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ダニとの戦い

作者: 桐原まどか



タイトル通り、ダニの描写がありますので、苦手な方、要注意です。

その昔、住んでいた借家は元々湿地だったところを埋め立てて、家を建てた、というところでした。

真夏でもどこか湿気ってる感じがする家でした。

数年は平和に暮らしていました。

あれはそう…季節は今時分…母が仕事に行っていた為、私は夕食の支度をしよう、と、食器棚からボウルを取り出しました。銀色のごく普通のボウルです。

「ひっ」思わず声が出ました。

ボウルの中といわず、外といわず、白いものが蠢いている!

なんだこれ!?

私はひとり、恐慌きょうこうに陥りました。

他の食器のたぐいを確認すると…やはり蠢いている…。

何これ?

何これ?

何これ?

完全なるパニックです。

誤解なきようにお願いしたいのですが、我が家はごく普通に掃除や洗濯など行っていました。

汚部屋とかではなかったです。

パニックに陥りつつも、夕食を作らねば…という使命感(?)で、がっちり食器用洗剤で洗ってから使用しました。

問題はその後です。

帰宅した母に事の次第を伝えても、

「そんなもの、見えない」の一点張り。終いの果てには「お前の目がおかしい」と罵られる始末。

困惑した私は悩み抜いた挙句、頼る事にしました。

保健所を!

最寄りの保健所に電話します。

応対してくださった職員さんは、とても親切で、私の話を丁寧に聞いてくれました。

で「鑑別する為に、その虫?を生きてる状態で、保健所に持って来て頂く事は可能ですか?」

私は二つ返事で「はい」と言いました。

当日。わかりやすいように黒い紙を置いておいたら、まぁ、うごうご…。

それを捨ててもいいタッパーに入れ、持って行きました。

保健所はどこかのんびりとした空気が漂っていて、「どれどれ」「何かなー」と見に来る職員さんも。

私は藁にもすがる思いだったので、「見えますよね?」から確認し、やがて、敵の正体が判明しました。

その名は…『ケナガコナダニ』!

状況を話すと、難しい顔をされました。で「脳みそがね、見えるように認識しちゃったんですね」と言われました。

「お母さん…老眼か何かで見えないのかな?」と。

実害が出ていました。

私、アレルギー性結膜炎とそれから来るドライアイになっちゃったんです…。なんで母はケロッとしてるのだ…。

で色々アドバイスを頂き。

それからがまた戦いだった…。

母を説き伏せ、バルサンを焚き。

ダニ用の殺虫剤を買って、撒き。

除湿剤を置き。

自分で言うのもなんですが、私、頑張った…!

完全に駆逐とまではいきませんが、どうにか、日常生活で、その姿を見かける事はなくなりました。

その家から引っ越す時は、荷物をすべて確認しました。それくらい、怖かったのです。

あれから幾年月。

目に見える場所にいないだけで、彼らは今日もひっそりと生きているのでしょう…。

あんな戦いは二度とごめんです。

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