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転生時に異世界の神と話したりするアレ

 神は言った。


「西山圭吾君であってる? 自分の名前分かる?」


 やけにフランクな神だ。


「あ、はい。分かります。西山圭吾で合ってます。」


 自分の周りを見渡す。

 何か雲の上っぽい。

 白いテーブルを挟んで、めっちゃ日本人っぽい白い服のおっさんと向き合っている。

 でも、翼が生えてる。


「僕、アサルね。よろしく。さっきも言った通り、君の転生する世界の神。」


「あ、はい。」


 ほんとぅ?

 まあ、でも、さっきトラックにはねられて死んだし、神じゃなくても神っぽい何かなんだろう。


「で、トラックに轢かれちゃった圭吾君は、めでたく転生できることになりましたー! バチバチバチ~。」そう言って神は一人拍手をした。

「えーと。あ、はい。」

 こういう時、何を答えたらいいねん?

「いちおほら、勝手に転生させて訴えられたりしたら嫌じゃん? だからとりあえず転生させる前にいろんなこと確認しとこうとか思って。」


 誰が神を訴えるというのか?


「どうする転生する?」

 神が訊ねてきた。

「はあ、させてもらえるんだったらしたいですけど・・・。」

 半信半疑で返答する。


 超常現象的なことに巻き込まれてるのは分かる。

 場所も変だし。

 ここは天国とか地獄とか霊界とかそんな感じの場所なのだろうか。


「何か転生してやらなくちゃいけない使命とかあるんですか?」

「ん? 特にないよ? 好きなように過ごしてくれてOK。」


 何という好条件。

 別に俺、転生してもらえるような善人でも才能ある人間でもないと思うんだけどなぁ。


「君、無課金で転生できるなんてラッキーだよ? お金積んだからって転生できるとは限らないからね。」

「お金積めば転生できるかもしれないんですか?」

「お布施額によります! 地獄の沙汰も金しだいですともよ。」

「・・・世知辛いっすね。」

「世知辛いよねー。」


 神・・・。

 俺、騙されてんじゃないよね?


「その、転生はしたいですけど、どんな世界ですか? 転生先によっては素直に成仏します。」

 超ダークファンタジー世界とかデスゲームに巻き込まれるとかは勘弁だ。

「あはは、冷静だねぇ。だいじょうぶ。RPGゲームのリアル版みたいな世界だよ。RPGゲームとかやった事ある?」

「まあ、いちお。」

 アアルファンタジーの名前なんて出しても神には解らなかろう。


 「アアルファンタジーとか知ってる?」


 神がとんでもないことを口走った。

「ええっ!? 神なのにアアルファンタジー知ってるんですか?」

「そりゃ、まあ。有名じゃん?」

「嘘でしょ? もしかして、やってたんですか? 神なのに?」

「やってたも何も、アレ、君たちがこっちの世界に生まれ変わっても円滑に立ち回れるようにするための練習場みたいなもんだからねぇ。」

「えっ? 練習場!?」

「そうそう、練習場。」

「アルファンはあなたが作ったってことですか??」

「僕がって言うか神々みんなでって感じかな。面白かったでしょ?」

「あ、はい。え? いや面白かったですけど・・・。」

 突然の超展開に頭がついて行かったので、いの一番で頭に浮かんだ疑問を考えもなく投げ返す。

「もっとほかに方法はなかったんですか?」

「日本ではあの形が受け皿として最良だと判断したんだよ。」異世界の神は軽く日本をディスると話を本筋に戻した。「ま、アルファンを知っているなら話は早い! 君の転生するのはまさにあんな感じの世界。まんまだと思っていいよ。」

 

「アルファンの世界に生まれ変われるってことですか?」


 「そうそう。」

 軽いな、神。

「ええと、記憶とかはどうなるんでしょう? 記憶を持ったまま赤ん坊に生まれるタイプですか? それとも途中で思い出すパターン? もしかして記憶は消去ですか?」

「おーおー! 君、話が早くて助かるよ。異世界転生に向いてるとか言われた事ない?」

 あるわけがない。

「そこらへん知らない人にそういう部分を説明するのってめんどくさいんだよねー。」


 他にも転生させてんのか。


「今回の転生は途中で思い出すパターンだね。16歳くらいで思い出すようになってる。アルファンも16歳以上しか選べないでしょ? いきなり現世の知識を持って赤ん坊ってすると世界的に色々壊れちゃうし、かといって君らの元の世界での記憶を消しちゃうのはこっちとしてもやりたくないんだよね。」

 記憶は消されんようだ。良かった。

「あ、今の君の年齢からのスタートもできるよ?」

「16歳でお願いします。」


 そりゃそうでしょ。


「じゃ、生まれてからしばらく記憶が封印された状態で生活して、16歳のときに今の君が持っている記憶が復活するんでよろしく。」

 神はそう言ってから、ちょっと真面目な口調で付け加えた。

「記憶がないだけで16歳までの君もれっきとした君だからね? 16歳までに大変なことになってたり死んじゃったりしててもそれは全部君の責任だから。」


 それは、いくら何でも無責任・・・なのか?

