湧き場発見
俺たちは大地の裂け目を調べてまわった。
探索を初めてすぐ、20メートル近い幅の巨大な崖の下から感知器の数値を上げているなにかが発生している事を突き止めた。
俺たちは数値に導かれるままにゆっくりと崖の下へと降りていく。
数値はどんどん上がり、すでに50を超えた。
「何かが来てる! 気をつけろ!」
次の測定のために装置の作動に気を取られていた俺に向けてヴェリアルドが叫んだ。
皆が見ている道の左側、谷底に俺も目線をやる。
崖の下からこっちに向かって何か這い登ってきてる。
うおおおお!
大ムカデだ。
5メートルくらい!
崖の底まではまだ30メートルある。
逃げ場はない。
「みんな、やるぞ。」
ヴェリアルドが剣を抜いた。
「はいな!【スナイプ】!」
ヤミンが矢を放つ。
が、
カンと音を立てて大ムカデの硬い外皮に弾かれる。
「ありゃジャイアントセンチピードだな。でけえ。」カシムが言った。
ジャイアントセンチピードってまんま大ムカデって意味だけどな。
「ジャイアントセンチピードってあんなにデカいんですか。」俺は尋ねる。
アルファンのモニター越しから感じた大きさよりだいぶでかい。
「ジャイアントセンチピードにしてもバカでけえ。なんであんなのが居るんだよ。」
カシムは吐き捨てるように言った。
ついに大ムカデは俺たちの前まで登って来た。
俺たちの行く手を阻むかのように立ちふさがり、威嚇するように上半身をかかげた。
ヴェリアルドとダダマルの攻撃。
硬い!
心地よい金属音とともに二人の攻撃が弾かれる。
俺も鞭で攻撃するが、もちろんダメ。
「くそっ! 打撃じゃ駄目か? カシム!」
ヴェリアルドが叫び、カシムが杖を構える。
「【ファイアボルト】!」
小さな火球がカシムの杖から放たれムカデに命中する。
今まさにヴェリアルドに頭上から頭突きを噛まそうとしていた大ムカデは嫌がるように上半身をのけぞらせた。
効いてるか?
ダメージが入ってる感じがない。
「ちっ!ならば【ウィークポイント】!」
カシムの魔法の発動とともに、ムカデのあちこちに水色の丸い印が現れた。
「弱点がわかるようになったはずだ! 狙え!」カシムが叫ぶ。
あの水色の印が弱点ってことか?
俺は鞭をしならせて、一番大きい印の付いているゴツゴツした頭の上の部分を狙う。
鞭なら届く。
俺は鞭をしならせると、鞭の先が急に方向を変え、水色の印を貫く。
入った!
【クリティカル】感!
かすかな手応えがあった!
ムカデが悶える。
効いている!
ムカデが体を振り回して攻撃してきた。
当たると痛そうだし、範囲攻撃だが、大雑把な攻撃なのでらくらく回避。
他のみんなも無事だ。
だが、頭部がむこうを向いてしまったので、一番大きな弱点が狙えなくなってしまった。
しかたなく、尻尾の先にある棘のつけ根にある小さな水色の印に攻撃。
よっしゃ!
連続【クリティカル】
【クリティカル】はまだ1レベルだが、【命中】が9レベルある。
おまけにクリティカルの出やすくなる【ウィークポイント】がかかっている。
ムカデにいくつかある水色の丸を狙っていけばクリティカルを出すのは簡単な気がする。
ともかく、
俺は【鞭】を振り回して、ムカデの体にいくつかある水色の丸を叩いていく。
ダメージは高くないだろうが、確実に大ムカデは嫌がっている。
ムカデが俺に向かって反撃。
ムカデの巨体での攻撃は範囲は広いが、大振りなのでかわすことはたやすい。
でも、これ以上の面攻撃だったら危ないところだった。
みんなは得物が短い。
接近しすぎるとムカデの攻撃をもろに喰らいかねない。
そのせいか、ヴェリアルドさんやダダウさんですら完全に躊躇してしまって攻撃に踏み込めないでいる。
ここはリーチの長い鞭の出番だ。
俺は一歩引いたところからムカデの体にいくつかある弱点につぎつぎと鞭を命中させていく。
的確に痛いところを叩かれて、ついに大ムカデは逃げ出した。
ついでに【命中】と【クリティカル】が上がった。
やったぜ!
「ケーゴ! すごいよ! すごい!!」
「お前、こんなに強かったのか!」
リコとヴェリアルドが俺のことを褒めそやす。
言い過ぎだって。照れる。
「【ウィークポイント】要らなかったな。」カシムが俺のことを驚いたように見ながら言った。
「何言ってるんですか。【ウィークポイント】がなかったらダメージなんて通せてませんよ。」
「そっちこそなにを言っている? 弱点とは関係のないところばっか攻撃してたではないか。」
「え? 俺、水色の丸しか狙ってませんよ? 体中にちょこちょこあったじゃないですか。」
「いや、弱点は額に一つしかなかったぞ? ヤミン以外狙えなかったからみんな困っていたんじゃないか。」
え?
もしかして、【ウィークポイント】の小数点以下的なやつも見えてたりすんの?
「感知器の件といい、お前の目には何が見えてるんだ?」
「俺、本当に何が見えてるんですかね・・・?」
【ゼロコンマ】、バグってるなぁ。
その後も、ジャイアントスパイダーが現れたがこっちは難なく退治。
そしてようやく俺たちは谷底に到着した。
「なんかやな予感がする。ここ気持ち悪い。」
ヤミンがなにか臭い匂いでもするかのように口元を手で覆った。
「数値が99で止まっちゃってる。ここで間違いないみたい。」
リコが感知器の表示を見ながら言った。
俺も後ろに回って表示を見ると、数値が『99.99999999』ってなって動かない。
感知器に百の位の表示スペースは用意されていない。
ま、小数点以下の表示スペースもないんだけどさ。
小数点も含めて、完全にカンストしてる。
「流石にこれはまずいんじゃないか? 」ヴェリアルドが数値を見て不安そうな声を上げた。




