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戦争

 エヴァーレインとアアルが最後にぶつかりあったのは30年前。

 先代の国王の時代の話だ

 一時、両国の関係は悪化した。

 それから30年、現国王の尽力によって、ようやく関係性は改善し国交も円滑に行われるようになった。


 だが、先週になって突然エヴァーレインは軍を集め、アアル王国に進軍を始めた。


 アアル王国にとってはまさに寝耳に水の出来事であった。

 アアルの騎士大隊が招集され、すぐにエヴァーレインとの国境に向けて派兵された。

 第一、第二、第三の騎士隊が同じ場所に勢ぞろいするのはレイド戦以外では先の戦争以来の出来事だ。


 そして、今日。

 カングリア平原にてアアル軍とエヴァーレイン軍は向かい合った。


 アアル軍は3つの騎士隊を両翼、中央と配置した伝統的な陣形。

 エヴァーレイン軍も前方に近接兵を前方後方に遠距離部隊を配置した彼らの得意の陣形だ。


 そして、アアル軍の陣の数百メートル東側、戦場から少し離れた位置に遊撃兵として配置されている騎馬隊の面々があった。

 彼女たちはたったの21名。

 第二特殊大隊と呼ばれる小さな騎士隊だった。

 戦術的に意味をなさない人数の彼女たちは戦場から少し離れたところで待機をしてた。


『皆の者、聞こえているな。』

「「「はいっ」」」

 

 隊長と副隊長は別命で不在だ。

 今日、彼女たちを率いているのは彼女たちが仕えているルスリー王女であった。

 今、彼女たちに声をかけたのもルスリーだ。


 しかし、この戦場にルスリーの姿はない。

 まだ年端も行かない王女なのだから当然だ。

 本来なら20人程度の第二特殊大隊が戦争に参加する必要すら無いのだ。


『お前たちには遊撃隊として、随時動いてもらう。』


 現在、ルスリーは王城の自室にいながら、第二特殊大隊の面々と話している。

 これは彼女がこの世界に転生した時に貰ったスキル。

 【女王の還鎖】だ。


 これを使うことでルスリーは第二特殊大隊の全員と感覚を共有することができる。

 同時に、全員のHPがプールされ、誰かが受けたダメージはそこから引かれる。

 そして、プールされたHPがなくなった時、ルスリーも含めた全員が死ぬ。

 【女王の還鎖】は一度発動すると効果時間である1週間が過ぎるまでその効果を解くことはルスリー本人にもできない。

 もともとは神々が呪いとして準備していた【死に至る還鎖】というスキルをルスリーが課金して得たものだ。

 本来はこのスキルを呪いとして相手にかけ、共倒れを導くためのスキルだった。


『状況を鑑みるに、おそらくエヴァーレインの連中も黒い羊どもに洗脳されているのじゃろう。全員がそうとも限らんがコルドーバ島でお主たちが戦った奴らのようにバーサーカーと化している者も居るだろう。おそらく、大隊の連中は苦労するはずじゃ。』

 騎士たちの耳にルスリーの声が入ってくる。

『ぴーが戻り次第、わしが上空から戦場を見渡してお前たちに指示を出す。敵の側面からちょっかいを出して敵を混乱させるのがお前たちの役割だ。こういう時のためにケーゴたちにお前たちを鍛えてもらったのじゃからな。その力存分に発揮して見せよ。』


「「「はいっ!」」」

 騎士たちは大声で返事を返した。


 ルスリーはここにはいないが彼女たちと命を共にしている。

 ルスリーはその命を彼女たちに託したのだ。

 それは隊長のルナや副隊長のエリーも同じだ。


 彼女たちは負けるわけにはいかない。

 緊張と重責が彼女たちの心を締め付けた。


『恐れるな。わしもエデルもエリーも皆、お前たちと共にある。必ず勝ってみなで再び笑い合おうぞ。良いな。』


「「「はいっ!」」」


 第二特殊大隊の面々が大声で返事をした直後。

 大きなラッパの音が響き渡った。


 両軍がゆっくりと進み始めた。


 戦争が始まったのだ。


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