 話が壮大すぎて解らん。


「ええと、今その忠告を言われて生まれ変わった俺は憶えているんでしょうか?」

「16歳までは忘れてる。」

 じゃあ、俺、なんもできんやんけ。

「ところで、アルファンやった時、一番最初に何したか憶えてる?」

「スキルガチャですか?」

「そうそう、所持スキルを決めるじゃん。だからざっくり言うと、今、ここでは君の初期スキルについてアンケートを取ります。」

「アンケート?」


「君の来世にどんなスキル持って生まれたい? 平たく言えばどんな初期スキルが欲しいかって話かな?」


「え!? 選ばしてもらえるんですか?」

 やべぇ! 最高じゃん!!

「さすがに選ばせるまではできないけど、可能な限り意見は反映するよ? 強くなりたいとか、魔法の才能が欲しいとか。あ、でも、あんまり強力すぎるのはダメね。君に使えるリソースは決まってるから。あれもこれもは無理だし、超絶なスキルをいくつもてのも無理。だからアンケートみたいなもんだと思って。」

「はぁ。」


 自分の好きなように来世の自分をキャラメイクできるわけではないと分かって、ちょっと落胆。

 ま、自分の好きなようになんてワガママ過ぎるか。

 それに、答えはどのみち決まってる。

 俺は答えた。


「どんなスキルでも良いので、世界に一つだけの、自分だけの才能(スキル)が欲しいです。」


「ええっ? アルファン知ってるんだよね? 一応モンスターとかも出るからね。そんな投げやりな要求で良いの?」

「構わないです。アルファンの十傑を飾るプレーヤーはみんな訳の分からないレアスキル持ちでしたから。」

「確かにレアスキルがハマるとめっちゃ強いけど、それは結果論だよ? ゲームでもレアスキルを活用できた人が英雄になる一方で、全然ハマらなかったレアスキル持ちも山ほどいるんだからね? 汎用性のあるスキルを最初に獲っいたほうが人生楽だよ?」

「アルファンではそのスタイルで一度も十傑に入れなかったものですから。」

「さては君、ヘビーユーザーだったね?」

「はい。」

「ご愛好ありがとうございます。」

 神・・・

「ほんとに良いの? 16歳まで生きてない可能性すらあるよ?」

 まあ、一度死んだ命だ。

「覚悟はできてます。せっかくアルファンに生まれ変われるんならここで妥協はしたくありません。」

「おおっ! 嬉しいこと言うじゃない。神様、君の事気に入っちゃった。ホントは無課金にはSレアスキル分のリソースつぎ込んで転生させちゃいけないんだけど、オマケして奮発しちゃう。」

 さっきの異世界転生が金しだいのくだりって冗談じゃなかったのかよ・・・。

「その代わり、【剣聖】みたいな汎用性高いのじゃないからね? アレ、異世界的にリソース高いから。超マニアックなユニコーン系のスキルになるけどいいね?」

「構わないです。」

 

 むしろ願ったりだ。

 【剣聖】は確かに強いが、必須ではない。

 最後の十傑で【剣聖】持ってたのは三人だけじゃなかったかな?

 【剣聖】が【リミットオブ平熱】なんてよく解らないスキルに凌駕される世界。

 それがアルファン!


「了解~。Sレアスキル上げるだけでリソース一杯だから、他は期待しないでね~。」

 そう言って、神が手を挙げると神の前に光る四角い板みたいなものが現れた。


 ヤベぇ、魔法だ・・・。

 ホントにこいつ神だったのか。


「あ、これ良さそう。」

 神はタブレットをスクロールするみたいに空中に浮かんだ光る四角形を弄っていたが、何かを見つけて止めた。


「君は異世界で小数点以下8桁目まで見えます!!」


 え? どういうこと?

 意味わからないんですけど?

 小数点以下まで見える?

 何か、レアだけど余りもんのスキルを押し付けられた予感がするんですが。


「じゃあ、以上~。向こう行っても頑張ってね~」

 神が手を振る。

 目の前がふにゃふにゃとゆがみ始めた。

 どっかに転送されると見た。


「ちょ、待って。リセマラは!? リセマラ!」

「あ、ごめん。言い忘れてた。リセマラは無しね~! リスポーンもしないよ~。ゲームと違って死んだら死ぬからね~。」

 アサル神の姿が薄れ声が小さくなっていく。というか、あいつ自分でエコーしながら声小さくしてやがる。

 新しい世界の神はお茶目だ。


 そんなことを思った瞬間、俺の意識は途切れた。


 意識が途切れたのは一瞬だった。

 俺はすぐに思い出し、そして、叫んだ。



「四捨五入知らなかっただけじゃねえか!!」


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