決勝戦
決勝戦。
試合場で向かい合ったマッゾに俺から声をかけた。
「エキシビジョンは必要なかったな。」
「まさか、ここまで勝ち上がってくるとは思わなかったぜ。エキジビションを開く手間が省けた。」
マッゾはニヤリと笑った。
「自信満々じゃん?」
「当たり前だ!」
この試合の直前、マッゾ試合を見せてもらったが、力頼みだけな剣技でリックよりは弱い感じだったんだけどな。
なんでこんなに自信満々なんだ?
「ケーゴ! 頭の足りないお前の考えたこすい作戦なんて全部お見通しなんだよ。もう、ズルなんてさせねえからな。」
なんのことだろう?
対策でも練られたのだろうのか?
「双方、構えてください。」
アレ!?
審判がガスじゃねえ。
コイツ確か村長んちの雇われ兵士だった気がする。
マッゾめ、なに企んでやがる?
「はじめっ!」
何か仕掛けられる前に終わらせてやる!
審判の掛け声とともに攻撃をしかける。
スパーンと一本決まる。
アレ?
弱ええぞ!?
瞬殺やん・・・。
さてはコイツふかしやがったな?
今の感じだと間違いなく【剣】7レベルどころか5レベルすらないだろ。
【回避】も【受け】もないと見た。
ぶっちゃけ、ロカと変わらん。
「・・・・。」
・・・あれ?
審判の声が上がらない。
入り浅かったかな?
「てめえの非力な攻撃で一本取れると思うなよ?」
マッゾはそう言うと木刀をこん棒のようにぶん回してきた。
もっとコンパクトに攻撃せんと俺にはあたらないぞ?
ヒョイとかわして、バランスを崩したマッゾにもう一本入れる。
今度は決まった!
「・・・・。」
審判の反応がない。
「ぎゃはははは、貧弱すぎ。そんな攻撃じゃどんなに当てたっても有効打にならねえんだよ!なあ、審判!」
審判が黙って頷いた。
そうか、そういうことか。
そっちがその気なら、こっちも・・・・。
こっちも?
な~んもできる事なかったり。
マッゾを倒そうにもダメージが増強されるようなスキルを持って無い。
ダメージ0ってことないだろうが、木刀じゃ『痛い』くらいのダメージしか入んないだろうなあ。
「喰らえ! 」
マッゾががむしゃらに剣を振り回す。
力任せな大振りなので【回避】は余裕だが、当たると痛そうだ。【打撃】はかなり上げてきてると見た。確か天性の【筋力】持ちだったし。
レベルを上げてきたのが【回避】で良かった。【受け】で防御する作戦だったら厳しかったかもしれん。
「死にさらせっ!」
ヒョイヒョイとかわす。
マッゾはめっちゃ俺の事叩きのめす気満々だ。
コレ、多分、思いっきり当たったらただじゃすまん。
ほんと【回避】上げといてよかった・・・。
「はっはっは、逃げてばっかじゃないか。弱いなあ! ケーゴ君は!!」
マッゾはせせら笑いながら攻撃を立て続けに仕掛けてくる。
ヒョイ!
大振りすぎて振りかぶった時点で避けれるねん。
完全にロマン砲タイプの戦士の鍛え方してるな。
当たれば間違いなくデカい。
俺、【回避】高いからクリティカルしなきゃ当たらんよ?
ていうか、アルファンはクリティカル率もスキルだからな?
「おらおら! どうした!どうした!!」
マッゾの立て続けの攻撃をひらりひらりとかわす。
向こうの攻撃の精度が低すぎて避けられない気がしない。
とはいえ、こっちも相手にダメージは入れられない。
マッゾのクリティカルが決まっちゃった場合にしか状況が展開しなそう。
当然その場合俺が負けるってことだ。
ヤバいぞ?
何とかこの状況を打開できないもんだろうか。
マッゾの攻撃をかわしながら、ステータスを召喚してスキルを調べる。
何かちょっとでも高めの攻撃系スキルないかなぁ。
って、【カウンター】が良さそうだな。0.82190983レベルある。
相手の攻撃力の何%かが乗る仕様だったはずだから、【筋力】レベルが低い俺でもダメージを与えることができるかもしれない。
これを戦闘中に上げれば・・・
・・・?
昨日まで【カウンター】ってこんなに高かったっけ?
「危ねっ!」
ステータスに夢中になってた俺をマッゾの攻撃がすんでのところで捕らえそうになる。
とりあえず、かわし際に一発。
スパーンと入れる。
「・・・・・。」
相変わらず審判は一本取ってくれない・・・・ん?
前 【カウンター】レベル 0.82190983
今 【カウンター】レベル 0.82614481
さっきよりも0.004も上がってりゅうううう!!
待て待て・・・。
【回避】も【命中】も上がりが早いぃいいいい!!
なにこれ。
マッゾ、レベル上げに最高じゃん!!
このペースだと、あと40回くらいひっぱたいたら【カウンター】1レベルなっちゃうよ?
【回避】とか【命中】とかもあげちゃおう。
他に上がり方が良いスキル無いかな~。
お、【バランス】とか上がってる気がする。これも積極的に上げて行こう。
ヒャッハー!
レベル上げじゃーっ!




