マッゾ襲来
「よぉ、ケーゴ! 久しぶりだな。」
リコの言葉を遮るように居丈高に声をかけてきたのはマッゾだった。
マッゾは一人だけではない。
後ろに大勢のお付きがいる。
全員、黒い衣装を着ていて武装をしている。
「ちっ、リコも居るのか。」マッゾは吐き捨てるように言った。
「マッゾ、久しぶりだな。そんなに大勢引き連れて何の用だ?」
マッゾが引き連れている黒装束は30人。
よく見れば黒装束とは別にロカも居る。
正直、この戦力差は良くない。
ただの乱戦なら問題ないが、完全に取り囲まれてしまうとまずい。周りからいっぺんにこられると避けようがないのだ。
ましてや今、俺は武器が鞭じゃない。
短剣では包囲を突貫する攻撃力がないし、間合いを保つにはリーチが短すぎる。
そもそも、【剣】も【短剣】も俺は1レベル以下だ。
「ケーゴ、ついて来い。」マッゾは俺が断る事などありえないとでもいうように命令してきた。
「何で一緒にいかなきゃいけない。」
「用があんだよ。いいから来い。」
「何の用があるのかって聞いている。もしかして大使徒とかいう人のさしがねか?」
俺の言葉に黒装束の奴等が武器を抜いた。
「ケーゴのくせに口答えしてんじゃねえよ。俺が用があるんだから、お前は黙って従え。」
マッゾは俺の態度には苛立っているが、大使途を【人】って言ったことに怒る様子はない。信者ってわけじゃなさそうだ。
「悪いけど、人に物を頼む態度じゃないね。」
「黙れ。調子にのってんじゃねえぞ。いいから来い。」
「冒険者にもなれなかったクソガキがマッゾさんに楯突いてんじゃねえよ。」ロカがマッゾのとなりに出てきて挑発するように言ってきた。
「こっちがしたてに出てやってるうちに言うこと聞いとけや。」
したて・・・?
したてとは?
「お断りだね。悪いけど帰ってくれ。」
俺はマッゾの命令を拒否する。
「じゃあ、リコ。お前がこっちに来い。」マッゾは突然ターゲットをリコに変えた。
「イヤよ。なんであんたに指図されないといけないの?」
「これから、ケーゴを力づくで捕らえるからよ。そいつと一緒に居ると危ないぜ。ぶっちゃけ、俺はケーゴなんてどうでも良いんだ。だけどコイツラの頭領が用があるんだとさ。」マッゾが言った。
「あら、そう。」リコはつれなく一蹴。
「そいつ冒険者にもなれなかった奴だぜ。一緒にいるだけ馬鹿らしいだろ、そんな奴捨てて俺のとこに来いよ。」
「お断りよ。」
「危ないから、来いって言ってんだよ。そんな奴一緒にいる価値もねえだろ。」
「話聞いてるかしら、イヤって言ってるんですけど?」
「ケーゴ。お前はほんとにリコに迷惑をかけてばっかだな。リコだけじゃなくて村のみんなにも迷惑しかかけてねぇけどよ。ケーゴ、リコのために説得してやれ。この状況でお前に勝ち目はねぇ。このままじゃお前のせいでリコが巻き込まれてちまうぞ。」
「リコは嫌だといっている。聞いてなかったのか?」もちろんマッゾの言葉なんて聞くつもりはない。
「お前、状況わかっての?」
「お前こそ俺を簡単に捕まえられると思ってるの?」
「あ!? 舐めやがって糞虫が! 試してやるよ!」マッゾが叫んだ。
合わせて後ろの黒装束が動き出した。
俺とリコは携帯していた武器を構えて、二人でジリジリと下がる。
「ちょっと、マッゾさん、俺にやらしてくださいよ。俺もこいつには借りがあるんで。」
ロカがマッゾの横から楽しそうに願い出てきた。
「いいぜ、好きにしな。ただし殺すな。」
「分かってますよ。マッゾさんの楽しみは取っときますって。」
ロカはそう言って全く何の警戒する様子もなく前に進み出てきて剣を抜いた。
ロカが進み出て来たので、黒装束たちが迫ってくる足を止めた。
「さあ、前回の恨みしっかりはらさせてもらうよ。」




