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能無し勇者は知恵とLV1魔法でどうにかする  作者: (^ω^)わし!!!


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呪の正体

登場人物メモ


ハムタロ:本名は伊藤公太郎。年齢は不詳。ある日地球から大魔王を始末するためこの世界に召喚された勇者だが、その自覚はほとんどない。一人称は俺で、サラリーマンモードの時は私。どちらのモードの時も語尾が伸びる眠たいしゃべり方をする。しょっぱいが魔法を使えるようになった。現在はイリスの従者であり、イリスをはじめ、5人と婚約したのはいいが、前田利家すら凌駕するロリコンの重たい十字架を背負ってしまう。


イリス:荒れ果てた領地に花を植えたいと思っていたら、街をつくることになった見た目12歳くらいの魔王様。素直さとド根性が持ち味。戦闘時は自分の血に眠る先祖の因子を呼び覚まし、大人の姿になって戦う、超強い女の子。転移魔法は義兄の魔王フェルズによって仕込まれたため使えるが、他の魔法はからっきしの脳筋。2年間にわたる一人旅で、料理の腕前と虫耐性を完備している。一人称はわたし。丁寧語でしゃべり、他人への敬称は「様」ではなく「さま」。ちからこぶをつくる癖がある。この前ハムタロと婚約した。


ラピル:魔王フェルズ麾下であったが、ヘッドハンティングされイリスの従者へ。といっても、本人としてはフェルズより実妹のリュナに仕えていた感覚のため、自分が転属した気持ちはない。計算にかかわる恩寵を持ち、近い未来までなら事象がシミュレートできる。常にアルカイックスマイルの知的で冷静なシゴデキ女性に見えるが、頭には血が上りやすい方らしい。一人称はわたくし。他者への敬称は「様」。口癖は「まぁ」と「ございます」。リュナのシンパであり、リュナが好きなものは自分も好き、嫌いなものは自分も嫌いとかいう富岡義勇が聞いたら憤死する思考を持つ。リュナと婚約していたが、リュナは男嫌いであっても性的嗜好が同性というわけではないのでプラトニックな関係であった。なお、ラピル本人は両方イケる。ハムタロとリュナが婚約したため、自分もそうした。


ドンズ:ひょろひょろの禿げたドワーフの男。ドワーフの地下街では最も年齢が高く、知り合いも多い。横柄な態度を取る困った男だが、イリスにわからせられた。一人称は俺ァ。ハムタロはあんちゃん、イリスは魔王サマと呼ぶ。淫魔の呪にかかっており、何事にもやる気が出ないそう。くさい。


ガレラ:ドンズの妻。ドワーフゆえに肩幅が広く、ふくよかな女性。見た目はドンズよりかなり若い。呪でやる気を失った男どもを役立たずのボンクラと切り捨てるが、それでいて夫とは別れない情の深さがある。一人称はあたし。くさくない。


習近平:中国の歴史上もっとも偉大な指導者。たまに毛沢東と比較されるが、髪の量を見ればどちらが優秀であるかなど確定的に明らか。終身国家主席へとクラスチェンジすることを夢見てるらしい。たぶんくさい。

 公太郎たちがドンズ宅を出て、一旦地上へと戻ると、西日が間もなく山間へ隠れる頃合いだった。


「では、わたしたちは一度帰ります。明日の朝、迎えに来ますから」


 ここまで乗ってきた飛竜の手綱を引き、飛行準備をしていたイリスが振り返る。


 「ああー。暗くなるし気をつけてー」


 公太郎はイリスにうなずき返すと、魔法鞄にしまわれた夜営の装備の再確認をしているラピルに声をかけた。


 「ご苦労様ー。でも、最低テントがあればいいよー。もしかしたら、ドンズさんが泊めてくれるかもしれないしー」


 「…ハムタロ様、今晩…このような場所で、本当におひとりでも大丈夫でしょうか?お望みであれば、わたくしがここでお待ちしておりますが」


 蓋をぱちりとはめ、ラピルが鞄を受け渡しながら公太郎の顔を覗きこむ。


 「大丈夫ー。ラピルは心配性だなー。大人だよ、俺はー」


 「まぁ…。妻であるわたくしが、旦那様を心配して、なにかおかしなことが?」


 「…つ…ま…ハハハ、そ…そうだけど…」


 ラピルから不意に飛び出した単語にドキッとしつつ、公太郎は半笑いでごまかした。


 ────妻、ね。


 そう言われても、どうにも妙な感じだ。


 そりゃ、仕方ないだろう?元の世界じゃ、いつか自分が結婚し、妻帯者になるなんて1ミリも想像してなかったんだから。


 「まぁ…。ご安心ください。どうしてもとおっしゃるのであれば、テントは二組にいたしますので」


 「……いや、どうもせんでも、そん時は二組にするけどー…」


 微笑んでいるとも、そうでもないともとれるアルカイックスマイルを浮かべるラピルに、公太郎は勢いのない中途半端なツッコミを入れる。


 ────冗談なのか本気なのか、よくわからないんだよなぁ…ラピルって。


 そうはいっても、からかっているわけではないことくらいはわかる。


 おそらくラピルは、見知らぬ土地での、はじめてのひとり夜営を心底心配してくれているのだ。その上でさらに、女性と同衾する意気地など持ち合わせてない自分(公太郎)(おもんばか)り、大真面目に提案してくれてるに違いない。


