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テキコロース完成

 入り口をよじ登ってくるのを諦めたロックジャイアントたちは、再び岩を運び始めた。

 今までのように適当に崖下に投げ入れるのではなく、入り口の下に階段を作るかのように石を積んでいる。

 雪は更に激しくなり、ジャイアントたちが岩を積み上げるのを助けるように岩の隙間を埋めていく。


 状況のヤバさに胃のあたりが締め付けられる。


 さっきの強襲では、ジャイアントたちは崖を登っていたため両手を使えなかったし、弱点である目が手頃な位置にあった。

 階段ができたら、さっきのようにはいかないはずだ。

 相手は攻撃や防御ができるようになり、こっちの攻撃は届きにくくなる。

 俺たちで対応できるかも判らない。


「土系や炎系の範囲魔法を持っているエルフはジャイアントたちが足場を作るのを妨害して下さい。建築系の技能を持ったドワーフは相手の足場の崩れやすようなところがあったら、攻撃方法を指示して上げてください。」

 ぱっと頭に思い浮かんだ方法を告げる。

「あと、MPを使いすぎた人は今のうちに休んでMPを回復させてください。」


 俺の指示を受けた魔術師たちが少しでもジャイアント達の邪魔をしようと全力で応戦を開始した。


 魔術師たちの攻撃はジャイアント達の建築を邪魔することに成功した。

 だた、完全に止めることはできない。

 時間とともに階段は高くなっていく。


 1時間もしないうちに、階段の高さは高くなり入り口の下5メートル辺りまで積み上がってしまった。

 3交代していた魔術師たちが前線に集まって、総攻撃を仕掛けている。

 この魔術師達の攻撃が止まったら、もう終わりだ。

 

「手の空いてるみなさんは横穴に退避する準備を!」


 最悪に備えて、ジャイアントの入ってこれない避難路への撤退を促す。

 最悪の場合にあらかじめ決めていたBプラン。

 皆で閉じこもりやすい一つの横穴の中に逃げ込んで、入り口を魔法で塞いで敵を何日もやり過ごすという緊急の作戦。

 念の為にいろいろ準備はしてもらってはあるが、ぶっちゃけ、ただの時間稼ぎだ。


 そして、逃げ込む横穴はテキコロースのある横穴ではない。

 テキコロースをつくっている防爆室へ続く道は、大きなものが出せるように広い廊下が続いている。


 俺たちが横穴に避難してしまったら、テキコロースにはアクセスできなくなるということだ。

 後は何もできず、運を天に任せて待つだけにあなる。


「メルローさんはまだか?」

 苛立ちをぶつけるように叫ぶ。


「おまたせ。」


 俺の余裕のない叫びに答えるかのように、メルローの声が返ってきた。


 そして、なにかがこすれるようなゴゴゴという轟音。

 振り返ればタイターン4が大きな大砲を引きずってきていた。

 

「できたんですか!!」

 早い!

「タイヤ以外は。ゴーレムで引きずってくればいいから、持ってきちゃった。」

「よっしゃああ!!」


 間に合った!


「待って!! 実は・・・テキコロース自体は完成したんだけど・・・。」

 メルローは大喜びする俺を慌ててなだめる。

 なんかだかちょっと暗い顔だ。

「どうしたんですか?」

 なにか不具合でも?


「魔力を装置に送り込むのに、魔術師の数が全然足りません。」横からルナが出てきてメガネをクイッとさせて説明する。

「魔術師が足りない?」

「最低でも1000人くらい欲しかったんだけど、この街って100人くらいしか魔術師いないんだってね。」


 いまさら!?


「いや、てっきりもっと沢山の魔術師がいるものかと思ってたんだ。」

 メルローが後頭部をかきながら笑う。


 勘弁してくれ・・・。


「休憩しながら何回も魔力を込めるとかはできないんですか?」

「爆発するようなエネルギーを貯めておくのって大変なんだ。どんどん揮発してっちゃう。」

「どうすればいいんですか?」

「機械を改造して魔力を10倍くらい増幅できるようにするしかないんだけど・・・。」

 メルローの口調に自信がない。

「その・・・改造にはどのくらいかかるのですか!?」

 恐る恐る訊ねる。いやな回答の予感しかしない。


「解らない。」


 想像のひとつ上のヤバい答えだった。

「なんでっ?」

「だって、僕は破壊力の貯蓄が専門で、魔力のブーストは専門じゃなんだ・・・魔術サイドにも手伝ってもらって、装置に魔力のブーストを組み上げるところから始めないと。」


 話を聞いてるだけで間に合う気がしない。


 最悪だ。

 完全に手詰まった。

 メルローたちに任せっぱなしにしないで、俺もテキコロースの内容をきちんと確認しておけばよかった。


 テキコロースを諦めて、横穴に籠城して可能な限りで助けを待つ方向に頭を切り替えようとした瞬間だった。


「困ってるんなら、手を貸してやらんこともないぞ?」と、後ろから自信満々の声がした。


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