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予想外の再会

 うっへーい。

 さすがに疲れた。


 ずっと騎士たちの面倒を見ていたし、ベッドでもしばらく寝ていない。

 しかも、最後にちょっと魔石窟を見つけて帰ってくるつもりが、なぞの教団との戦闘から、沢山の奴隷の救出なんてのもあった。

 そして、帰りの船でまた船酔いと来たもんだ。


 ネイブスから馬車に揺られて王都に到着した俺たちは騎士団のみんなと笑顔で分かれて、そのまま馬車で宿屋に送り届けてもらえることとなった。

 まだ昼過ぎだけれど今日はもうゆっくり休みたい。


 冒険者カードの更新とかは後でいいや。

 近々ルナとエリーが本気で試合をするはずだから、それも見に行かなきゃなので迂闊なクエストは受けられないし。

 今回のコルドーバ探索がギルド経由の依頼ってことになってるから、この依頼の完了報告がルスリーからギルドに伝わればいつでもカードを更新してもらえるはずだ。


 だから、今日は休む!

 なんだったら明日も休む!


 王都に到着して安心したのか二週間分の疲れがどっと来ている。

 リコとヤミンも疲れたのだろう、馬車の向かいの席で無防備に寝息を立てている。

 俺は船酔いからの馬車が気持ち悪くて寝れない。

 宿に戻ってたら揺れないベットでゆっくり休もう。


『だが、神は俺に休息を許してくれないのだった。俺たちはこの後、すぐさま旅立つこととなる。』


「勝手にモノローグいれてるんじゃねぇ!」

 突然頭の中に鳴り響いた聞き覚えのある声に、イラッとして思わず突っ込む。


「どうしたのケーゴ?」

 俺の大声で目を覚ましたリコが眠そうな目で尋ねてきた。

「え、あ、いや、なんでもない。」


『や~ごめんごめん。』アサルの声が俺の脳内で謝った。

(直接話かけてくるとかアリなんですか?)

 届くか分からないが頭の中で念じてみる。

『普通の人には無しなんだけどさ、』アサルは答えた。

 頭の中で考えただけで伝わるようだ。


『君は【天啓】のスキル持ちだからさ、神託を与えようと思って。』


「は!?」

 慌ててステータスを開きスキルを確認する。


 【天啓】1.00000000レベル : 神から神託を受ける事がある。


「うわ! ホントだっ!? なんだこのスキル! いつから!?」


『クリムマギカでつけといた。』


「ふ、ふざけんな!」


「やばいかもよ・・・」

「やっぱりまだ・・・」

 俺の声で完全に起きてしまったリコとヤミンが俺のことを見ながらヒソヒソと相談を始めた。


『どうしても君に頼み事があってさ。』

(頼み事? 俺たちを殺したいなんて言ってて、都合良すぎじゃないですか?)


 クリムマギカでこいつは俺たち人間を殺したいと言った。

 モンスターを送り込んでいるのもこいつだ。


『一応、神託だからね。ちゃんと君たちに利することだよ。』アサルは俺の苛立ちなど全く気にせず言った。『このままじゃ、君たちみんな滅んじゃうからね。』

(滅ぶ?)

『滅ぶというと語弊があるかな? この世界が違う世界になってしまうってことかな。』

 ユージか!

『そのあたりはノーコメント。こっちにも都合がある。』

(何故そんなことを俺に教えるんですか?)

 世界が変わると神が困るのか?

『ご明答、僕らは世界の変革を望んでいない。』

(俺が協力するとでも?)

『君だってこの世界が変革されるのは望まないだろう?』

(変わった後の世界のほうが、あんたらからいつ殺されるか分からない世界よりはずっとマシかもしれない。)

『転生者がこの世界の人間たちを物のように扱う世界でも?』

 うすうす感づいてはいたけれど、ユージはやっぱりそういう世界を作ろうとしているのか。

(世界を変えるなんて事できるんですか?)

『相手にも神がついてるからね。』

 

 昔アサルは神はひとりじゃないみたいなこと言ってたし、神も一枚板ではないということか。

 先日のミロクさんの神への感謝の言葉がふと頭をよぎった。


『当然だけど世界を作り変えるには一度この世界を壊さなきゃいけない。そして、この世界を壊そうとしている人がこの世界に居るわけだ。』

(はぁ。)

 なにが当然なんだ?

『で、それを君には止めて欲しい。』

(神なのに阻止できないんですか?)

『正直できるんだけどね。それをやったらやったで別の理由で世界が壊れちゃうんだよね。』

(よくわからないですけど?)

『神は君が思っているよりずっと倫理とルールに縛られているんだよ。』

(??)

『まあ、君に頼みたいのはたった1つのことだけだよ。』

(なんでしょう?)

『この後、宿についたら一人の男が君たちに声をかけてくる。そいつの頼みを聞いてあげてくれ。』

(どういう意味です? それが世界を救うことになるんですか?)


 神からの返事は帰ってこなかった。

 どういうことだ?

 俺を騙そうとしているのだろうか?


「ケーゴ?」

「大丈夫?」

 気づけばリコとヤミンが心配そうに俺の顔を覗き込んでいる。

「あ、うん。ちょっと疲れてるみたい。」

 とりあえず神託を受けたことは黙っておく。

 神託の意味が全くわからない。


 と、馬車が停車した。

 宿屋に到着したようだ。


 ここで誰かが俺に声をかけてくるらしい。

 馬車から降りて回りを見渡すもそれっぽいのは居ない。

 来るかわからない人間を探していても仕方がないので、三人で馬車から荷物を降ろして宿に運び込む。


 最後の一つの荷物を馬車からおろしたところで、通りの向こうから俺たちに向かってものすごい勢いで一人の男が駆けてきた。

 こいつに違いない。

 王都にはあまり見ない薄汚れた服装の細い男だ。

 

「け、ケーゴっ!!」男は俺の名前を呼んだ。

「えっ?」

 知り合い?


 男は走ってきた勢いそのままに生き別れの兄弟に再会したかように俺に抱きついてきた。


「お願いだ、助けてくれ! 兄ちゃんを助けてくれ!!」


「マ、マッコ!?」


 ランブルスタで俺のことをいじめて来た双子の兄弟の弟、マッコが大号泣しながら俺のことを見上げた。


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