 しかし、これほど上げ膳据え膳では…完全にママだ。


 「…ていうかね、そんな甘やかされたら、俺…ダメ人間になっちゃうぞー」


 「ダメ人間になど、とんでもございません。ハムタロ様は今日、とてもがんばっておいででした。ですので甘やかしではなく…これはわたくしからの、ごほうびでございます。それに、たとえ甘やかしであろうとも、夫を甘やかすのは、妻の務めでございましょう?」


 「務めってー、そんなわけないと思うけどー…」


 ネットの鬼女板に書いたら、袋叩きにあうようなことをラピルがさらりと言ってのける。


 その時。


 「そういうことなら、わたしも今夜はここに泊まっていきます!」


 二人のやり取りを聞きつけたイリスがとことことやってきた。


 「その…よくわからないんですが、がんばったごほうびが妻の務めなら、わたしもそうしたいです。だって…わたしも、婚約…してるでしょう?ごほうびに、晩ごはんはハムタロの好きなものを作りますから」


 「イリスまで何言ってんだー」


 素直さゆえにラピルの言葉を真に受けて、イリスは「ふんすっ」とちからこぶをつくっている。


 しかし、ラピルもイリスも自分(公太郎)ががんばったと言ってくれるが、ドンズとの話し合い…あの程度の交渉は、特別ごほうびをいただくほどじゃない。元の世界の会社であれば、褒められすらしないだろう。むしろ、上司に怒られてたまである。


 だって、イリスがいなければ交渉は破綻しかけるくらいの窮地だったし。


 「…二人の気持ちはありがたいけどー、ドンズさんには俺だけで話をするってなってるから、今日はひとりで残っとくよー。イリスたちが近くにいることで、変に疑われてもめんどくさいしー」


 「それは…そうですけど…」


 残念そうにイリスがうなずく。


 ドンズに宣言した通り、これから彼から訊くことをイリスに話すつもりはないが、李下に冠を正さずという言葉もある。不要なリスクは取らないのが一番だ。


 「それよりイリス、『淫魔の呪』について何か思いつくような…心当たりはないかー?」


 「淫魔がどんな種類の呪を使えるか、ですよね…」


 イリスがおとがいに手をあて、真面目な顔で「うーん」と考え込む。


 呪に関しては、これから受けた当人に直接訊くわけだが、つけられるなら…わずかでもアタリをつけておきたい。案外、今ここで解決策が見つかるかもしれないし。


 …だが、しばらくの後、イリスの首は横に振られた。


 「すみません…わたし、魔法は本当に苦手で。淫魔の自分なら、たとえばどんなことができるかなって想像もしてみたんですけど、さっぱり…」


 「そうかー。いや、いいよ…ありがとうー。どっちみちドンズさんが話してくれるさー」


 ────まあ、先入観無しで話ができるってことにするか…


 公太郎がプラス思考でいこうとした矢先、ふと視線を感じると、ラピルと目が合った。


 「呪については、わたくしからお伝えできることがあります」


 ラピルはなぜか声を落とし、イリスから見えないように手で口元を隠しながら、公太郎の耳元でささやき始める。


 「先ほどドンズ様のお宅にて呪の話が出た際、わたくしは見通す悪魔(ラプラス)であの方のマナの流れを計測しておりました」


 「マナをー?」


 「呪といいましても数ある魔法の一種でございますから、体内マナの乱れで、かけられた呪がどこに作用しているか、推測が可能なのです」


 「マジかー。さすがはラピルさんだなー。すごいやー」


 素直に感心した公太郎に、しかしラピルはどこか浮かない表情で、ふっと小さく息をはいた。


 「結論から申しますと、確かにドンズ様は呪われております。ですが…その…なんと申しましょうか…」


 「…うんー?」


 ラピルにしては珍しい…というほど長い付き合いでもないが、それでも意外に思えるくらいには妙に歯切れが悪い。


 「呪われた部位が…マタ、なのです」


 「マター?」


 「股間でございます」


 「股間ー……?」


 「率直に申しますと、生殖…」


 「あっー、わかったーっ!!わかったからー、もういいよ、ラピルさんー、ごめんー!!」


 察しの悪すぎる自分の脳みそに、公太郎はパンチをお見舞いしたい気分だった。ラピルは恥ずかしそうに目をそらし、顔を真っ赤にして口元を手で抑えている。



 ────そういう…話か。



 思えば、なるほど…納得感がある。



 ────淫魔、呪われた男たち、やる気の喪失、、女子供に聞かせる話ではない、股間────



 いくつかの婉曲に語られたキーワードが、すとんと腑に落ちる感じだ。






 「はぁぁぁぁー…」


 全てが繋がってすっきりと気持ちよい気分などあるはずもなく、公太郎は大きなため息をついた。


 たしかに、女子供…特にイリスなどには絶対聞かせたくない種類の話だ。



 …というか、自分(公太郎)だって聞きたくない。




 おっさんの…



 ちんこの話とか。

TIPS:こっちだって書きたくない

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