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「なにをしにここへ来たのか教えてくれたら、名前を言うよ」
にっこり笑って言えば、ソロとコソは目を輝かせて話し出した。
「ここへは五色星魔法石を盗りに来たのだ」
……ん。
「え? もう一回、言ってくれる?」
「いいぞ! 五色星魔法石を盗りに来たのだ!」
……お、おいいいいいいい。それ私のお店の商品。どの魔法石もそうだけど、私が丹精込めて造った魔法石だ。しかも今それの仕上げをしようと作業していたところだよ。まだお店に出してないのになぜその魔法石の存在を知っている。
ちょっとどころかだいぶ怖いわ。エスパーかなにかかこの二人。
私は焦りを顔に出さないよう、気を引き締める。
「その魔法石ってどこにあるの?」
「ふ。お前の後ろの店だ」
「つまりお前も怪盗だろう。しかも女一人で盗りにくるとは度胸がある! そしてお前は俺たちを見ることができて価値あるものを見る目もあるときたら、俺たちと組めば最高の怪盗団になれるぜ! なあ、コソ!」
「ああ! ソロの言う通りだ!」
「いやいやいやいや、ちょっとそれは……」
「なぜだ! 俺たちの目的を言えば名乗ると言っただろう! さあ、名乗るんだ!」
「これでお前も俺たちの仲間だ!」
「さあ! 早く名乗るのだ! 新たな仲間よ」
ずいずい距離をつめてくる二人に、気持ちを隠すことができず私の顔は思いっきりひきつった。
……しかたない。やりたくはなかったが、ここは最終奥義を出すしかないな。
「この状況をどうにかして、クダラ!」
私の呼びかけに姿を現したクダラは目を丸くして、とりあえずといった感じでソロコソ団の二人を気絶させてくれた。
どさっと音をたて地面に倒れる二人を見ながら、ほっとする。
『なんだよ、こいつら』
「ソロとコソ。私の造った魔法石を盗りに来たらしい」
『へえ』
クダラはソロとコソをつまむように持ち上げ、どこかへ行った。そして夜が明ける少し前に戻ってきた。
「おかえり、クダラ」
『ん、ただいま。とりあえずあの二人は遠いが安全なところに捨ててきたから、しばらくはこっちに来られないぜ』
「ありがとう」
『どーいたしまして』
そう言ってからクダラは姿を消した。
そうしてこの件はこれで終わるはずだった。だが、五色星魔法石がその日の昼に姿を消したことにより……終わることはできなかった。




