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「んんんん? またまた突風で聞こえなかったなー! はい! もう一度!」
「いや、だから名乗らないよ」
「な、ぜ、だ!」
「なぜと言われても。不審者に名前知られたくないからとしか答えようがない」
「不審者ではない。俺たちはソロコソ団のソロと!」
「コソだ!」
「「二人でソロコソ団!」」
ここでまた決めポーズなのか。隙あらばポーズ決めてくるなこの二人。いやまあ、まだ三回しか見ていないけど。
「そしてお前も俺たちの仲間だ!」
「ソロとコソの間にお前の名前を入れてやる! だってお前は紅一点だからな!」
「特別だぜ!」
どんな特別だ。そんな特別はいらないぞ、私。
「さあ! 名前を言うのだ!」
「名前を知らないと間に入れられないからな!」
ずいずいと近づいてくるソロとコソ。怖い怖い怖い。近づいてくるな。
「さあ!」
「さあさあ!」
「「さあっ!!」」
「ええい! 名乗らないって言ったら名乗りません!」
私は二人の圧力に負けないよう、叫ぶ。ご近所のみんなごめん。あとできれば「ああ、やっぱりリラのところかあ」とは思わないでほしい。今回は私のせいではない。私は巻き込まれただけなんだ。
「どうしてだよおおおおっ!?」
「名乗れよ! 名乗るだけだろ!」
「「なにが嫌なんだ!」」
「え、だって名乗ったらソロコソ団の仲間になるんでしょ。嫌だよ。それに名前を教えてもらっても怪しい二人組に名前を教えるの怖い」
「そんな顔して言わなくてもいいじゃないか!」
「傷つくだろ!」
「え、あ……ごめんなさい」
どばっと二人の目から涙が出て号泣された。その顔を見たら罪悪感が沸いてきて、私の口から出てきたのは謝罪の言葉。
「……」
だけど、よく考えると私悪くないよね。二人の涙に負けたけど。強引なんだもの、この二人。嫌だって言いたくなるのはしかたないよね。むしろ泣きたいのはこっちだ。家の中に戻ることもできないじゃないか。作業まだ残ってるのに。
「悪いと思うのならば名乗ってくれ!」
「さあ!」
「さあさあ!」
「「さあ!」」
「……」
どうにかしてこの二人の気を私の名前じゃなくて別のにしなくては。このままでは私もソロコソ団の仲間になってしまう。そうなれば、ソロコソ団はソロリラコソ団なんてことになる。
それは嫌だ。私はこんな目立つ怪盗たちの仲間になるのは断固拒否する。
「あっ! そういえばここへはなにをしに来たの?」
わざとらしかっただろうか。そう思いながら、ソロコソ団を見る。
「お前が名乗ったら教えてやろう!」
くっ、駄目だったか。だかしかし、私には別のかわしかたがある。




