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作戦会議

「何よ! あれ。」ヤミンは騎士団を見送りながら嫌そうに鼻を鳴らした。尻尾が今まで見たこと無いくらいに逆だって膨らんでる。「あんなんと組むの、嫌よ。」

「私達だけで戦いましょ。」リコも言う。

「そうだよ。功労点がないからって街を見殺しにするのは違う。」ヤミンも声を上げた。

「でも、俺達だけじゃ無理だ。ルナも本調子じゃないし。俺達だけじゃ、仮に戦えたとしても戦闘からの離脱が難しい。」


 レイドボスの中ではHPの低いとされるオーバーモースとはいえ、倒すのには何日もかかる。ゲームでは規定ターン終了で強制的に戦闘から離脱するけど、現実ではそうはいかない。


「長期間戦い続けるには人数が必要だ。最低限の協力者は欲しい。」

「でも、どうするの? 急がないと。あのレイドボス、ケルダモに向かってるって言ってたよ。」ヤミンが訊いてくる。

「・・・うーん。ケルダモまではまだ距離がある。俺たちはハルピエたちに協力を仰ぎに行くのが良いと思う。ハルピエの兵士たちがいっしょなら騎士団も戦力として見てくれるはずだし、きっと協力してくれるよ。」

「むぅぅう。納得がいかん。」ヤミンが唸る。

「仕方ないよ。今はケルダモの人の無事を考えよう。」

「でも、さっきのハルピエさん、村の場所教えてくれなかったけど、どうやって会いに行くの?」リコが俺に尋ねた。

「えっ!?」


 やべえ。

 俺場所知ってるのに。


「ええと、と、とりあえずさっきのハルピエの人が飛んでった方向に行ってみよう。村くらいすぐ見つかると思うし、こっちが馬車で近づけばきっと向うが見つけてくれるよ。そうだ! ルナの回復もお願いしよう。今のケルダモには神官が居ないかも知れない。」

「なるほど。それがよさそう。」

 セーフ。

「あのモンスターとても強かったの・・・。」ルナが暗い表情で呟いた。「エリックの【コスプレ】してたとしても倒せるか分からないの。」

「エリック?」ヤミンが首をかしげる。

「土の錬成魔術が得意な鎧の少年騎士なんだよっ。」ルナが嬉しそうに説明する。

「ああ、ジャイアントと戦ってた時のルナルナかぁ。」


 少年設定なのね。

 そういや声そんな感じだった。


「そういえば、ルナはあのレイドボスについてはなにか知らないの?」

 ルナはブンブンと首を振った。血が足りないのに激しく首を振ったものだからフラフラとよろけて、リコが慌てて支える。

「そういうケーゴこそ。やけにあのモンスターと戦いなれてる風だったけど。」ヤミンが不思議そうに俺を見た。

 くそ。あいかわらず感のいい。

「そ、その場の判断力だよ?」

 く、苦しいか?

「ケーゴって意外とそういう判断力すごいよね。」

 お、リコが乗っかってくれた!

「カリストレムの戦いの時もそうだったし、新人狩りで私達を助けてくれた時もそうだし。」

「確かに。」ヤミンも頷いた。「クリムマギカでも領主みたいにみんなを操ってたわよね。」

「と、ともかく。あのモンスターには通常の攻撃は無効で、クリティカルしか効かない。」

「うん。それは私も分かった。」

「さっきの冒険者も言ってた。」

「そして、あのレイドボスはそこまで強くない。」

「「ええっ!?」」リコとヤミンが驚きの声をあげた。

「どうして!? あんな強かったんだよ?」

「まず、ハルピエたちが戦えてた。ハルピエたちの様子からすると、俺たちが駆けつけるだいぶ前から戦っていたはずだ。スタン攻撃も何回か食らってたはずなのに、まだ生き残って戦えてた。」


 スタン攻撃はオーバーモースの中では最強の攻撃だ。

 さっきの攻撃でハルピエたちは5人くらい巻き込まれていた。だけど2人しかスタンしなかった。つまり、ハルピエたちのレベルでもスタンに抵抗できるということだ。

 ハルピエの一般兵が30レベル超えていることはあるまい。

 つまり、あのオーバーモースは高くても50レベルくらいの強さ設定と推測。

 もちろんHPは別としてだが。


「ケーゴが教えてくれなかったら、みんな気絶してたかもしれないの。とても助かったの。」ルナは俺を見てにっこり微笑んだ。かわいい。

「ケーゴは、どうしてあんな攻撃が来るって分かったの?」リコが首をかしげた。

 やべ、しまった。やぶ蛇。

「ゼ、【ゼロコンマ】おかげかな?」

「なるほど。凄いスキルなんだね。【ゼロコンマ】って。」リコは感心したように呟いた。


 持っててよかった【ゼロコンマ】。

 これからも、どんどん言い訳に使っていくことにしよう。


「俺の【クリティカル】も簡単に通ったし、攻撃の母数さえ稼げれば、【クリティカル】レベルの低い人たちばかりでも倒せるはずだ。だから、ハルピエや騎士団にも協力してもらいたい。」

「途中で消えちゃったけど頭の方にも弱点があったから、ハルピエたちが居てくれないと大変だしね。」ヤミンが勝手に納得してくれた。

「そうそう。ヤミンの言う通り。だから、ハルピエたちの村に急ごう。」


 俺たちは馬車に乗り込むと、小窓を開けてヘイワーズさんに声をかける。


「向こうに見える2つの山の間のあたりに向かってください。さっきのハルピエが飛んでいった場所です。」

 ピネスの向かった方向を指示するふりをして、村の位置をさり気なく指示。

「急いでください。」

「ほい来たとも!! 全力で向かうから、しっかり掴まってな! 本気で行くぜ! ヒャッハーっ!!」

 ヘイワーズさんが嬉しそうに奇声を上げ、馬車は俺たちの悲鳴を置き去りに駆け出した。

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