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第十八話 復活

 ☆午前十二時 ゼージスコックピット

  

 モニターに光が宿り、起動音が鳴り響く。力尽き、ぐったりとした暦に子猫達が心配そうに呼び掛ける様が、潰れたはずの左目に映っていた。


(あとで、教えて)


 光の中、俺を見つめた何処までも純粋な瞳。『怪獣』と呼ばれた暦が、多くの命を救った。その事実が、混乱する心を、徐々に決意で塗り潰していく。


「─薫、見ててくれ」


 衝撃波と化した咆哮が大気を震わせる。倒した筈の敵が突然蘇り、右鎌を粉砕した。受け入れられようのない真実に、狂乱し、恐怖した怒号を返すヴェルセクト。


 巨大な翼を広げ、突風と共に白の巨体が飛び上がった。大角で串刺しにせんと飛び掛かる相手を前に、ゼージスは靭尾に激しい電撃を迸らせる。


 次の瞬間、雷を纏った痛烈無比の打撃がヴェルセクトを叩き落とした。


 ボキリとへし折れる大角、大地へ叩き付けられ、土煙が上がる。甲高い絶叫を黙らせるように、靭尾は藻掻く敵を締め上げ、その巨体を軽々と持ち上げては何度も何度も大地へ叩き付ける。


 執拗な攻撃に白の甲殻は汚れ、壊れていく。最初は敵意と憎悪混じりだった甲高い咆哮も、やがてただ戦慄し、逃げようとする悲鳴へと変貌した。


 藻掻き、翼を広げる。だが、逃げる事は叶わなかった。そこにあったのは、とっくにへし折られた翼だったのだから─

 

 細い首を、鋼の剛腕が締め上げる。凄まじいパワーに泡を吹く相手に、ゼージスは咆哮した。鋭い牙の生え揃った喉奥に、これまでを凌駕する凄まじい雷撃が迸る。必殺の一撃を前に、周囲を電撃が迸り、振動と共に、機器類がオーバーヒートする。 

 

 熱い、痺れる、意識が吹き飛びそうだ。それでも俺が操縦桿を離さずに済んだのは、また一つ増えた『背負った物』のお陰だった。


(あとで、教えて)

 

 ありがとう。今度こそは、約束を果たせそうだ。

 

 次の瞬間、零距離で放たれた閃光がヴェルセクトの頭部を飲み込む。悲鳴さえ激しい雷鳴に掻き消され、その複眼は黄金の暴風の中に消えていく。

 

 ゼージスは出力を上げ続けた。閃光と太さを増し、やがてヴェルセクトの全身を飲み込む。雷は光のドームへと姿を変え、街を包み込んだ。


 次の瞬間、大阪の街に爆風が吹き荒れた。大地が揺れ、サワさん達は思わず自らを庇う。凄まじい衝撃に、黄金に染まる夜空。


 漸く目を開けた時、人々が見たのはゼージスのシルエット。天を貫く黄金の火柱には、鋼の巨体が勝利の雄叫びを上げる姿が浮かび上がっていた。


 

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