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ヤミン

 夜の街。

 街灯が照らす石畳の道を俺はヤミンと一緒に宿へと帰っている。


 リコはギルドに残って、力場感知器やら充電器やらをしまったり、リアカーを返却しに行ったりしている。

 有り余る体力が羨ましい。

 俺も残って手伝おうとしたが、へばりきってしまったヤミンを先に送ってって上げて欲しいとリコに言われ、お言葉に甘え、ヤミンに付き添って帰宅中。


「姉さん、さっきはありがとうございました。」

「ンフッフ。まあ、いつでも頼ってくれたまえな。」

 姉さんと呼ばれて機嫌を良くしたヤミンが胸を張った。ない。

「まあ、ケーゴじゃあそこまで言い返せなかっただろうし、仕方ないよ。」

「そっすかね?」


 俺、そんな頼りないかな?

 やっぱ人の良い日本人的なところでちゃってる?


「だって、ケーゴ、ホントは神託なんて受けてないんでしょ?」


「なっ!?」

 なっ!!

 なっ?


「なんでっ?」

「あの時、ユージとかいうのに聞いたんじゃろ?」


 あの時の話、聞いてたのっ?

 なんでそれで!?

 それこそ、俺、怪しい人じゃん!


「ヤミンさん? 知ってたの? それなのに俺の事こんなに信じてくれてるの?」

「だって、その後、一生懸命なの見てたから。」


 ?


「君、リコを助けようと必死だったじゃん。だから、君が嘘をついてても信用しようと思ったんだよ。」


 !?

 !!!


 あれ見てたの!?!?!


 のおおおおおおおお!

 うそでしょ!?

 はずかしいいいいいいい!!


「りりりりりコにそのコト言ったウrんづ亜k?」


「にはは、お姉ちゃんはそこまで性悪ではないよ。」


 良かった!

 リコにまで知られてたら恥ずかしくて生きてられない。


 でも、完全に弱みを握られてしまった・・・

 今、寄ってこられてニヤニヤとかされたら耐えられなくて死ぬ!


「君、かっこよかったよ?」


 ヤミンは俺をからかうように見上げに来ることはなかった。

 そして、俺と目を合わせることもなく、足元に転がっていた小石を軽く蹴飛ばしながら呟いた。


 ふう、あぶなかったぜ!

 恥ずか死回避。


「正直、リコがうらやましいなぁ・・・って思った。」

 ヤミンが俺の前に立ちふさがるように止まって、俺の事を見上げた。


 いかあぁぁぁぁん。

 だめだ!

 あの情けないの見られたぁ!

 ああああ。

 あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛


「・・・・。」

 ヤミンはずっと俺のことを見つめる。


 ああああ。

 あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛


 パシーン!


 ヤミンが俺の横尻をひっぱたいた。


「気にすんな! お姉ちゃんとケーゴの二人だけの秘密にしておいてやるからさ。」

「ありがとうございまふ・・・。」

「ったく、しょうがないあ。」

 そう言った後もヤミンはしばらく俺のことを見つめると、そっとうつむいて、足もとの小石を蹴って運びながら歩き出した。


 その後、俺たちは一言も交わすことなく茅葺き亭へと戻った。


 ああああっ!!

 気まずいぃぃぃぃいい!!


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