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プロジェクト立ち上げ

 メルローの言い草になんとなく俺たちが何をすべきかが分かった気がする。


 早速動きたいのだが、リコとヤミンがエデルガルナさんを着替えさせるため部屋に戻ってしまった。

 俺はついてくるなと言われてメルローの所に残っている。


 女子たちを待っててもしょうがないので、一人で先に動き始めることにする。

 

 まずは、鎧を開発しているドワーフが居るという上階層の鍛冶工房の一つにやって来た。


 メルローの技術だけで十分なものが完成しないのなら、他の人の技術をあてにするしかない。


 工房で板金を打っているドワーフに声をかけた。

「硬い素材が欲しいんですけど、協力してくれませんか。」

「そこら編の失敗作の中から適当に硬そうなのを持ってけい。」

「あ、いえ、大砲を作るのに使いたいので、鋳造から協力していただきたいんです。」

「ワシャ、鎧以外のことには興味ない。」


 やっぱ、けんもほろろだなぁ。


「砲身を硬くするのに、今までにないような硬い素材が必要なんです。あなたのご専門の鎧の硬さを上げる技術力を貸していただけないでしょうか。」

「ほう? 技術力とな?」


 ドワーフの手が止まった。


 突破口あるぞ?

 ここは、徹底的にヨイショだ!


「あなたの技術があれば、メルローさんの作った砲撃すらも鎧のように防ぎきれると思うんですよね。」

「ふん、メルローの砲撃なんぞ、ワシの技術なら余裕よ。」

「でしょうとも! ぜひとも、あなたのすごい技術を我々に披露していだだけないでしょうか。」

「まあ、そこまで言うならやってやらんこともない。しかたない、ちょっと見てやるか。」


 ちょろい!




 これでは終わらない。

 次は「硬い砲身を作るためには鉱石が要るな。」と、いう鎧研究のドワーフからの要望を受けて、今度は鉱物のスペシャリストの元へとやって来た。


 よりによって、鉱物のスペシャリストは数日前に怒らせてしまった技術フェローのディグドだ。

 マイナスからの説得スタートだ。丁寧にいかないといけない。

 緊張するなあ。


「すみません、ディグドさん。モンスター退治の武器を作り始めたのですが、ちょっとお話をうかがえないでしょうか?」

「別に好き勝手やっててくれて構わん。いちいちワシに話しかけるな。邪魔だ。」


 ディグドは俺のほうを見ることもない。

 こりゃまた不機嫌だ。


「いえ、実は鉱石が必要でして、鉱石の権威であるディグドさんにしかご相談できないものですから・・・」俺は恐る恐る

「なるほど、鉱石の事なら話に乗ろう。」


 説得すらいらんかった!?




 お次はフーディニアス経由で砲身に描き込む魔法の模様みたいのを設計してくれそうなエルフの元へ。


「砲身に魔力拡散を防ぐための彫刻の模様を改良したいんです。錆止めとかそういうのいらないので、ひたすら頑強にしたいのです。」

「仕様はあるのか? 仕様以上のものは期待されても出ないぞ。」

「メルローさんと話してください。たぶん仕様が出ます。私だとさっぱりわかりません。」

「承知した。」


 エルフは楽でいい。




 続いて先日食堂でメルローの事を教えてくれたドワーフに会いに来た。

「大砲作りに協力してはくれませんかね。」

「殺しの道具なんか作らん。」

「いえ、あなたがダンダリック彫刻の研究でつちかった素晴らしい技術が街を守るためのプロジェクトに不可欠なんです。」

「ほう?」


 よし。


 コツが分かってきた。

 なんだかんだで、自分たちの開発してるものが絡むとドワーフたちは簡単に力になってくれる。

 自分がその道のスペシャリストという自負があるのか、専門分野について煽ててやるのがポイントだ。

 こんな閉鎖空間でずっと自分のやりたいことばっかやってたらそりゃ不安にもなるし、承認欲求も貯まるんだろう。

 エルフはエルフでやることさえはっきりしてれば協力してくれるし。


 集まってくれたドワーフやエルフたちはメルローの知らない素材や技術を持ち寄って大砲づくりを進め始めた。


 ドワーフたちは自分の専門に関連することであればどんどんやり方を考えてくれる。

 それは大砲に関わることなのわけだから、メルローは喜んでそれを取り入れて改善案を出す。

 改善案に自分たちのやりたいことが絡めばドワーフたちはさらなるアイデアを出す。

 エルフも仕様を求めるだけなのかと思ったが、ドワーフのように独自に研究していることがあるらしく、その琴線にふれるとやけに饒舌になって協力してくれることが分かった。


 いい感じだ。

 プロジェクトとして回り始めた感がある。

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