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そっと近づくと、やっぱり離れていってしまう。
「……オレに近寄ったら、死んじゃうかもしれないんだよ」
悲しそうに、だけど真っ直ぐに私を見るルカくん。
「それでも私は思いっきりルカくんを抱き締めたい」
「……なんで、そこまでオレを抱き締めようとするの?」
「ルカくんにこの世界に生まれてよかったって思ってもらいたいから」
「……リラが死んだら、もっと自分を嫌いになる」
いやん、私ってば愛されてる!
……はい、ごめんなさい。今の雰囲気の中で思うことではなかったですね。
脳内で起きたことなので脳内で反省します。はい。
「……リラ、オレに近寄ったら駄目だからね」
「嫌だ」
「……オレはリラに死んでほしくないから言ってる」
「それでも嫌だ」
私の返事に、だんだんとルカくんの機嫌が悪くなってきた。だけどしかたないじゃないか。嫌なものは嫌なんだから。
「……オレに触った人はみんな動かなくなったんだっ! だからリラがオレに触ったらみんなみたいに動かなくなるかもしれない! それは、嫌だ」
「ルカくん……」
「……オレがこの世にいなければよかったんだ」
その言葉を聞いた瞬間、私の回りを風が回るように吹いた。
「……っ!」
「ルカくん、聞いて」
私の雰囲気が変わったのを察知したルカくんは、私をジッと見つめた。
「私は死なない、絶対に」
「……」
「ルカくん。自分の力を恐れないで」
「……でも」
ルカくんの瞳が不安そうに揺れていた。私はその瞳をまっすぐ見つめ、笑う。
「大丈夫。私を信じて」
「……」
「ルカくん、私も自分の力が怖いときがあったよ」
「……リラも?」
「うん。でも今は怖くない。そう思えるまでにいろいろとあったけど。だからルカくんも私と一緒に生活をして、力を知ろう。それでコントロールできるように一緒に頑張ろう」
そう言って笑えば、ルカくんも不安そうではあったけど小さく笑って頷いてくれた。
私はちょっとルカくんに近づけたような気がして嬉しかった。




