表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
能無し勇者は知恵とLV1魔法でどうにかする  作者: (^ω^)わし!!!


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

66/72

ドンズの話 4

書いといてなんだが、ドンズの話など「…というわけだ」+3行くらいにまとめちゃえばよかった。

無駄に重たいよこの流れ。


ところでこの前ゼノギアスがリメイクされないって書いたけど、同じようなのにドラクエビルダーズ3が出ないってのもあるよね。


ビルダーズは1がストーリーの完成度が高く、2はゲームの完成度が高い。

だから3はきっととんでもない神ゲーになると期待してるんだけど、大人の事情があって開発されそうもない。


たぶん習近平も待ってると思うんだけどなー。

 「聞くとこによると、淫魔はどっかの娼館から逃げてきたそうだ。どうしても、自由ってやつを知りたかったってな。


 つっても、特に娼館でひでぇ扱いを受けてたってわけじゃあないらしい。むしろそこじゃ、一二を争う売れっ子だってことで、かなり大事に扱われてたそうだ。


 だがよ、それだけに、「足抜け」にかかった追手はエグかったみたいだな。抜けさすくらいなら殺せってわけよ。もしも他の娼館(とこ)で囲われて、自分(わが)とこの商売を荒らされたりしちゃあ、かなわねぇからだ。…女衒(ぜげん)どもの考えそうな、ゲスな理屈だぜ。


 そんな経緯を知ったから…ってわけじゃあねぇが、自由を知りたかった、とか聞いちまうとよ、俺らぁはもう…何も言えなくなっちまった。俺らぁだって、気持ちは痛いほどわかる。やっぱ、なんかダブるんだよ、自分と。


 だから皆で、弟の好きにさせたんだ。面倒を見るってんなら、納得するとこまでやりゃいいさ、ってな。別に、二人に手を貸したりはしねぇけど。


 ただ…俺はな、傷が治ったら、淫魔がさっさとどっかへ行っちまうだろうと思ってた。恩とか情とかしがらみとか、淫魔はそういうのを理解する種族じゃねぇって印象があったからだ。


 けど意外なことに俺の予想は大外れで、ケガが快復しても、淫魔は弟のそばを離れやしなかったな。その姿を見て、俺は自分の不明さっつうか、偏見…?を、ちょっぴり恥じた。まあ…、淫魔も行くとこが無かったってのもあるんだろうが。


 そんなこんなで淫魔とともに、俺らぁは無事にグリモアの勢力圏に入ると、さっそく目ぼしい高い山を探して、地下を掘り出した。やっぱドワーフの住処っていやぁ、地下ってイメージがあるだろ?


 …でもな、別に好き好んで地下に住みたいわけじゃねぇ。身を守るため、隠れ潜まなきゃならんのさ。俺らぁが呪に弱いのは、その道のヤツらの常識で、魔物は本能的にわかってやがるから。


 とはいえ、そんなことは抜きにしても、地上はグリモアの魔素で腐りつつあったし、長く暮らすなら、どのみち地下しかなかったんだが。


 それに知ってるか?高い山の下は鉱石が見つかりやすいんだ。俺らぁには鉱石掘りと加工を生業にする目論見があった。皮肉なことに、奴隷として嫌ってほどやってきたことだから勝手もわかる。当面は自給自足でやっていくつもりでも、商売無しじゃ、いつかどっかで限界がくるからな。ほんとはグリモアの棲む岩山が一番高いんだが、さすがに遠慮したよ。


 街がどうにか形になるまで、何十年かかったかなぁ。地下につくるんだ、そりゃあ大変な作業だったが、俺らぁはそれが楽しくて楽しくて、毎日ゲラゲラ笑ってたよ。もちろん弟と淫魔もだ。あの頃にはもう皆、淫魔を俺らぁの仲間だと思ってたな。


 俺らぁは街をいつからか、「地下城塞」と呼ぶようになってた。王様なんていねぇのに城ってのも妙だが、皆それぞれが一国一城の主って感覚だったってことさ。


 地下城塞はこれからもどんどん拡張していくつもりだったから、作業にここで終わりって線は永遠に無いんだが、それでも全員の家ができた時、俺らぁは一区切りってことで数日の祭りを催すことにした。まあ、祭りっても、それを口実に酒飲んで大騒ぎするだけなんだが。


 そこに大きな華を添えたのが、弟と淫魔の結婚だった。


 弟と淫魔は恋心を隠してるつもりのようだったが、二人が想いあってたのは俺らぁからすればバレバレだったんで、ようやくかって感じだな。結婚するほど好きなら、とっととしちまえばいいじゃねぇか。俺とガレラみたいによ。まあ弟は真面目なんで、生活のめどが立ってからそうしたかったんだろうけどな。


 俺らぁは「やっと覚悟を決めたか」とか「ようやく年貢の納め時だな」なんて二人をからかい倒した。弟も淫魔も、テレながら幸せそうに笑ってたよ。


 …思えば、あれが弟の最後の笑顔だった気がする。


 

 違和感があったのは、結婚式を兼ねた祭りが終わって数日後だ。弟の顔がどうにもサエねぇ。ため息ばかりついて、どこか遠くを見てやがる。「どうしたんだ」って聞いても、「なんでもない」と繰り返すばかり。


 俺は最初、疲れてんだろうなと考えてた。そりゃ新婚だからよ、ドワーフが頑丈でも、派手に営むものを営んでりゃ、疲れもたまるだろうしよ。


 だがそっから何日たっても弟の様子がかわらねぇ。それどころか、頬がこけて、まぶたにクマのできた目もうすらぼんやりしてる感じだ。ヒゲも手入れしてるようには見えねぇし、会話の受け答えだって覇気がねぇ。これは俺のなんとなくの印象だが、疲れてるってより、悲壮ってのがしっくりくるような有様だった。


 どうにも気になった俺らぁは、どうにか事情を聞き出すことにした。乗り気でない弟に、半ば無理やり酒を飲ませ、さりげなく探りを入れてみたんだ。


 結果、泥酔させられた弟が、ようやくこぼしたそのワケは、




 ────勃たない────だった。




 …何が、とか眠たいことを聞くなよ?


