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能無し勇者は知恵とLV1魔法でどうにかする  作者: (^ω^)わし!!!
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死にたがりの竜 6

最近は本編よりここでどうやって習近平をほめるかの方が難しく感じる

 「わ、わ、ハムタロ!?」


 公太郎に力いっぱい抱きしめられ、イリスが困惑する。イリスにしてみれば、昼寝から目覚めたらこうなった、という感じだろうから当然だ。


 「よかったー。ぐすっ。ほんとに…よかったー」

 「…もう、どうしたんですか?しかたない人ですね…」


 大の大人が涙を流す姿にうろたえつつ、半分身を起こしたイリスが公太郎の頭をよしよしとなでる。


 「あっ!!、あの大きなスケルトンはどうなったんです!?」


 戦闘中であったことを思い出し、イリスが慌てて飛び起きた。


 「大型の骨野郎は…ブチギレたリュナが相手をしてるー」

 「お義姉さまが…ブチ…ギレ?」

 「骨野郎の雷撃でイリスが死んだと思ったからだー」

 「わたしが…?ええっ!?」


 イリスが口を開け、状況が呑み込めないという顔をする。


 その時。


 ギャィィィンッ!!


 場にピアノの鍵盤を適当に叩いたような不協和音が響く。戦斧が高速で回転しながら宙を舞っている。大型の貫き手がリュナの手から弾き飛ばしていた。


 「フッ…」


 勝利を確信した大型が不敵に笑う。


 「わざとよ」


 リュナは大型の見せた気のゆるみを逃さず懐へ入りこむと、手袋を外した素手で頭蓋骨をつかむ。


 「グオオオオオオッ!!!」

 

 ジュッと頭が灼ける感覚に大型が唸った。


 「アンタやっぱり『男』のようね。どうかしら?アタシの呪熱…」

 「ガアアアアアッ!!」

 「…チッ!!」

 

 しかし大型は呪熱にひるまず、腕で力任せにリュナを振り払った。


 「…干からびたアンタにはイマイチかしら。血が流れてそうには見えないもの…」


 つかまれた頭蓋骨から煙が上がり、大型に呪熱のダメージがあるのは間違いない。だが、表層が灼けているだけ。芯に響くような決定打となりそうにもない。


 「…オマエデハ、殺セナイ」

 「…あら?さっきは聞き間違いかもと思ったけど、本当にしゃべれたのね、お利口さん。なら、最初からそうしなさいな。興味ないけど」

 「ダカラセメテ、安ラカナ死ヲ、与エテヤロウ」

 「ハンッ…アタシはオマエを残酷にそうしてやる!来い!!ラブリース!!」


 リュナの()びかけに、大地に突き刺さっていた戦斧(ラブリース)がひとりでに浮き上がり、意志があるように手元へ飛び戻ってきた。

 

 「はあああああああああああっ!!」

 「オオオオオオオオオオオオッ!!」


 雄たけびとともに、正面からの撃ち合いが再開される。ふたつの竜巻が反発しながら、互いを食いつくそうとするかのような激しさ。うかつに近づけば、粉みじんにされてしまうだろう。


 その命のやり取りを、公太郎とイリスは見守るしかできないでいた。


 「…お義姉さま、すごい…なんて(はや)さ…」

 「ああー、とても近寄れそうにもないー。あの骨はリュナに任せるしかないなー」


 しかし、イリスの表情は言葉ほど(かんば)しくない。


 「でも…このままだと、まずいです…。たぶん」

 「えー…!?ど、どうしてー?」

 「今、あのふたりはほとんど互角に戦ってます。けど、見てくださいハムタロ。お義姉さまは斧を持って、スケルトンは鎧を着てますが素手ですよね?」

 「武器を持って、ようやく拮抗ってことかー?」


 『剣術三倍段』という言葉を聞いたことがある。剣と槍で戦いになれば、リーチのある槍の方がはるかに有利で、互するには三倍の技量を要するというものだ。その理屈でいくなら、大型は単純にリュナより数段上になる。


 「それだけではありません。お義姉さまは身の丈ほどもある重たい戦斧を振り回してるんです。このまま持久戦になれば、いずれ…」

 「先に体力が尽きる…よなー」

 「残念ながら。さらに…」

 「ま…まだあるのー?」

 「相手は雷撃魔法という奥の手をもってます。対してお義姉さまの呪熱はあまり効果的ではない…」

 「な、なるほど…切り札の差ねー」


 懸念材料を並べると、どうしたものかとイリスは考え込んでしまった。顔には焦りの色が浮かんでいる。リュナはあとどれくらい体力が残ってるだろうか。悠長にしてる暇はなさそうだ。


 「イリスはリュナの助太刀に入りたいと考えてる、でいいよねー?」

 「はい。…ですが見ての通り、あの中にどうやって切りこめばいいのか。下手に割って入ると、かえってお義姉さまの邪魔になりますし…」

 「リュナにいちど攻勢を止めてもらうのはどうだろうー。なに、簡単だー。イリスが直接声をかけて、生きてることを伝えればいい」

 「え…?た、たしかに、入るだけなら、わたしも入れますが…きっとスケルトンはその間に雷撃魔法を使ってきますよ?」

 「そう、それだよー!」


 公太郎はポンッとイリスの肩をたたいた。


 「雷撃魔法、使わせちゃおうー!」

 「ええっ!?どういうことですか、ハムタロ?だって今、お義姉さまが一生懸命攻めてるのは、スケルトンに魔法を使わせないためでもあるんですよ?」

 「骨野郎を観察してわかったんだが、雷撃魔法はあいつのパワーをかなり消耗するんだー。使った直後はほとんど攻撃もできないほどにー」

 「それは…わたしも実感としてあります。わたしがさっき、ある程度戦えたのは、魔法の後だったからだと」

 「だけど、本当にスキだらけになるのはー…魔法中。雷撃の時、あいつはほとんど棒立ちになるー。そこをイリスとリュナ、ふたりがかりで攻める!」

 「そ…そんな…ムリですよ…。あの雷撃をかいくぐってなんて。防御で手一杯です…」


 イリスが慌てて両手を振ってムリムリとアピールする。しかし、そもそも雷を防御ならできるというとこがまずおかしいので公太郎は流した。


 「雷は俺がなんとかするー」

 「…え?ハムタロが…ですか?」

 「1回くらいなら雷撃は俺がなんとかするー。ちょっとしたアテがあるのさー」

 

 ────『蘇生』魔法すら可能なLV1魔法なら、アレができるはず。


 公太郎はニヤリと笑った。

TIPS:魔法が万能なので書く側の知力次第になるとこほんまひで

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