは美雪ちゃんも蚊帳の外かぁ。

 

手持ち無沙汰に髪の毛を指に巻きつける。そろそろ美容院にでも行こうかな。そうだ、あのつんつん頭に恵那の邪魔をしないよう釘打っとかなきゃ。それとこの気持ちにも早く決着つけないといけないかな。本当に好きになる前に。

美雪は深呼吸して気持ちを落ち着かせた。






美雪と別れてからも何となく家に帰るのが億劫で、恵那は散歩がてらに少し遠回りして家に帰ることにした。美雪に悪い事しちゃったな。言い出せなくて結局隠し事にしちゃってたもんね。

 

ふとお店のガラス越しに自分の顔が映った。その人は何だか不安そうにこちらを見ていた。

美雪、寂しそうな顔してたなぁ。今日遊びに誘ってくれたのだって、気を使ってからなのだろう。友達の中でも美雪が一番付き合いが長い。親友に隠し事は無理って事か。

空を見上げるともう月が出ていた。秋の月は高く見えると聞く。明日も良い天気になりそうだなと恵那は思った。




翌日から恵那は本格的に作業を開始した。授業が終わると同時に、ある程度構成したラフ画のスケッチブックを持ってプールに向かう。


「お、今日から本格的に開始するんだな」

 

スケッチブックを持つ恵那に河村がそう呼びかけた。恵那は「そうだよ」と答えると河村に聞いた。


「河村も更衣室にくるの?」


「俺か?残念だが今日は先約があるんでね。神崎と二人っきりにはなれないな」


「……あっそう」

 

河村はそう言うなりバイバイと手を振って行ってしまった。河村に先約って何だろう。弟達の子守とかかな。いつも暇そうに見えるけど、たまの用事くらい誰にでもある事。


恵那はそう気にもせずプールに向かった。


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