第一話 怪獣迫る朝に
夢を見た。ただひたすらに、がむしゃらに戦う夢だった。わたしに、何の迷いもない。正義のために戦うだけだ。
それなのに、全ては滅んだ。荒廃した大地が、目の前に広がっていた。何故だろうか。最も、そんな疑問も、すぐに消えた。
それでいい、正義の為の奴隷で、わたしは良い─
☆二〇二四年 七月十七日 午前六時
千代田区 氷川荘
俺、一条竜にとってはいつもの朝だった。悪夢の爪痕たる脂汗を拭い、ラジオを付けてカーテンを開く。巨大なトーチカ達に、空の戦闘機。産まれて十七年、何も変わらぬ風景だ。
〈一九五四年以来、人類を脅かし続ける怪獣。七十年という節目の『祝い』でしょうか、国際軍事機構WAMDA(World Anti-Monster Defense Alliance)によりますと、現在関東全域で怪獣由来と思しき地震が頻発しているとのことです〉
白の隊服に身を纏い、バイザー付きのメットを被る。額縁の中の父さんと母さんは、こんな世界にミスマッチなほど優しい笑顔を浮かべている。だからなのだろう、毎日十年前を夢に見るのは─
「─待っていてね。笑顔が似合う世界にしてみせる」




