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私の上でまだ目をパチパチとさせるルカくん。
「……服が触れても動かなくなったのに」
恐る恐る私を服越しに触るルカくん。私はジッと動かずに、ルカくんにされるがままにする。
心臓あたりに触れられたときに、ルカくんを見つめ口を開く。
「大丈夫。生きてるよ」
「……うん」
目を細めて笑みを浮かべるルカくんは、年相応な気がする。小さく何度も頷いて、私の心臓をそっと押されると、手袋越しにだけど温かさを感じる。
「ルカくん、嬉しそうだね」
「……嬉しい。リラはあったかいね」
「うん。ルカくんもあったかいね」
「……リラ。手袋を外して触ってもいい?」
恐る恐るといった感じに聞かれて、私は笑顔で「どうぞと」頷き答える。
確かな理由はないけど、なんとなく今のルカくんなら大丈夫な気がする。
ルカくんはちょっと不安そうに手袋を外し、ゆっくり素手で私の頬に触れる。その手はやっぱり温かくて優しい。
「……リラ、ありがとう」
「ん?」
「……オレはリラが好き」
突然の告白にどう反応したらいいのか困って返事ができずに固まってしまう。
「……リラもオレが好き。リラはオレを受け止めてくれる」
ん、んんんん。なんか恥ずかしいことを言われてないか。気のせいだろうか。
「……オレはリラを傷つけたくない。だから実は力をコントロールできるようにリラに秘密で特訓してたんだ」
「そうなの? それじゃあその成果が今出たんだね」
「……うん。でも、コントロールの仕方を教えてくれた人が怖かった」
あ、たぶんパンドラなんだろうな。でもどうやってパンドラはルカくんと会ったんだろう。
『で、いつまでその格好でいるつもりなんだ?』
「へ?」
顔を上げると真近くにパンドラの顔があって体が少し跳ねる。
突然のパンドラ登場に驚きである。そしてルカくんはなんか嫌そうな顔をして逸らしている。
「出てこられるようになったんだね」
『まあな。こやつの努力のおかげと言っておこうか』
「……早く戻ってよ」
『いいところを邪魔されて機嫌が悪いな』
「……いいから早く戻ってよ!」
『はいはい。じゃあな、リラ』
「あ、はい」
けらけらと笑いながらあっという間にルカくんの中に戻っていってしまった。
「……リラ、パンドラが言ったことは忘れてね」
そう言ったルカくんの声は小さくて、少し頬が赤かった。
ふむ、照れたような表情が可愛い。




