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ルカくんとはあの日から他愛ない話をしたりしてのんびり過ごしている。その間も私は魔法石を造っていて、それを横で静かにルカくんが見ていたりもする。
まだ距離はあるけど、前よりは近づいてくれたように思う。それが嬉しくてにっこりとしてしまう。
「ルカくん、おはよう!」
「……おはよう」
朝一番の挨拶。徐々に柔らかな表情で挨拶してくれるルカくんに今日もにっこり。そしてじんわりと嬉しさや喜びが胸に沁みる。
「……リラ。リラの仕事は魔法石を造って売ること?」
「うん、そうだよ」
「……仕事、忙しい?」
「えっと、少しだけ」
そう答えると、ルカくんは立ち上がりどこかへ行ってしまった。この場合はルカくんが帰って来るのを待てばいいのかな。それとも追いかけてもいいのだろうか。
「……リラ!」
どうしようか悩んでいると、遠くのほうからルカくんに呼ばれる。声が聞こえてきた場所的にはルカくんの部屋からのような気がする。
「なーに?」
言いながら急ぎ足でルカくんがいるであろう部屋まで歩いていく。そして着いたらノックして部屋の中を覗くと、エプロン片手にルカくんが飛び出してきた。
「う、わっ!」
「……あ!」
突然の出来事に対応できなくて、ルカくんに押し倒される形で思いっきり倒れた。つまり私はルカくんと触れあっているということで。
パンドラやルカくん自身から聞いた力のことを思い出して、手をゆっくり握ったり開いたりしてみる。
「せ、セーフかな……」
一応、手は動く。心臓も動いているし、生きている。
よかった。ルカくんを悲しませないですむ。
「あ」
今気づいたけど私とルカくんが触れあってる部分は服だけで、素肌の部分はない。
「……」
「……」
つまり服の部分同士の触れあいは大丈夫ってことなのかな。ルカくん手袋もしてくれてるから、倒れたときに素肌が触れたということもない。
これは、新たな発見で前進ではないでしょうか。
「……リラ、生きてる?」
「生きてるよ。ほら」
にーっと笑ってみる。ルカくんはぱちぱちと瞬きを繰り返して、それから小さく頷いた。
「……うん」
「大丈夫だよ」
ルカくんはいまだ驚きで頭があまり働いていないらしい。自分の手と私を交互に見ていた。




