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「警戒されるのは構わないんです。でも、なにもしていないのに言葉での攻撃をされるのは嫌です。悪い魔法使いだと、みなさんを傷つけた魔法使いと一緒にされるのはもっと嫌です」
今の私はまるで駄々をこねる子供のようだ。
「……」
ここにはここの歴史があって、思想だって違う。全ての国が私たち魔法使いをよく思ってくれているわけではないのだ。
だけど。
「知ろうとしないのは、知らないことよりずっと恐ろしい」
知れば、気のあういい友になれるかもしれない。まあ、その逆もあるけど。だけどそれは種族関係なくあう人あわない人がいるから、その時はその時だと私は思う。
なんて……私の考えが甘いだけなのかもしれない。
私が思うよりずっと魔法使いとそうじゃない人たちの溝は深いのだから。
「だけどやっぱりあれだ! 私はこの国の人たちが先生のことをよく知りもしないのに悪く言うのは嫌! 私は先生のことを知ってるからそれを言った人たちを悪いと思う。そう思ってる自分も嫌だ! どうしたらいい! どうしたら、もっと話せるだろう……?」
「……な、なに言ってんだお前」
がたいのいいお兄さんが、なんとも言えない顔で呟いたのが聞こえた。
私はその声に下げていた視線を上げる。するとみんながぽかーんとした顔で私を見ていた。その顔を見て私もぽかーんとなる。
だって私、声に出して言ったつもりがない。心の中で思ってただけなのに。みんなの表情からするに……え、まさかここで私の悪い癖が出ただと。なんてこった。どこから声に出ていたんだろう。まさか全部。全部だったりする。
「……」
ええい。声に出てしまったのならしかたない。女は度胸。魔法使いは愛嬌だ。
「は、話をしましょう! さんはい! 私の名前はリラ・クリスです! 商店街で魔法石職人をしています! 好きなことは魔法石を造ること。好きな人たちは家族、それからパートナーになってくれた人たちと友人たち! あとは学校の先生やお店に来てくれた全ての人たち! それから師匠になってくれたミランダ先生です! はい! 次はそこのがたいのいいお兄さんの番!」
勢いよくがたいのいいお兄さんにパスをすると、目をかっと開いて固まってしまった。
「お、俺か……?」
「はい! どうぞー!」
「お、俺はジェス・クラウス! 町にクリスタルを飾る仕事をしてる! す、好きなことはクリスタルに触ること。好きな人は……」
もごもごと言い辛そうにしている。もしかして片想いか……。それをここで言わせてしまうのは駄目だろう。
私は慌てて口を開いた。




