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そろそろ冒険者カードを書き換えたい

 次の日。


「おはようなの。」

 食堂に降りてきたルナはとても眠そうだ。

「おはよう、ルナちゃん。」

「おはよ、ルナルナ。眠れた?」

「少しだけ眠れたの。」そう言ってルナは小さくあくびをした。

 ルナは8日間ずっと夜間担当だったので、昼夜が逆転してまだ戻ってないのだ。

「今日はどうするの?」ルナが訊ねてきた。「もう一度寝ていい?」

「うん、今寝るとまた、昼夜入れ替わったままになっちゃうよ? 今日はちょっと出かけよう。」

「ルナちゃんもいっしょに、冒険者ギルドに行こう。」リコが言った。

「冒険者ギルド?」

「ルナルナもエデルガルナではなくて『ルナ』として冒険者カードを作っておくのだ。」ヤミンもルナを冒険者ギルドに連れて行くことには乗り気だ。

「ルナちゃんのスキルも見てみたいし。ね?」と、リコ。


 流石に高レベルになると読み上げるのにもめんどくさいレベルのスキル数になるので、俺らもルナの詳しいスキル内容については把握してない。

 てか、ルナ自身がステータス見ないと思い出せない。


「いいのかな? 私、いちおう、王国の騎士ってことになってるよ?」普段着のルナが首をかしげた。

「ほら、コスプレの一環だと思えば。」

 ヤミンがコスプレという言葉を認識しとる・・・。

「おお! なるほど!」ルナはとても嬉しそうに声を上げた。


 ルナは今何レベル扱いになるのだろう。

 ランキングはともかく、冒険者の実力的にはトップクラスのはずだ。いきなり銀カード、もしかしたら金カードもありえる。

 聞いた感じだとリコとヤミンも堅調にレベルが上っている。だが、レイド戦で戦闘技能を多く発揮しなかったせいで、職業レベルに関連するスキルが俺ほどには伸びていない。

 それでも、さっき話した感じだと職業レベルとして20レベル近くにはなっていると思う。


 そして、俺も【クリティカル】がエルダーチョイス鞭の底上げ無しでも39レベルだ。

 命中や回避も30レベル以上あるので職業レベル30レベル以上は硬いと見た。

 これでようやく初心者は脱したと言ってもいい。


 てか、冒険者になってまだ2ヶ月なんですけど。


 絶妙に自分より高いレベルの敵とばっか戦い続けてるし、ジャイキリばっかしてるのもあって、レベルの上がり自体がアルファン感覚にしても異常に速い。

 今回も一週間起きてる間はずっと戦ってたわけだ。ゲーム時代でもこんなに連続して戦い続けてたことなんて無かった。

 リアルになったほうがレベリング時間が長くなってる件。

 しかも、課金しないと日に5回しか戦えないレイドボスを一週間独り占めし続けるというね。

 って、ゲームじゃないからこの世界では課金なんてないんだけど。


 ・・・・そういや、あんのか。


 それにしても、考えてみりゃ、ここまでよく生きてたもんだ。

 ついでに【強打】が1レベルになった。才能がなくても、地道に戦ってれば上がるもんだ。

 才能がほんとに『無』な魔法についてはどれも全然あがらなかったので、その中でも比較的上がりの速かった【エネルギーボルト】に絞ってねちねち特訓してる。

 まあ【エネルギーボルト】だけ1レベルになっても意味なんてないのだろうけど、そこはほら、魔法使ってみたいので。


「何のクエストを受ける?」ヤミンが訊ねる。

「カードの更新のためだから、簡単なのでいいよね。」と、リコ。

「カードを書き換えるのにクエストを受けるの?」ルナがよくわからないというように唇に指を当てて首を傾げた。

「クエストをクリアしたタイミングじゃないとカードの情報を更新してくれないルールなんだよ。」ヤミンが説明する。「でもルナルナは大丈夫だよ。カード作る分にはクエストは受けなくてもいいはずだから。」

「そっかー。」

「我々は街の英雄だからね。ドラゴン退治とか任されちゃうかも。」ヤミンの増長がひどいな。

「王都でもないのに、ドラゴン退治なんてないわよ。」リコが呆れたように言った。

 ドラゴン退治なんて行ったら間違いなく全滅するけどな。

「でも、今夜、お祭りに出なくちゃいけないでしょ? 日中にこなせる以来じゃないとだめよね。」

「昨日までギルドはお休みしてたって言うし、俺たち以外の冒険者もいないみたいだから、簡単な収集の依頼とか残ってるんじゃない?」


 言って気づく、簡単な収集の依頼なんてやったことがない。

 いや、待て?

 そもそもギルドから依頼を受けたことがないのか・・・。


 そりゃ初心者扱いされても文句は言えないよな。


 ともかく。 

 これでようやく、2レベル冒険者から解放だ!!

 一気に中級冒険者の仲間入りだ。


 食事を終えて宿を出る。

 ヘイワーズさんは居残りで、かつて馬だった生き物の面倒を見ている。


 俺たち4人の道中の会話は夕方からの祭りの話題になっていた。


「今日は気楽に楽しめそうで良いよね。」リコが嬉しそうにいった

「確かに。パーティーだと何か色んな人に話しかけられて、気疲れしちゃうの。」


 エデルガルナ状態でもそうなのか。


「ルスリーちゃんにお酒禁止されてるから、断るのが大変なの。」


 そういうことなの?

 じゃあ、何でこの間飲んだん?


「分かる。みんなグイグイくるよね。料理とお酒は美味しいんだけどね。」ヤミンが深く頷いた。

 俺も貴族の女の子たちからの推しがすごかった。

「今日は私もいっしょにお祭り楽しみたいの。」ルナがウキウキで言った。

 そういや、ルナもカリストレムのパーティーに居たんだっけ。

「街の出店より、公式のパーティーのほうが料理は美味しいよ?」と、ヤミン。

「でも好きなものが食べられるもん。」


 酒飲む気か?


「でも、ドレスは着たかったかなあ。」リコ思い焦がれるような感じで言った。

 俺もちょっと見たかった。

「でも、偉い人みんな逃げちゃったんでしょ?」

「ちょっと酷いよね。」


 そう誘導したのが俺たちだということも忘れて、呑気に偉い人を糾弾し始めた二人。


 と、その時。


「イテッ!!」


 突如、俺の背中に激痛が走った。


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