 あんちゃんの中でも、ようやく話が繋がったか?


 そう、俺らぁは「デブ専」だ。…弟も含めて、な。


 弟は嘘も偽りも間違いもなく、心から淫魔を愛してた。だけど、心や頭でいくらそう想ってても、悲しいかな、体は正直だったんだ。弟のアレは、いざって時に淫魔を前にしてピクリとも反応しなかったらしい。


 

 思ったより深刻な問題を前に、俺らぁは困惑して顔を見合わせた。なにしろ解決する術がねぇ。そんなのどうしようもねぇじゃねぇか。


 だが、聞いちまった以上、俺らぁは何かしなけりゃと焦った。できることは思いつかねぇが、とにかく「何か」を。だって…事態は、男なら誰もが恐れる「不能」だ。苦しんでる弟を、このままほっとくわけにゃいかねぇだろうが。


 …で、俺らぁは余計なおせっかいをしちまった。今思えば、話を聞くだけにとどめときゃいいものを、それが十分寄り添うことになるってことを、俺らぁは知らなかったんだ。それどころか、やっちゃあいけねぇことをやりまくっちまった。


 …どんな、って?


 励ましたんだよ。一生懸命。


 それでも「気を落とすなよ」とか「何かいい方法があるさ」や「〇〇って食い物が効くらしいぜ」くらいまではよかった。でも皆、段々といい考えも出尽くして、果ては「奥さんに太ってもらったらどうだ?」「一人で勃たせてからいけよ」のような、冗談やイジりともとれちまうものになってったんだ。


 断っておくが、俺らぁの中に誰一人として、おふざけや悪ノリでそんなこと言ってたヤツぁいねぇ。みんな真剣に考えて、良かれと思って口にしてたんだ。弟だってそんくらい、重々わかってた。


 けどよ、毎日毎日、いろんなヤツが顔合わせるたび、挨拶みてぇに言ってくんだぜ。あんちゃんなら耐えられるか?今でこそ俺にもわかるが、無理だろ…そんなん。もちろん、弟もな。


 知らず知らずのうちに皆が、弟をどんどん追いつめられちまってた。それである日…弟は誰にも、淫魔すらにも何も言わず、街から消えちまったんだ。ようやく俺らぁも自分のしでかしたことに気がついたが、後の祭りってやつさ。


 

 その後の淫魔の怒りは、言うまでもないだろうが、烈火の如く…というやつだった。


 幼女のように泣きじゃくりながら、淫魔は俺らぁを責めに責めた。


 ────「あの人がそばにいるだけで、私は幸せだったのにっ!!」「お前らのせいだっ!!お前らが壊したっ!!」「返せっ!!」────


 淫魔が(なじ)るあの声は、何十年たってもまだ、俺の耳奥に貼りついてやがる。


 淫魔はそのまま何日も泣いて、泣いて、泣き続けたが、やがてウソのようにピタリと静かになった。その時の淫魔の様子に、俺は心底ギョッとしたよ。


 目は黒く落ちくぼみ、頬はげっそりとし、唇はかさかさ。髪はバサバサに痛んでツヤはなく、体中の水分が抜けてしまったかのような肌は皺だらけ。まるで明日にでもお迎えがきそうな老女みたいだったんだ。


 呆然とする俺らぁを見て、淫魔は何がおもしろいのかケタケタと笑いだした。乾いた空気が摩擦ですり減るような、神経を逆なでする音だったよ。


 淫魔はしわがれた指で俺らぁを指さすと、


 ────────…同じ苦しみを、味わえ。あの人と同じ苦しみを、味わえ────────


 この街の全ての男に「呪」をかけ、姿を消した。



 

 それから何十年とたつ。


 その間に、幾人もがこの呪われた街から去っていった。


 連中がどこでどうしてるかは知らんが、だがおそらくはソイツらぁも、俺らぁも、(いま)だ、不能のままだ」

 



 こうして、ドンズの話が終わった。


 横のガレラは当時を思い出しているのか、腕を組んで難しい顔をしている。




 ────お…重たい…


 てっきりバカバカしいちんこの話が始まると思っていた公太郎は、(実際、ちんこの話ではあったが)話の重量に指でこめかみを押さえた。



 事情は、わかった。


 しかし。




 全権を任された身ではあるものの…



 どうしろというのか…

TIPS:「街から消えた」「姿を消した」は隠語であると推察されるが、そうでないかもしれない。というか後味が悪すぎるので、書いてる方としても不明。


ドンズたちが必要以上に酒を飲むのは、EDによって生じた苛立ちや暴力性を紛らわすため。呑んだくれてれば当然だが、何事にもやる気が起きない事態となっている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